作戦会議(語り手:ツェルシア)
「ミクラス・マルザスの魔力暴走の魔力が教会の古代魔法陣に流れて起動。死者が出たと。」
「…ああ。お前が見たいのは、マリッサとの関係だろう?バルス・ロセンシアがマリッサとの接触後に先輩騎士によるいじめが露見したのに対し、ミクラス・マルザスはマリッサとの接触後不幸に見舞われている。」
「…これがマリッサさんの言っていたゲーム補正でしょうか。」
戦争のことと、これまでの私のことを全て話した後、クルドからミクラス・マルザスのことを聞いた。
「あまり本気に取り合ってなかったが、物語やらゲームやらの世界ってのは結構信憑性あるんだな。」
「何かしらの目的のために、私のもといた世界のゲームや物語をモデルに世界を作ったらしいと、マリッサが言っていました。」
「神の考えることを知ろうとするのは無理がある。とりあえず、目の前のことから考えて行くしかないな。」
目の前…。ストーリーのことか。
「アルマさんに聞いた話と、マリッサさんに聞いた話が違うから、どちらに転ぶかわからないです。」
「聖剣の姫が王子とくっつくか、聖女がくっつくか、か。言ってしまえば、聖剣の姫の役割は魔王を倒したらおしまいだから、国としては聖女を優先するだろうな…って、そんな顔すんなよ。」
クルドが眉間のあたりを指でゴシゴシ押してくる。
「…普通ですけど。」
「可愛い顔が台無し…ではねぇが、物語通りに進みそうもないから大丈夫だと余裕の笑みでも浮かべているといいだろう。」
ぽんぽんと頭を撫でられる。
何というか、すごい良い父親になりそうな人だな。
「…とりあえず、早く学園に入って様子を見ます。アルマさんとバルさんも学園に入るんですよね?」
聖剣のヒロインが来年から入る予定である庶民院に、学園の後期から先乗りして入る予定だ。
後期から入るのは本来よりも難しい。
前期からの入学なら、得意分野だけで勝負する形式の入試もあるが、後期の場合、魔法、学力、武力の全分野である程度の成績を収めなければ入学できない。
とはいえ、一つ得意分野が有れば、あとは最低限で大丈夫だし、アルマとバルなら大丈夫だろう。
「…そのつもりではあるらしいが…。」
「…何か問題が?」
クルドはため息をついて言う。
「アルマはともかく、バルは頭がな…びっくりするくらい悪いんだ。」
「でも、武力が強いだろうから、掛け算九九とかの程度ができれば入学は出来るのでは?」
この世界は全体的に数学や科学が進んでいない。
学園設立責任者が転生者であり、数学の入試問題は彼が生前大量に作ったものがランダムに出されるため(本人曰く全て同じ難易度)、入試問題はそれなりに難しいが、平均が低いので高得点を取る必要もない。
それに、難しい問題もあるが、小学生向けぐらいの簡単な問題もあるから、ちょっとくらいなら点数を取れる。
まぁ、難しい問題は本当に難しいとかで、満点が出たことは一度もないらしい。
「…あいつは、まだ2の段すら覚えていない。」
え!?
「前世では8歳児でも全部覚えてましたよ?転生者なんでしょ!?そんなまさか!」
「俺は!ちゃんと教えた!アルマだって教えたはずなのに、あいつは逃げるんだ!」
机に拳を叩きつける。
「…あいつだけ、入学できねぇ気がする。」
バルさんがいないと色々困りそうだな…。
庶民院に女2人は凄く不安だし。
つまり、マズイ。
「…に…きます。」
「あ?」
「早急に!勉強会を開きます!!」




