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雪ほたる舞う、星の風の窓辺に

作者: 逢乃 雫

夕時雨のあとの


雲間をかき分けて



凍晴(いてばれ)の空へと


羽ばたく渡り鳥の背に



後を押すように


煌めく夕陽のかけら




煉瓦を伝う


アイビーの葉たちは



まるで流れる


河のように冬も碧く



葉の波間を


鮮やかに彩る冬薔薇(ふゆそうび)



傍らには


ラナンキュラスの


ふんわりとした


花びらが淡く




月凍つる夜に


星は冬銀河を流れて



白銀に輝く


こいぬ座の星



プロキオンは


まるで雪ほたる



冬銀河のほとりに


流れる時とともに




星出ずる夜に


夢は窓辺に舞い降りて



(そら)に開いた星の窓


冬の大三角



その光の中に現れる


いっかくじゅう座



夢へ降り立つ


ユニコーンがそこに



プロキオンから


ベテルギウスへ



銀河を渡る宙には


ばら星雲の花びら



夜空に描いた


星の花束のように




たとえ見えなくても


想い描くことから



夢はきっと


始まっていくから



宙に描くユニコーンも


宙に咲くばらも



白い息に曇る窓


心の窓も


時に曇ることも



けれど窓の


向こう側には


続く景色がきっと



星の風に吹かれて


星の風を感じて




雪ほたるが


星の風に舞う



アイビーの葉が


星のように


輝く夜の窓辺に




雪ほたるが


星の風に舞う



時はこの今も


流れゆくけれど



いくつもの「昨日」が


今日をつくり



いくつもの「今日」が


明日をつくって




雪ほたるが


星の風に舞う



冬来たりなば


春遠からじ



春へと続いていく


この空を信じて





雪ほたるが


星の風に舞う



やさしく


やわらかな


ほたるのような



星の光を、


見つめる窓辺に


















冬の南の夜空にある、こいぬ座の一等星・プロキオン(犬の前、の意味)は、「冬の大三角」の一角で、その大三角を通る天の川は「冬銀河」と呼ばれます。


肉眼では難しいですが、冬の大三角の中には、夢に見ると幸せになるとされるユニコーンの形の「いっかくじゅう座」と、写真に撮るとバラの花びらのように見える「ばら星雲」があります。


アイビーは星のような葉が冬も青々とし、冬薔薇ふゆそうびは冬に咲くバラです。ラナンキュラスは冬から春に咲き、今の時期にちなみ「合格」の花言葉のほか、緑色の花言葉は「希望」「幸福」です。「雪蛍」という季語がありますが、本作では天の川のほとりの星の光を「雪ほたる」と表現させていただきました。


季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] >夕時雨のあとの >雲間をかき分けて >凍晴いてばれの空へと >羽ばたく渡り鳥の背に >後を押すように >煌めく夕陽のかけら やっぱり雫さんの詩は冒頭からグッと引き込まれますね。 >…
[良い点] 寒い中でも、綺麗な星空に励まされて花が頑張って咲いているのが想像出来て素敵だなと思いました。 励ましてくれているようで少し元気が出ました。
[良い点] 夕時雨の後の凍晴れという表現が 澄んだ冷たくてもさわやかな青空が 浮かんできました。 羽ばたく渡り鳥の翼のように広がった 夕焼け雲が目の前にキラキラと 広がってきました。 雪ほたるが舞…
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