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帰還(アルマ視点)

 

 モランの魔法陣が消耗してから、一人で戦っていたルシアがついに限界を迎え、地面に落下しているとき、走りながらも間に合わないと絶望しながら走った。


 結局はルシアは助かったものの、無力感におそわれる。


「…。」


 おそらく空間魔法による瞬間移動を連発し、相当な魔力を消費して身体的にも魔力量的にも相当消耗しているだろう王太子が現れ、その状態で圧倒的な力を持って火龍を倒してしまあることも、腕に抱えているルシアが安心しきって眠ってしまっていることも、羨ましいと、思ってしまう。


「…これから、瞬間移動で学院に戻る。深刻な怪我人はいないな。空間魔法を使うと、少々気持ち悪くなるかもしれないが、緊急事態であるために我慢してくれ。」


 王太子は、そう言うと魔法を発動した。

  

「…ふぅっ。」


 学院に着くと、安心でため息が出た。


 すでに全班揃っていて、怪我人は手当を受けている。聖女が回復魔法を使っているのが見える。


「フランツ!」

 

 話題の令嬢である、マリッサが令嬢らしからぬ様子でこちらに走ってくる。

 

「全員無事!?…!ルシアちゃんは!?」

「…手当はした。気絶している。今回1番の功労者だ。とりあえず個室に連れて行く。」

「…そうね。」

「フランツ、お前も少し休んだ方がいい。この後の取り仕切りは俺たちで十分だ。相当な人数分の瞬間移動をしたんだ。ドラゴンどもの相手だけでも相当なのに、流石に魔力消耗が大きいだろう。」

「…。任せる。」


 王太子は、ルシアを連れて校舎の中の怪我人のいる方とは反対方向に行く。


「やっぱり、流石に学力トップの扱いは特別なのね。」

「…いや、それだけじゃなくないか、あれは…。」


 後から来ていた、マリッサの婚約者が呆れたように言う。

 

(私も、なんかおかしいとは思ったな…。)


「…バル、アルマ!」


 満身創痍、と言った感じだっただろう、服のあちこちに物凄い出血の後があるカリストが来た。


「ルシアは!?フランツがルシアがいる班を最後に回るとは思わなかった!!無事だった!?」

「今、気絶して、運ばれている。俺たちはルシアに守られるだけだったからな…。お前の方は?」


 バルが応える。


「地龍が現れたけど、聖女がいたから、援助が早かったんだ。…ルシアが生きてるなら良かった…。」

「しかし、なんで同時にあのレベルの魔物が現れたんだ?おかしくないか?」

「たぶん、これが、物語補正だと思う。どこかが、大きく物語とずれているから…。」





 


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