王との謁見?
王城まで転移魔法で一気に移動し、我々は今、国王の執務室に…
コンコンコンッ!!
「失礼します。」
バーン!!!
……突撃している。
「え?」
殿下は護衛の人が怪物でも見たかのような顔をしているのを素通りし、ずんずんと先に進む。
とりあえず少し駆け足気味で着いていく。
足の長さ的に走らなくてはいけない。
「……びっくりしたぁー!な、何だ、いきなり。どうかしたのか?」
「…国王陛下にお話したいことがありましたので。」
口だけの敬語を話している。
これはこれでちょっとカッコいいのが腹立つ。
「…国王は忙しい。先にアポを取るようにしてくれ。」
「大した仕事もしてないくせに随分と尊大な態度を取るんだな。」
(う、うわぁ。悪化してるなぁ。)
国王と殿下は少々仲が悪い。
いや、むしろ凄く良いのか?友達みたいな気安さ、というか。
本当に殿下と険悪なのは王妃だろう。お互い愛情が無いわけではなく、要は私の問題でだ。私は王妃から嫌われているからな。
元々、殿下はそれなりに父親に従順だった。
ただ、殿下の父親にしては国王は無能だった。
過去に王国の経済を立て直すために、税収法を変えようとされていた時に、『歴史ではいつも合理的な強行突破した人が勝利するらしいですね。なのに、殿下ほどの人がそこらの公爵や国王如きに道を阻まれるのですか。』と煽ったことがある。それから、だと思う。こんな口喧嘩する様になったのは。
とはいえ、元々自己主張をあまりしなかった殿下が色々言ってくるようになって、国王はそれなりに楽しそうでもある。
「………はぁああ。で、後ろにいるのはツェルシア殿だな。まさかとは思うが、国王の業務を色恋のために停止させたとは言わんな?」
(気づかれてた!?)
国王はため息をついたのち、私に厳しい視線を向けた。
今の私は入学式同様、フードを深く被り、顔が見えない状態だし、フードからはみ出ている髪は黒いし、気付ける要素がないと思うのだが。
「…人払いを。」
殿下は国王を護衛していた騎士達を退け、国王の執務室には国王と殿下と私だけになった。
「…人をはらうような話をするのか?」
私は国王からの印象もあまり良くはない。
同年代のマリッサさんに比べて遥かに劣り、かつ王との対話をしても普通の感性を持った普通の受け答えをし、あくまで顔が綺麗なだけで強いて言えば良くいる秀才レベル、と言う評価をされているらしい。
まぁ、対話で聞かれたのは女性の政治への参加についてどう思うか、のような大雑把な国の方向性についてばかりで、私の苦手分野なのもあり、かつ基本的に私の感性が平凡なのもあって、つまらない回答しかしていないのはポイント低いだろうな。
「あんたは何か勘違いをしているようだな。俺は今日、あんたに頼まれていたことをしようとしているだけだ。」
「…どういうことだ?」
「紹介しよう。彼女が今期の入試で学力部門満点を叩き出した、ルシア殿だ。」
「…!!待て、それは、どう言うことだ?まさか、入試で不正させた訳ではないだろうな?いくら王太子の婚約者と言えど、学園の入試で…」
「いい加減にしろ。あんたらは、ツェルを甘く見過ぎだ。だいたい、現実的に考えろよ。どうやって不正すれば、学力部門で満点を取れるんだ?」
…この状態で、こんなこと思うのは申し訳ないけど、私を庇って口が悪くなる殿下が最高すぎて死ねる。
とは言わずとりあえず殿下の袖をくいっと軽く引っ張った。
殿下はそうだな、とさっきとは全く違う優しい笑顔で言うと、私を前に出す。
「…王国の太陽にご挨拶申し上げます。ルシアと申します。」




