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ボルタニアの皇太子



「おお!やっぱり成功したんだな!良かった!」


 …クルドがバルにだけ話して、内密に進めていたことがあるらしい。


「…帝国の支配者って…ボルタニアでクーデターでも起こしたんですか?」

「お前、勘が良いな。」

「誰でもわかりますよ。」

「え、私は分からなかった。」


 …アルマは鈍いからな。


「…もう少し面白いリアクションを期待していたんだが、アルマは興味なさそうだし、ルシアは勘が良すぎるな。…バルにも内緒にしておくんだったな。」

「おい、誰が皇太子の脱獄を手伝ったと思っている!」

「はいはい。ありがとよ。」


 帰って早々、クルドのバルいじりが始まった。


「…説明を。」

「そうだな。と、その前に、紹介しよう!帝国の皇太子、カリスト・バルタニアだ!」


 クルドは後ろにいたフードを深く被っていた人の背中をドンっと押し、フードを鷲掴んで外した。


((…はぁああああ……?))


 私とアルマは思いきし顔を歪めた。

 嘘でしょ。普通帝国の皇太子を連れてくるか?


「いて。…これから世話になる帝国のカリスト・ボルタニ…え?君は…確か。」


 私の顔をみたカリストが少し目を広げる。


「あああああ!!!なんで?なんでわかった!?」


 捕虜にした時に顔合わせはしているんだ。私が王太子の婚約者だとわかったんだ。でも、


「髪の色変えただけでわからなくならないよ。私は、人の顔を覚えるのは得意なんだ。特に君はわかりやすいけどね。」


 へぇ…、そうですか…。なんか、なんかすごいやつがきた。


「…あれ?もしかして、魔王!?」


 アルマは何を言っているんだ?


「魔王ではないんだけど…。私が魔王だったら、一人で父親を殺していただろうからね。」


 なんか凄いやつだな。


「…とりあえず、説明を。」

「…ああ。」


 曰く、この国の王太子、つまり殿下は、フランツを脱獄させ、クーデターを起こさせてボルタニアの皇帝の首をすり替えたかったらしい。クルドの組織を利用して、カリストを無事脱獄させたのち、帝国へ行き、カリストとクルドに平民を味方につけさせてクーデターを起こさせた。そして、脱獄したカリストが見つかったと言う名目で殿下が騎士団ごと帝国に行き、皇帝の側近連中を片づけ、カリストは皇帝の首を斬ったらしい。

 そのままカリストを皇帝にしても良かったがカリストはまだ成人していないので、カリストが成人するまでカリストの姉が皇帝を務め、彼女とカリストの後見人をクルドが務めることになったらしい。


「…この組織はついに正式な帝国の後ろ盾となったと言うわけですか。」

「そうだ。」

「…これで色々好きに動けるとでもいいたげだね。」

「まぁ、そうなんだよな!とはいえ、あくまで王太子が許す限りだけどな。帝国は王国に助けられている訳だから王国の機嫌、特に王太子の機嫌はそこなえねぇからな。」

「…なんというか、世間のスピードについていけないそうで怖いですね。」


 変化が早い。


「…しかし、皇太子殿下はなぜこちらに?人質でしたら、王城の方に行かれるべきでは?」

「…王城でなく、学園に4年間通って、卒業後に皇帝になれと言うことらしいんだ。」

「お、お前も学園に通うのか!?」


 バルも全てを知っていた訳ではないのか。


「うん。平民からの人気も考慮して、学園の庶民院に通うことになった。王国の学園は他国から通いに来るほどのものらしいから、期待してるかな。」


 なるほど。人質期間に印象操作までしてしまうとは、流石だな。


「学園の入学は、今年度の後半からですか?」

「うん。」

「と、言うことは、お前も勉強が必要だな!?俺と一緒にやろう!」


 バルはやけに嬉しそうだな。


「うん。喜んで。ところで、そちらの2人の紹介をしてほしいな。」

「…アルマ。」

「ルシア、です。ただの、ルシアです。」


 勢いを込めて言うと、ニヤッと笑われた。


「…そう言えば、クルドさんはなんで爆笑していたんですか?」


 ふん、ちょっとした意趣返しだ。






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