逃亡事件後(語り手:マリッサ)
ツェル様の逃亡事件、そしてノーランド公爵が死刑になったことは、戦争後、王太子が帰ってきた学園内でも話題の中心だった。
ツェル様は、ノーランド公爵の悪事を暴いた英雄として扱われることになり、王太子の婚約者は維持されたままにするそうなのだ。逃亡したことは伏せられ、フランツにより、王太子が信用している組織のもとで
王妃教育を受けている、と言う情報を発表していた。
…というのも、フランツはかなり無理を言ったのだ、と王妃様が愚痴っていた。本来未来の王妃に後ろ盾がないなどあり得ないのだが、なんでも、『俺は王家として義務を果たしてきたし、王家であっても、衣食住は保証されても命の保証はされていなかったから、国に対して貸し借りはゼロだ。よって、結婚まで国に従うつもりはない。好きに結婚出来ないくらいなら王家を辞める。』のだそうだ。
王位継承権を持っているのは、王太子のフランツと、王弟のマークス様だけど、フランツは圧倒的に優秀だからな…。フランツ以外の王を、国民が受け入れるとは思えない…。
「…まぁ、生涯において、結婚は大切だもの!自由にしても良いと思うわ!」
「フランツのことか?」
「きゃっ!…あ、ルドルフ。うん。」
生徒会室だし、メンバーのルドルフがいるのは当たり前だけど、いきなりはびっくりした。
「…ツェルシア殿が何処にいるのかは知らないが、まぁ、あの人は王妃教育がもう必要ないくらい優秀だと思うし、フランツの相手としては間違えないと思うけどな。」
「そうなの?」
「ああ。」
「…このまま、ツェル様に王妃様になって欲しいな。私は、悪役令嬢にはなりたくないし、やっぱり二人のこと、応援したい。」
「フランツがあの様子なら、大丈夫だと思うけどな。」
「…でも、ゲーム補正があるから。」
過去に、強力なゲーム補正に抗えなかったことがある。どうしてもあんな嫌な事件は起こしたくなかったから、必死に動いたのに、変えられなかった。ストーリーにとってどうしても必要なパーツだったから、補正が働いたのか。
何処までが偶然で、何処までが補正かわからない。
神様は、なんでゲーム補正をして、無理矢理にでもストーリーに沿わせようとするのだろう…?




