再会
とりあえず、テンパっていることを察してくれたようで、抱きしめられていた状態からは開放された。
「…あの、何も言わずに、逃げてしまって、すみませんでした。」
「…怒ってない。心配はしていた。何があったか、なんとなく予想出来るからな。」
「あの、ちゃんと、無事ですから!その、王族と結婚出来る条件は満たせてる筈なので!」
処女であること。
万が一にでも、王族でない血が王とならないように、王妃は必ず処女でなくてはいけない。
「…ふっ。わかってるから。婚約は破棄していない。俺はお前としか結婚しないよ。」
「………/////その、仕事も放り出してしまい、本当に…。」
「元々、俺の仕事だし、大した量じゃなかったから。あんまり、謝らないでくれ。」
「…はい。」
「入試、頑張ってくれてありがとうな。」
「…どこまで、知ってたんですか?」
正直、入試の学力部門では過去最高点だと思う。
…満点を狙っていたから。取れたかはわからないけど。
学力部門で満点を取れば、爵位と、学園の初代責任者の残した重要な情報を手にできる。殿下の婚約者として、王家から頼まれるような身分になれる。
私は、ルシアと言う地下街の出身として入試を受けたから、名前では私と判断できない。
「私の所在を、いつからご存じで?」
殿下のことだ。私の所在は早くから把握していて、私を泳がせていたのではないだろうか。
私が、殿下に助けられてばかりなのを、それなりに気にしていると知っているはずだから。
「…失踪の初日に、クルドのところに行った。」
ほ、本当に最初から知ってたんだな。
「もしかして、クーデターは、私に帝国という後ろ盾を作るため…。」
「そうだ。クルドは、是非ともお前を養女にしたいと。」
「な、なるほど…。それもありですね。」
あ、そういえば。
「今私は結構深くフードを被っているので、顔は見えないと思うんですけど、なんで私だとわかったんですか?」
「お前だって、俺が顔を隠していてもわかるだろ?」
「それはそうですね。…あの、座席表の前の会話、聞いてました?」
「…ああ。」
ニヤッと笑われた。
「あのまま逃げられたら困るんでな。人気のない、ツェルの逃げそうなところに魔法で移動して待ち伏せしていた。」
「………。」
やってしまった…!これはこれで、恥ずかしくて辛い。
に、逃げたい。
「今後、どうする?ルシアとして生活するのか?」
「…しばらくは、庶民院に馴染むまではルシアでいたいと思います。あの、でも、仕事は手伝いたいです。」
「学園に持ってきて、一緒にやろうか。」
「は、はい。」
「俺が婚約者以外の女と、と言う噂が出るかもしれないけど、一応、転生者は勘違いしやすいと聞くから言っておくが、ルシアとのことが噂になっているだけだろうから、気にするなよ。」
「…はい。」
基本的に、殿下はそういうところ凄く誠実だ。とにかく、誤解させないように行動してくれる。特別に恋愛感情を伝え合った関係でもないし、束縛したいわけではないが、そういう配慮はすごく嬉しい。
「俺はこれから講堂に戻るが、一緒に行かないか?」
「ぜ、ぜひ。」




