王都に帰還
「王太子殿下率いる王国軍は、帝国軍に勝利し、現在、本日中に、帰還されるご予定です!」
王国軍が帝国に勝利し、僅か数日で王都に帰還するということは王に情報が届いたのち、すぐに王国民達にも知らされたらしい。
「王太子殿下万歳!!」
帝国に比べると圧倒的に兵の数が少なく、予算や荷物の重量を減らすために全体的に地味な装いで王都に帰還している訳だが、帰還を見守る国民の盛り上がり用は、派手なパレードより凄かった。
殿下は、一番先頭を進んでおり、馬に乗って進む姿は凄くカッコいい。
「「きゃー!!素敵!!」」
女性たちの黄色い悲鳴には、目もくれないが。
「殿下の後ろの方、あの方がツェルシア様だよね!?」
「凄い綺麗!妖精様みたいなお顔ね!」
殿下の人気に伴い、私も国民からの人気が高くなっている。
私は、殿下の右斜め後ろで馬に乗って歩いている。
動きやすいように女性向けのデザインの乗馬服を着ている。この世界にはまだ女性がスカートでないということはそれなりに反感があることは覚悟していたが…大丈夫そうだ。
◇◇◇◇◇
「…やっと帰って来れましたね。」
「ああ…。流石に疲れたな。」
もの凄い注目を浴びての帰還は、かなり神経を消耗した。ああいう、人の多い場所は、暗殺者にとって、自身の命を厭わなければ、暗殺するには絶好のチャンスだからだ。
今、殿下と私は殿下の執務室にいる。
王都からすれば、急な帰還であったために、謁見の場は明日設けられ、捕虜の処置だけはされている状態だ。
しかし、急な帰還にも関わらず、戦後の処理のための書類はたくさんある。
「…書類、後でもいいな。」
殿下は凄くお疲れのようだ。
先程から、机の椅子に座って、ぼーっと書類の山を眺めていた。
そして、割り切ったように書類をポンと叩くと、立ち上がって、私の座っているソファーに座る。
突然距離が近くなったので、ドキッとした。
「寝る。」
そう言って、殿下が寄りかかってきた。
「へ?あ、う、はい。」
(…な、に、この人…!距離近いんだけど!?)
私の肩に寄りかかって寝るイケメン…。
絵面は最高だが、心臓には悪かった。
「…ベッドで寝ないんですか。」
気まずくなったので、ぽつりとこぼす。
「一緒に寝てくれるのか?」
殿下は目を瞑ったまま、口元をニヤケさせて言った。
「…早く寝てください。」




