決めつけられた悲哀
スッポンという生き物がいます
見た目の通り亀の仲間です
なので、爬虫類に分類されます
ふつう亀と言えば「のろま」なんて言葉の代わりに揶揄されたりするのですが、このスッポンは少し違うイメージがあります
動きが速いし噛みつきます
なんせ首がグーンと伸びますからね
鼻も長くてこれを水面に出してシュノーケリングもするらしいです
とにかく水中で敏捷に動ける「非のろま」な亀です
妖怪にも例えられることがあるようですし、子供の頃によく聞いた「噛みつかれると雷がなっても離さない」と言われるぐらいでしたので、まあ怖いと言うイメージも確かにあります
ところで「スッポンモドキ」という亀がいます
これも亀の仲間ですがスッポン科ではなくここで別れスッポンモドキ科になるらしいです
では、ここからが本題です
実は私はこの名前のついたものに大きな悲哀を感じます
「モドキ」
悲しいではありませんか、存在自体が偽物なんですよ
固有名も無いに等しいのです
スッポンモドキの場合スッポンがいて初めて存在を認められるのです
ひょっとしたら長い歴史の中でスッポンモドキの方が先に生まれていたかも知れないのに人間が勝手に決めつけたためにオリジナリティを失ってしまったのです
本人は何も悪くないのに「ああ・・・スッポンモドキやねぇ」と気合の入らない呼び方をされる
自分からモドキになることを願った訳ではないと思うのです
きっとスッポンモドキは「模倣なんてしていないよ!」と主張することでしょう
自分の知ったことではないではないか!
そうなんです
どう呼ばれようとスッポンモドキは胸を張ってちゃんとスッポンモドキとして子孫を繁栄させているのです
スッポンモドキに罪はありません
罪深い人間の勝手な仕業が生んだ悲哀です
きっと、スッポンはスッポンモドキに逢っても「お前がモドキか?」と愚弄しないと思っています
いや、そうあってほしいと願っています
これはスッポンモドキの悲話ですが、こういう個体は世界中にたくさんあります
普段の会話でも「モドキ」という表現をする時はあまりいいイメージがありません
内容によっては模造物として訴訟問題になることもあるかも知れません
産業界ではそれで販売してはいけないことも多いのです
工業製品に「◯◯モドキ」と銘打って堂々と販売しているものがありますか?
オリジナリティのないつまらない物を作る会社だと烙印を押されることでしょう
それほどのマイナスパワーを持つ表現なのです
そんな罪深い名前を何の罪もない固有の存在である者に名付けるとは・・・
人間として世界中のモドキと名前を付けられた者達にお詫び申し上げます
ところで話変わって・・・・
「がんもどき」
大好物なんです!
醤油ベースで甘辛く炊いたジューシーなふんわり食感を考えるだけで幸せになります
この美味しいのに惜しいモドキという表現は本当にもどかしいのです