よるのこえ
よるにあるくのがすきだ
ひとのいないみちの
やわらかなくらやみで
わたしはよるのこえをきく
つきがいびきをたてていたり
ほしがうわさばなしをしていたり
ひこうきがなにかをつぶやいていたり
よるにはたくさんのこえがする
ひとびとはねむっていて
そのこえをゆめのなかできいている
よるのあいだにそらからふるこえを
すこしだけひとびとはおぼえていて
きょうはどんなゆめをみたと
はなしのたねにするのだろう
はれたひのよるには
たえず こえがふりつもる
あめのひのよるには
つきやほしもしずかに
あめのうたをきいている
このせかいにあふれる
あまたのこえやうたを
わたしは しぬまでに
どれだけきけるのだろう