入試当日③
ズドドドッン、と次々に作りものの鎧の人形が壊れて行く音がする。
「これは…!」
「1000点をつけても良いレベルじゃないか?」
「一から描かずに一発で魔方陣を空間に顕現させられるのは国王陛下と、王太子殿下と、マズルカ令嬢くらいじゃなかったか!?」
点数をつけるための試験官の驚きの声があちこちで聞こえる。
「…………………。」
「…え、何かな?」
そして私は、隣の皇太子にドン引きしていた。
「…人形、全部壊す気ですか。」
「点数高い方がいいと思って。」
「…もう十分じゃないですか。どう考えても満点でしょ。」
「帝国で引きこもってたから、加減がわからなくてね。」
「………………。」
カリストはかなりの魔術師らしかった。
それこそ、殿下と並ぶほどかもしれない。
「私の場合は、魔法陣を脳内で浮かべてすぐにそのまま魔力を空間に放出できるから、魔法の瞬発力があるだけなんだ。魔力量はそこまででもないと思うよ。」
「…私も一応それなりの貴族ではありますが、あんな一気に魔力を使ったら、そのまま魔力が空になって死にます。」
生物には多かれ少なかれ魔力がある。
ただ、まだ戦争で魔法が使われていた大昔に魔術師として活躍して貴族となった人達の子孫である貴族は平民よりも生まれ持った魔力量が多い。上位貴族となる特に。
持っている魔力が空になるとそのまま生命力もなくなって死ぬらしい。空になる前に、魔法を乱発して魔力がなくなると体調不良になったり、血を吐いたりするらしいが。
「…体調、大丈夫ですか?」
「今は大丈夫だけど、気をつけるようにするよ。」
この後、この人は武力試験のトーナメントも受けなければいけないのだが。ぶっ倒れても面倒みれないぞ?
「うわー、凄いね、カリスト。」
「俺達じゃこうは行かないからな!」
グループごとでまとまって試験を受けていたので、別グループのアルマとバルとは少しの間離れていた…が、騒ぎは伝わっていたらしい。
「帝国の皇太子としてはこの国の王太子のボロ負けというのはちょっとね。」
…それで満点目指してたのか。
「あー、王太子はヤバいよね。凄いチート。転生者でもないのにあの実力はちょっとイカれてる。」
「…どこに欠点があるんだか…。」
それな。
「とりあえず、早く次の会場に行きましょうか。」
「…あれ?ルシアなんかご機嫌?」
「……あー、まぁ、ルシアは、な。…お前わかりやすいな。」
「…もっと、ポーカーフェイスを保った方がいいと思うよ。可愛いとは思うけど。」
「………。」
誰だって、婚約者が褒められれば嬉しいでしょ。




