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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

なろうラジオ大賞3

密室と蜜蜂

掲載日:2021/12/23

ショッキングな内容を含む作品です。

 気づいたら俺は知らない部屋にいた。


 その部屋の中央には養蜂箱が置かれている。

 蜜蜂たちは部屋の小さな小窓からひっきりなしに出入りしていた。


 水道がある。

 トイレもある。

 けれども冷蔵庫がない。


 この部屋には食料がなかった。


 一通り、部屋からの出口を探して絶望する。

 どこからも出られそうにない。

 入口の戸は固く閉ざされ、てこでも開きそうになかった。


 俺は焦る気持ちを抑えながら、脱出の手立てを探る。


 ふと、テーブルの上に目をやる。

 筆記用具が置かれていた。

 トイレにはペーパーの予備もある……。


 俺はあることを思いついた。


 ペーパーに助けを求めるメッセージを書き、それを蜜蜂たちに括り付けるのだ。

 俺は祈る気持ちでメッセージを蜜蜂に託して送り続けた。


 その十日後。


 助けは来ない。

 俺はひたすらに腹が減った。

 何も食べるものがない。


 いや……あるな、一つだけ。


 俺は養蜂箱に目をやる。

 あの中には蜂蜜がたっぷり詰まっている。


 食べたい、はちみつが食べたい。


 しかし……もし手を付けてしまったら……。

 俺はここから脱出する手立てを失ってしまう。


 蜂蜜を食べたい衝動を抑え、必死にこらえ続けた。


 そして……次第に彼らに心が惹かれて行く。

 俺にとって蜜蜂たちは生きる希望そのもの。


「おーい! この中にいるのかぁい?」


 扉をたたく音が聞こえる。


 助けだ!

 助けが来たんだ!


「助けてくれ! ここから出られないんだ!」

「分かった、今扉を破るから離れていてくれ!」


 なんと頼もしい言葉だろう!


 数回大きな音が聞こえたかと思うと、あっけなく扉は打ち破られた。

 俺がどんなに頑張っても傷一つつか……え?


「いやぁ、探すのに手間取ったよ。

 本当にありがとうね」


 そこには熊がいた。

 熊がしゃべった。


「さぁて、蜂蜜、蜂蜜。

 あっ、君は帰っていいよ」


 俺を無視して養蜂箱へ向かう熊。

 そして……。


「せいっ!」


 熊は一瞬で養蜂箱を叩き潰した。

 そして、流れ出た蜂蜜を右手で掬い取って舐めている。


 腹が減った。

 何も食べていない。

 蜂蜜を食べたい。


 あの……蜂蜜のしみ込んだ右手を……。


「……おい」

「うん? まだいたの? 何か……」

「右手食わせろおおおおおおおおおお!」

「え? いやぁ! 熊殺しいいいいいい!」



 ――数時間後。



「はぁ……おいしそうだ」


 俺は皿に盛られた料理に舌なめずり。

 ナイフをフォークで切り分けて口に運ぶと、深い味わいが口に広がる。

 咀嚼するごとに脳に幸せがあふれて行く。


 これが……これが蜂蜜の味。

 また食べたいな。

この小説はくまぽ様からリクエストを頂きました。

リクエストありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これは……! タイトルだけ見て、あれ? 以前読んだよね? と思いつつも、でも投稿順番違うしな、と読み進めたところ……。 今度はクマさんが食べられちゃうのですね……! >俺にとって蜜蜂…
[良い点] 今度は熊を食べる方でしたか笑 それはそれでクマさん可哀想と思ってしまう身勝手な人間です笑
[一言] ʕ•ᴥ•ʔ………。 食われたぁーーー!!(爆笑) 確かに予想外の展開でした。 ありがとうございました!
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