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消失!?(語り手:マリッサ)


 

「いた!フランツ!!」


 朝起きて、同じベッドに寝ていたはずのツェル様が居なくなっていて、凄く驚いた。


 心配で、服を着て、すぐに王城に行った。


 無事でいると伝えろと書き置きがあったけど、令嬢が一人で外を歩いて無事でいられるものかしら?

 それに、ツェル様は凄い美少女だし。


「ツェル様のことで!」


 執務室に居ないと言うことで、王宮のあちこちを探し回った結果、出かけてから帰ってきたっぽいフランツを見つけた。


「…ツェルのことなら、もう見つけている。」

「え!?」

「…逃げたら、行きそうな所をまわったら、ビンゴだった。しばらく、彼方さんで世話になる。もともとあまり社交界に出ていないから、大丈夫だろう。戦争はあってなかったようなものだから、貴族間で祝う必要はない。平民に多少サービスして終わりでいいだろう。」

「え?早くない?」

「…夜中にノーランド公爵から娘が王宮から帰っていないと言われてな。王宮にはいないから、急いで探したのだが、一度馬車で帰っているようだったから、だいたい何があったか察した。これから…公爵を殺しに行くところだ。」

「え?待って、仮にも王太子なんだから、殺人は!?」

「あくまで法に沿って殺す。」



          ◇◇◇◇◇



 王宮の騎士を何人か連れ、側近のルドルフと私を連れ、ノーランド公爵邸に来た。


「魔法陣が貼ってあるから安易には入れな…」


 バリッ!!


 フランツは空間に魔法陣を刻むと、陣を破壊した。


 ありえない。屋敷の大きさほどで実際に刻まれたものにたぶん何日もかけて魔力を流し込んだただでさえ強力な魔術師である公爵の最強の魔法陣が、空間に軽く刻んだだけの魔法陣で破壊出来てしまうなんて!


 門の外から騎士たちがやって来る。

 それから、周りには野次馬も。


「…ここって、王太子殿下の婚約者の屋敷だろ?」

「あれ、王太子殿下よね?」

「カッコいい…。」

「じゃないだろ!なんで婚約者の家を攻撃してるんだ?」


 あー。集まって来ちゃったわ。


 あ、公爵様だわ。


「殿下!?何故家の結界の破壊を!?」


 苦笑いしながら、話しかけてきた。焦っているのか、息が荒い。


「よくも俺の婚約者をいじめてくれたな。虐待は罪と問われると、3年前に法で定められたのを忘れたか。」


 落ち着いているが、よく通る大きい声で言う。


「…虐待!?」


 ルドルフは知らなかったようで、動揺している。


「は?なんのことだか?証拠がないではありませんか!?」


 そう答える公爵に、野次馬達は顔を顰めて、文句を言う。…これなら、ツェル様に悪い噂は立たなさそうだ。


「虐待の証拠ではないが、もっと良い証拠がある。」


 そういうと、フランツは魔力の込められた宝石を取り出した。


「この石には、空気の振動を読み取り、それを再現するように、魔法陣を付与したものだ。商品化はしていないが、王家の宝だ。」


 空気の振動を読み取る?なんでそれが証拠になるのかしら?


「音は空気の振動によって伝わるらしい。それを再現できれば証拠が取れると思ってな。公爵が帝国と通じていた証拠をツァルシアに取ってもらった。…公爵を拘束しろ。」


 話しながら破壊陣を作り、作り終えると騎士達に命じる。…チートね。転生者よりも断然。

 王妃様が転生者で、その元で育ったからかしら。


 抵抗する公爵を騎士たちが拘束し、場所に閉じ込める。


「屋敷の中を調査する。死刑にするなら、書類の証拠もあったほうが良いだろう。」


 かくして、本日、大貴族が一つ消え、公爵は死刑として首を刎ねられた。



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