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エッセイ

ミステリーはラーメン、SFはカレー

作者: 浅葱秋星

 食べ物や料理に作品や創作を例えると、意外と説明し易い。創作物のジャンル、ミステリーとSFについて、料理を元に考えてみた。SFの説明が無駄に長いが、以下に記す。


 ラーメンは、塩、醤油、味噌、豚骨などの味の形容があるが、それらは味であって、ラーメンの本質では無い。ラーメンとは、中華麺とスープという構成を持ってラーメンとなっている。この構成こそがラーメンの本質と言っていいだろう。


 小説のジャンルでは、ミステリー(推理小説)がこれに当たる。ホラーやサスペンスなどと形容されても、ミステリーは、とある事件(犯罪に限らない)を解決に向けて進めていく、という構成がそのジャンルとしての本質になる。

 構成が本質である、という点で、ミステリーはラーメン的である、と言い換えてもいい。もっと言えば、ミステリーとはラーメンである、とでもなろうか。


 一方で、味こそが本質というものもある。その代表的で、馴染み深いものといえば、カレーであろう。ここでは、特に日本に於いて一般的となっている、所謂カレー味、のものについて述べることにする。

 カレーは、幾多の香辛料を調合して作られた調味料によって味付けされた料理、またはその調味料をカレーと称している。香辛料を調合した粉、カレー粉もあるが、小麦粉などと煉り合せたカレールーとなっているものが多い。このカレー粉やカレールーを元に、様々な食材と組わせてカレー料理が作られる。

 カレーを使った料理で、一般的なものは、カレーライスだろう。肉や野菜を具材として、カレールーを絡めて、御飯にかけた料理で、老若男女問わず人気が高い。


 小説のジャンルでいうと、SFがこれに当たる。SF自体は、サイエンス・フィクションという元来の名前の通り、物語に科学という味付けをしたものである。日本では、これを科学に基づいた空想、として空想科学小説などと呼んだりもした。

 これをカレーに例えると、科学という名の香辛料を、空想でまとめ、人物、背景などの具材(構成要素)に絡めて、小説という御飯へかけるとSF小説となる。別に御飯でなくとも、カレー南蛮やカレー炒飯、カレーパンがあるように、小説でなくとも別の表現形式、映画、漫画、アニメでも構わない。その場合は、SF映画、SF漫画、SFアニメとなる。


 なかには、出来合いのカレー粉で作られたカレーを、誰にでも作れる安っぽいものとして、個別に香辛料を選び、調合したものを本格的として尊ぶ者もいる。

 同様に、科学性が消えて、雰囲気だけとなったものではなく、厳密な科学技術や理論に基づいたものを本格SF、ハードSFと称したりする。


 カレーはまた、醤油や味噌と違い、複数の香辛料で構成されていることで複合的な味となっているが、どの香辛料がその味の本質であるかといったことが曖昧になっている。カレーという複合香辛料から香辛料をひとつづつ引いて行ったとして、何処までがカレーで、どこからがカレーで無いか、というような事態が引き起こされるということである。


 単に香辛料を使っているだけではカレーとは呼ばれないように、単に科学を扱っていればSFと呼ばれるわけでは無い。それでも、カレーを食べたことがある者ならば、料理にカレールーやカレー粉が使われていれば、カレー味だと気付くだろうし、SFを読み親しんだものならば、創作物を読んだり見たりすれば、この作品はSFか、そうではないか、断じることだろう。

 とはいえ、カレーがどこからがカレーで、どこからがカレーでないか曖昧なように、SFもまた、何処からがSFで、どこからがSFではないか曖昧で、個々人によってその判断基準も異なっており、それがまた数多の論争を呼んでもいる。


 長くなってしまったが、味が本質というカレー同様、科学という味付けが本質であるSFは、カレー的であり、ゆえに、SFとはカレーである、と言い換えても良いのではないだろうか。




※某動画投稿サイトに投稿した動画の内容を改定増補したもの。

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