入試当日①
「…ついに、この日がやって来ましたね。」
「ああ!準備は出来ているぞ!」
緊張した空気の教室、前世とは違いこの世界の受験生は試験会場ではただただ静かにしているらしい。
こういう場面は実際に体験しないとわからない事だから、凄く新鮮だ。
そう、バル、アルマ、カリスト、私は、苦痛の勉強を超え、ついに学園の入試当日に突入した。
「…王国の試験制度はかなり進んでいるんだね。」
「学園の創立責任者ライド・カルフェスが作った制度だからね。」
「…カンニングの使用がない試験内容、魔法を用いられないための生徒に対する事前破魔陣の強制、しかもこれを行うのは代々の責任者と魔術師によってたくさん重ねられた強力な魔方陣…。この貴族社会で、ここまで徹底して学力試験の不正を防ごうとした目的はなんなのでしょうね。」
「…確かに!」
学園は平等主義を謳ってはいるものの、社会形態としてはあくまで階級が強い。だからこそ、階級から平民生徒を守るために平民院を用意せざるを得ないほどに。
それに、学園は全ての生徒の学力の向上を目指しているわけでもない。魔力、武力など他に優れるところが有れば、最低限の学力だけで学園に通え、卒業もできる。
可能性としては国がなんらかの理由で学力の高い人材を抱え込んでしまうために学園を利用しているということが挙げられる。
根拠として、入試で学力部門満点を取った生徒には、全学費免除だけでなく、伯爵家同等ほどの財力と権力が授与されることになっている。
まぁ、今まで学力部門満点はいなかったらしいが。
学力部門の歴代最高点は、895点。去年の春に受験した、我が国の王太子、つまり殿下の取った点数だ。
…転生者でもないのに、歴代の王国の転生者達に勝ち、堂々と1位の座に君臨…。スペックが高すぎる。
「…婚約者がかっこよすぎて死ねる。」
「……それ声に出てるけどいいの?」
「…もうすぐ試験ですね。プリントは魔法で同時に配られるらしいので楽しみです。」
黒板の前の時計を見る。
5、4、3、2、1、
パラパラ
「…わぁ。」
…空からプリントが配られる。
『開始』
そして、頭の中で誰かがスタートを言う。
その声の少し後、周りでペンが文字を書くサラサラと言う音が響き始める。
(やっぱり、異世界ってすごいな…。何するにしても、ファンタジーなのは嫌いじゃない。)




