息子にバカにされていても、王である
「…やっとか。」
「へ?」
私が挨拶すると、王は待ちくたびれた、みたいな表情の笑みを浮かべた。どことなく殿下に似てるので心臓に悪い。
「仮にも王だからな。多少人と会話すればその人がどんな人なのか、まぁ、わかったりするんだが、ツェルシア殿はフランツに隠れて能力を隠しているようだったから、いつ能力を見せてくれるのかと思っていたのだよ。」
「…急かすなと言っただろ。」
あ、もしかしなくとも、王様には色々裏があるの気づかれていたらしい。
「……申し訳ありませんでした。」
「いや、謝ることはないだろう。影ながら我が国に貢献してくれたこと、感謝する。」
「…へ、い。」
「ただ、王妃は君のことは認めていない。あれは少々頭が固いのと、トラウマもあって、簡単に人を信じないからな。」
でしょうね。
てか、転生者だし、素の性格なのかと思った。トラウマによるものなんだ。
「これだけの息子さんに手を出されたとあっては、普通に相手を良くは思わないとは思っていたんですけどね。」
「…ハハッ。随分と息子を気に入って下さっているようで。」
「…はあ。」
どう受け答えするか困って殿下の方を見ると、凄い複雑そうな顔をしていた。
…そりゃ、自分の話で盛り上がられたらな。どうしたらいいかわからないよな。
「…あの、今日来たのは、ライド・カルフェスの部屋について、報告したかったからです。」
「…それは、その情報ごと、貴方が王家の味方になってくれると言うことで良いのかな。」
「…王太子の婚約者としての義務と、後は国内で命の保障をされたいだけです。情報の内容についてはお話ししますが、出来れば私の方で部屋を所有させて欲しいです。」
「…して、その内容というのは?」
「簡単にまとめた内容は、こちらの書類に書いてあります。読み終わりましたら、書類は陛下の判断に任せたいと思います。」
「…ふむ。」
何枚かの書類を渡すと、国王は、タイトルを見て目を見開いた。
しかし何も言わずに読み進めて行った。
「………ライド・カルフェスの研究を、ツェルシア殿はどうなさるおつもりかな?」
読み終わると、声をかけてきた。
「私としましては王家の指示に従うつもりですが。私一人の手に負えることではないので。」
「王家は部屋の所有者の判断に委ねるつもりだ。君の好きにしていいだろう。ただ、国の損失になるようなことだけはしないと約束してくれ。」
「…わかりました。」
カルフェスは最初から転生者を見つけるために入試をつくり、転生者に研究を託すつもりでいたのだろう。ただ、魔法研究は私の専門じゃない。内容はとりあえず把握しておきつつ、研究は誰かに託せるようにしておこう。
と、判断したことを私は早々に撤回することになるとは思わなかった。




