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第十八話 狙われた春 〜暗殺部隊編〜

今までに、アルマーノの暗殺部隊のうち二人を倒したわたしたち。

そのせいか、最近になってすっかり油断してしまった。

だから、少しの間だけ暗殺部隊のことなんか忘れていたのだ。


「あっ、宇都宮ー!」

「春日…?」

いつもの学校、変わらない通学路。

「ねぇ、知ってる?3組に転校してきた子!」

「え?知ってるっちゃ知ってるけど…」

すると、春日の目がキラリと光った。

なんだなんだ!このいやな気配は!

「うっふふ…じゃぁ、今度一緒に会いにいきましょうよ。」

「なんで?っていうかごめん春日、わたし朝からちょっと調子悪い…」

「恋煩いか?」

「違う!!」

「そんだけ元気なら、気のせいでしょ。」

春日さん、わたしが調子悪いって言ってんだから調子悪いんだよ。

だって今朝わたし7度後半だったもん。


「まぁ、無理にとは言わないけどさ。宇都宮は、見といたほうがいいと思ったけど。」

「なんでよ…」

わたしがぐったりしながら聞くと、春日は真剣な目になった。

「彼の首に、アルマーノらしきタトゥーがあった。彼は、全部潰すかもしれない。」

―!!

そうだ、アルマーノのことすっかり忘れてた!

「なんでわたしに、教えてくれるの?」



「…壊してほしいから。」


壊す?何を?

「じゃ、あたしはそれだけだから、行くね。辛いんだったら帰ったら?」

「あ…」

春日はわたしの返事なんか聞かないで、さっさと行ってしまった。

取り残されたわたしは、登校用の鞄をもう一度肩にかけて歩き出した。


「あ、雲雀先輩だ…」

多くの生徒で混み合う校門。でも、先輩の周りは四方2メートル近くは誰もいない。

おっかないなぁ…相変わらず。

後ろからその光景を眺めていると、わたしの肩に何かがぶつかった。

「あ、すんません。」

「いえ、大丈夫です…か…」

最後のほうは、もう意識がなくなってたのかもしれない。

だって、頭痛だってはんぱなかったし、ふらふらする。

「だ、大丈夫か!?」

わたしにぶつかった人は、いきなり倒れ込んできたわたしの肩と腰をしっかりと掴んで、支えてくれていた。

やばい。超迷惑だ…

「すみません、ちょっとふらついただけなんで……っわ!」

「全然平気そうじゃない。保健室、行ったほうがいい。」

身長差が大きいせいで、肩を組んでもらっているものの、よたよたと歩くわたし。

「あの、名前は…」

名前を確認しようと、顔をあげる。

そのとき、視界に飛び込んできたもの。それは、タトゥー。

―転校生!?

「俺の名前は、スペルビ・スパナ。」

「す、スパナ?あの、もう大丈夫なんで放して…」

「顔真っ白。」

「一人で行けますってば!」

腕を振り払った。でも、その衝撃で壁に背中を強打。

馬鹿だわたし…なにやってんだよ、もう。

「はぁ…」

スパナはため息をついて、わたしを見た。

「俺の目、見て。」

「はぁ?」

顔を反らしていた。嫌な予感がしたから。

「いいから。」

手が伸びてきて、強制的にスパナの顔を見ることになってしまった。

「―!」

「…なに怯えてんの?俺、何にもしてない。」

「…?」


考え過ぎか?でも、今確かに骸六さんと同じような気配がしたんだけど。

この人、幻術師ではないんだ…

「ごめん。ちょっと、変なこと考えてた。」

「日本の女の子は、やっぱり変な人が多い。」

めちゃめちゃ失礼なんですけどこの人ー!

「すみませんね。こちとら常日頃から波瀾万丈な日々を過ごしてるんですよ。」

嫌味まじりで言った。するとスパナはにっこりと笑ってわたしを見ている。

「ほら、保健室ついた。」

「ありがとう。ここからはもう一人でいいから、HR行ってて。」

「あぁ。」


わたしはそう言って保健室に入った。

「すみませーん…」

だけど、運悪く保険医の先生がいない。

「バッドタイミングだなーおい…」

でも、これ以上は身体が保たない。そう判断したわたしは、勝手だけどベッドに潜り込んだ。

「ふぅ…」

カーテンを閉めて、重くなってきた瞼を閉じた。

あー…これすぐ寝れるわ…


―カチャ

「…」

扉の開く音が聞こえて、わたしは眠りから覚めた。

でも、もう少し目を瞑ってよう。まだ怠い。

―コツコツコツ…

近づいてくる?誰だろう…保険の先生かな?だったらよかった、頭痛薬貰おう…

なんて考えながらうっすら目を開ける、そこには、わたしを見下ろす陰が。



「宇都宮春……」


―!!

陰の右目に、炎が灯ったきがした。

「なっ…!」

気づくと、周りは保健室じゃない。ベッドはそのままだけど、景色は見たこともない外国。

「ど、どうなって…」

突然、キィィイン!!と、頭が割れるような頭痛が襲ってきた。

「っつ…!!」

頭を抑えて、シーツを強く握りしめる。

なんだ、この痛みはっ!

「その頭痛に耐えてるなんて…」

陰が、喋りだした。

わたしの目の前にいるのは、黒い陰の塊。右目があるべき場所からは、炎が灯っている。

無意識のうちにチェックメイトガンに手を伸ばすわたし。

「無駄だよ。」

取り出して撃つと同時に、陰の姿は無くなった。

―幻覚!


ちくしょう。やっぱり、スパナか!?

「俺を倒すことはできない。だって俺は、幻覚であって、幻覚ではないから。」

なぁにを言ってんだ!

やっぱりこの声は、スパナじゃないか!!

「スパナ!」

「あれ、バレてる…。まぁいいや。宇都宮、しばらくその空間でおとなしくしてて。他の奴を片付けたら、ゆっくり話は聞くから。」

「ちょ、スパナ!ふざけんじゃないわよ!!」

叫んでも、その声はスパナに届かなかったらしく、返事は無い。

 くそっ…!

拳をベッドにぶつける。その衝撃で、軋むベッド。

頭痛も収まらない。身体はふらふらする。最悪なこの状況。どうにかしてくれよ。

「他の奴を片付けるって…まさか、ディアモの?」

まさか。一人でディアモを潰す気なの?あの馬鹿は。


じゃぁ、先輩も、危ないんじゃないの?


「―…」


嫌だ。


先輩を、傷つけるなんて。

ディアモを、潰すなんて。


嫌だ。


”彼は、全部潰す気かもしれない。”


んなの、させるか!!



その瞬間、チェックメイトガンが眩く光りだした。

温かいものが、わたしの中に、流れ込んでくる。


「今、行きます。」

そしてそのチェックメイトガンを、両手でしっかりと構えて引き金を、引いた。



「雲雀恭平先輩、ですよね。」

「なんだい、君は…」

敵意剥き出しの男に、スパナは少し後ずさる。

「スペルビ・スパナです。」

「そう。でも、僕は今君にかまってるほど暇じゃないんだ。」

そう言って、スパナの横を通り過ぎていく雲雀。

その時に、スパナがつぶやいた。

「宇都宮春は、強いですか?」


雲雀の足が、止まった。


「何のことだい…?」

その目には、殺意が込められている。


「あの人を使えば、雲雀先輩は絶対にかかると思いました。」

「…君、春に何かしたね。」

「はい。ちょっと寝てもらってます。」

「ふぅん…」


雲雀が、トンファーを取り出した。

「じゃぁ、君にも眠ってもらおうか。」

「噂以上に怖いですね…雲雀さん。」


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