第一回魔王会議
国王との謁見が終わった後、殿下に見送られ、無事に学生寮に戻った私は、早々に地下街メンバーつまり、アルマ、バル、カリストを集めた。
まぁ、元々、集まる予定ではあったが。
「談話室に集まる物だと思っていたけど…、わざわざルシアの部屋に集めたと言うことは重要な話でもあるのかい?」
「…わざわざ3人で同時に部屋に入らせるのは謎だな。」
「何でルシアの部屋はこんな広いの?」
上から、カリスト、バル、アルマ。
集めたことについてまともなことを言っているのがカリストだけだ。
「…同時にと言うのは、単純に変な噂を避けるためです。で、重要な話があるので、ここに集まってもらったというのは正解です。とりあえず、かけてください。」
アルマはふかふかだ〜と言いながら堂々とベッドに、カリストとバルはテーブルの椅子に座る。
その間に紅茶とお菓子をそれぞれの前に置き、自分は机の椅子に座る。
「アルマに、聞きたいことがあるのですが。……物語の中の、魔王について。」
魔王、と言う言葉を出すと、アルマが固まる。
「…なんで?」
あれ?
「理由については詳しく話せません。ただ、魔王について、知っておきたいです。一方的で、申し訳ないと思っていたのですが。」
「……魔王については、聞かない方が良いと思うぞ。」
「…魔王というのは、前に君達が話していた、あの朝会った子が主人公の作品に出てくる魔王のことだよね?どうして聞かない方が良いの?知っておいた方が、私達が手柄を立てるチャンスになるかもしれないのに。」
「…私は、魔王を倒すことで手柄を立てたいとは思わない!」
「俺も反対だ。本来なら、魔王が現れないように、物語を作り替えたいのに!」
アルマとバルが思った以上に魔王討伐に拒否反応を示した。
(これは…。)
物語通りに事が進めば、魔王が発生する。だから、私が王太子を抑えることでヒロインをストーリー通りの展開から外す。これが、アルマとバル、ついでに物語について半信半疑のクルドの考えだと思っていた。それに、この世界が複数の物語をもとにしているなら、他の物語の強制力を利用すれば、その物語についてはなくしてしまえるはずだ。
「…それで、誰が魔王になるんですか?」
私としては、自分自身に関わることでなければ、物語に従った方が安全だとも思っている。
今日、魔王は元々人間がなる物だと言うこと、それは本人が意図したものではないと知ったが、それでも変わらない。
自分のために、干渉しようとは思わなかった。
だが、このアルマとバルの様子を見ると、きっと私は、無関係ではいられないらしい。
「…!なんで、人が魔王になるって知ってるの?私は、魔王が発生するとしか言ってないのに。」
王太子に接近する私が、それなりに使命感を持ちつつも、気合いすぎない説明とすれば、クルドの貴族への攻撃は適していた。それなりに道理に通っていたし、違和感がなかったし、何も考えなかった。でも、普通魔王が自然に生まれる物ならば、魔王を倒す算段を立てる筈だし、そもそも魔王討伐は王家や他国の幹部が考える問題だ。もう少し気をつけて聞いておけば良かった。
「…魔王のことは、よくわかっていません。対策を立てるなら、早い方が良いと思います。それで、誰なんですか?」
…物語に登場してもおかしくない、存在感があり、死んだとしても物語はハッピーエンドを迎えられる。そして、アルマとバルが倒したくないとここまで切実に思う人物。
話しているうちに、検討がついてきた。
「…ふふっ。」




