魔物討伐イベント②
王妃教育が始まって少しの頃。
殿下から魔力量とは別の戦闘能力の単位となる、レベルのことを聞いた。
どうやらこの世界には魔物を倒した経験値から基礎能力等が上昇するRPGみたいな機能があるらしい。もちろん、破魔陣上では魔法は使えないが、レベルが物理攻撃は無条件で人間離れしたことが出来る様になり、魔法の能力も上昇する。そんな面白そうなものが…と思って、殿下に魔物のいる森に一緒に連れて行ってもらって色々な実験をした。と言っても私の体力はゴミであるのと、父親に鑑定されてレベルを見られたら困るということで殿下に色々試してもらった。
魔物を引き寄せる笛を地面に落とした状態で鳴らし、上から魔物を攻撃して殺したり、という変なことから、どの程度の魔物を殺すとどのくらい経験値が上がるのかという細かいことまで研究して、いかにして効率よくレベル上げを行えば良いのかと、しているうちに殿下のレベルがカンストしてしまった。
元々チートだから、まぁ、そうなってもおかしくないよね、うん。
「…お。」
歩いていると、モランが突然腕を横に伸ばし、静止する様に目配せをした。
「…ウルフですか。」
前世の映画で観たような、いかにもファンタジーらしい狼のような魔物が前に…というか、複数で囲んでいる。
「…おかしいですね。ここには、あまり強い魔物はいないはずですが。」
ウルフは一匹ならばそれなりに倒せる…一般的なレベルの騎士一人がある程度時間をかければ倒せると言ったレベルだ。しかし、群れで囲まれるとそれなりに苦戦する。
「…意外だね。魔物慣れしてるの?」
「まぁ、弱いことには弱いですよ、私は。」
モランの口調がさっきよりも余裕がなくなっていることを物語っている。とはいえ、ポーカーフェイスを保っている方ではあると思うが。
「…戦闘体制をとれ!」
モランの合図をもとに、全員が背中を預けるようにして、それぞれに一番近いウルフに体の正面を向ける。
「魔法班、放て!!」
3年2人と2年1人、モラン、私、そしてミクラスが魔法を陣に魔力を流し込んで魔法を放つ。
ミクラスの魔法は魔力量に基づくパワーだけでなく技術力も強く、囲んでいたウルフ3体を確実に仕留めている。
残りは魔法技術の高いモランによって足を使えなくさせられたウルフが6体、私が致命傷を負わせてギリギリ生きている1体、3年2人と2年2人によって殺された2体。計12体のウルフには余裕で勝てそうだ。
「武装班、ウルフに留めをさせ!油断はするな!」
3年とアルマ、バル、モランがウルフを確実に刺して殺す。
「…なんとかなるもんだねぇ。」
モランがほっと息をついた。
それを見て、メンバーも警戒を緩めた。
「思った以上にこの班の魔法の能力が高いですね。」
「…君を守るために、結構気を使ったらしいよ〜。見てる感じではね。でも、なんでそこまで君に気をつかうのかねぇ。本当なら自分の手元に置いて置きたいというくらいにはピリピリしてたねぇ。」
(…これは、探られているな。)
「…初代学園長の謎がそんなに気になるんですか?」
わざとボケてやる。
「それわかってやってるだろ。」




