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野性のヒロインが現れた!



 無事に学園の寮に収まって暫く。

 今日は入学式だ。

 日本と気候の同じアマリアでの秋期入学式は桜の咲き乱れる日…などという入学の清々しい感じはないが、夏の気配が残った、いい天気だ。


「ヒロインを見に行くよ!!」


 そして、我々はこれから物語よりも早めに入学すると言う聖剣の乙女候補…アルマの言っていた話のヒロインを見に行く。


 アルマ曰く、ヒロインはオレンジ色の髪をした、勝ち気で元気な少女らしい。


 …オレンジ色の髪で勝ち気で元気…。


「道に迷っちゃった!!」


 きょろきょろと辺りを見渡し、意味もなくぐるぐると歩き回る少女…。

 

 あ、この子入試の時の私と武力の試験してた子だ。

 あんなでも入試受かるのね。


「あれは天然ですか?」

「小説では天然だったよ!」

「…それは、確かにオモシレー女だね。ふふっ。」

「お、気に入ったのか!?だったら、お前が狙ったら良いんじゃないか!?」

「それは嫌かな。」


 コソコソと話していると、横をルドルフが通り過ぎようとして、ちらっとこちらをみた。

 

 私は、サッと制服の上から着ていたアルマの作ってくれたパーカーのフードを被る。

 アルマは、前世お裁縫が趣味で、ドレスとかも手作り出来るレベルだったらしい。


「…カリスト、バル。ここで何してるんだ?」

「あ、丁度良い。ルドルフ、あの子に道案内してあげてよ。」


 こいつら知り合いだったのか。

 まぁ、クーデターの時に知り合ったんだろうな。


「…俺には婚約者がいるんだけど。君たちも着いてきてくれるならいいよ。」

「それだとロマンチックじゃない。」


 アルマ初対面なのによくそんな口聞けるな。


「婚約者がいる人にロマンチックあげてどうするんですか。さっさと行きましょう。」


 フードで顔を隠したままずんずん進む。


「道に迷っているのかな?」


 …腹黒モードオン。

 未来の宰相様は、幼少期からポーカーフェイスを躾けられ、社交界で酷使させられたことで人前に出ると自然と腹黒いエセ笑顔をしてしまうのだそうだ。


「そうな…の!…案内してくんない?」


 声をかけられて振り向いた先にはルドルフだけでなく、私達もいたのでロマンスのかからもない。ただの迷子団体旅行客とバスガイド宰相様だ。

 ヒロインが一瞬固まったのもわかる。


「講堂に行きたいんだよね?」

「そうよ!全く、この学校、道が複雑すぎて分かりにくいのよね。だいたい、入学式とかなんとか式って必要かしら?私が学園長だったら、そんな面倒な制度はなくすわ!」


 ひぇえ。この子、この学校でよく学園長に対してそんなこと言えるな。

 ルドルフのエセ笑いが苦笑いに進化してるよ。


「あれが講堂だよ。」

「あら、ついたのね!ありがとう。じゃね!」


 ヒロインはそう言うと、たたたっと走っていった。


「どうかな?面白いと思った?」

「…カリスト、君は俺に何を言わせたいんだ?」

「ロマンチックをあげようと。」

「言ったよね?俺には大切な大切な婚約者が…。」

「はいはい、行くよー…。道案内、ありがとうございました…。」


 私はカリストの背中をグイグイと押して前に進ませながら、ルドルフに挨拶して講堂に入った。


 ルドルフの説教は絶対長いと思ったから。

 長時間立つのは疲れる。

 ただでさえ、ヒロイン見るために立っていて疲れたんだ。


「うわ、成績上位者は前の方に座席があるの?」


 講堂に入って正面に座席表があり、上位者の席は一番前の右半分であり、左側には学園の最高権力である、生徒会の席がある。


「ってか、ルシア、何したの!?いっちばん真ん中の生徒会と隣の席じゃん!」

「な、なななななななんで…ととととと隣が生徒会長とか聞いてない知らない初耳。」




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