第5札 巨神覚醒!!
宙宇基陣と神威覇征抖の
カードゲーム勝負は第三ターン迄が過ぎた。
陣が使役する召喚モンスターは。
鉄拳爬虫人類キーパ 属性:土4 技:正拳逆突き
命中 火4≧水3 威力 土5/風3
遠尾爬虫人類ティラン 属性: 技:テイルウィップ
命中 風3≧水4 威力 火5/土3
二体であった。
二体共ノーダメージだ。
とは言っても。
神威のモンスターは一度も攻撃していないのだが。
此のゲームは
召喚モンスターを変更する事は出来ない。
が、使役の方針を変える事は出来る。
方針は戦術カードとして
もう一枚のカードで表す。
キーパの戦術カード
‐ 属性:土1 技:三戦
命中 火0≧水0 威力 土6/風0
ティランの戦術カード
闇に眼光るヤマネコ 属性:火2 技:ダークスラッシュ
命中 風2≧水2 威力 火3/土2
キーパの戦術カードは
モンスターカードとしては使えないカードであった。
というのも。
攻撃の判定値はモンスターの能力値も兼ねていて。
どれかに0が有ると
最初から戦えない事に成るからだ。
其して神威はと言えば。
神威の召喚モンスター
全知全能の神ゼノン 属性:水7 技:アブソリュートスマッシュ
命中 火6≧風6 威力 水6/土6
ゼノンの戦術カード
ウオータードラゴン 属性:水5 技:ウオーターショット
命中 火5≧風3 威力 水6/土4
ゼノンのダメージ
風ダメージ2 水ダメージ3
各属性は
水は水同士で対抗、
土、火、風は三竦みの関係性で。
風ダメージは土能力値を減らし
水ダメージは水能力値を減らす。
此れにより
相手モンスターの能力値を
どれか一つ0にすれば倒れる、
という訳だ。
という所で。
次のターンが始まる。
「「第四ターンドロウ!!」」
神威と陣が掛け声と共に手札を引く。
此のゲームでの「ドロウ」は特に
手札から場に出す時の宣言だ。
英語的には抜剣もドロウと言うのだが
其れを意識しての事だ。
其れぞれが出したカードは。
全部縦表示だ。
縦表示は通常行動。
今出したカードを行動カードとして使う。
神威はやはり。
「行動無しだw!」
神威の行動カード
エアドラゴン 属性:風5 技:トルネイドブラスト
命中 風6>火3 威力 土5/水4
召喚モンスターは
戦術カードと行動カードのウェイトの合計値が
能力値以下ならば行動カードの技が使えるのだ。
更に言えば
戦術カードと行動カードの属性が異なる時は
低い方の能力値以下ならば使える
というルールだが。
「全知全能の神」ゼノンの能力値は
土火風水全て6なので低い方も何もない。
其してウェイトの合計値が10だと
神だとて行動出来ないというルールであった。
陣の行動カードは。
キーパの行動カード
鎧獣アルマージ 属性:土2 技:肉弾攻撃
命中 火2≧風1 威力 土4/水2
ティランの行動カード
サラマンダ幼生体 属性:火2 技:火炎弾
命中 火4>水1 威力 風2/土2
カードを出した本人である陣が
つい笑ってしまう。
「アルマジロって、別に肉弾攻撃はしないよなw?」
「知らんw!」
神威も面白がっているものの
一言で切って捨てる。
行動順は。
モンスターカードと行動カードの
ウェイトの合計値が少ない者からである。
今回、キーパは戦術カードのウェイトは低いものの
行動順には影響しない。
拠って。
「キーパとティランの同時攻撃!!
キーパの肉弾攻撃!! 其してティランの火炎弾!!」
キーパの肉弾攻撃
回避 火9<風10 威力 土20/水9
ティランの火炎弾
命中 火15>水11 威力 風13/土12
「くっ……!
キーパの攻撃は失敗!
ティランは成功!! ギリギリかっ!!」
「残念だったなw?」
陣は悔しがり神威は余裕の笑みを浮かべる。
「火ダメージ1が残留します!」
主審たる老執事が宣言する。
ティランの攻撃は当たりはしたが
威力が1以上でなければ
ダメージが残らない所だったのだ。
「火ダメージは風能力値を減らします!」
老執事が続けて述べる。
此れで。
ゼノンのダメージは
火ダメージ1、風ダメージ2、水ダメージ3
と成った。
「「第五ターンドロウ!!」」
今回も全部の行動カードが縦表示だ。
今回の神威の行動カードは。
アースドラゴン 属性:土5 技:ドラゴンクロウ
命中 水4≧風3 威力 土6/火5
「行動無しだw!」
やはり行動無しだが。
最初から神威は
ゼノン以外はウェイト5のカードしか出していない。
此のゲームは。
カードの種類に枚数制限は無い。
偏った構築をすれば自分が困るだけなので
特には規制していないのだ。
未だ神威が攻撃出来ていない様に。
其れでもウェイト5のカードを出し続けているのだから
狙いはあからさま過ぎる。
陣の行動カードは。
キーパの行動カード
ウッドペッカー 属性:風2 技:キツツキ連打
命中 土3≧水1 威力 風4/火1
ティランの行動カード
凶暴ぬめりウナギ 属性:水2 技:喰らい尽くす
命中 水3≧風1 威力 火3/土2
「キーパとティラン同時攻撃!!」
キーパの攻撃
命中 土20≧水8 威力 風10/火10
ティランの攻撃
命中 水13≧風9 威力 火16/土13
「両方成功だ!」
「風ダメージと水ダメージが残留します!」
陣が計算結果を宣言し、
老執事が残留ダメージを告げる。
此れで。
ゼノンのダメージは
火ダメージ1、風ダメージ3、水ダメージ4と成った。
「ウナギって実は
凶暴で危険って言うよな」
陣はつい、という感じに言う。
神威はニヤニヤと。
「キサマ893なのかw?」
等と返す。
詰まり、
其ういう知識であった。
「な訳ないだろっ!
……けどマンガのキャラが
893って言っていたなあ……?」
「キサマでもマンガは見るのだなw?」
「其りゃあな?
で!
創作物じゃあ一定数
其んなのが好きなヤツ居るよな!
現実には遭いたくもないのだろうけどなっ!!」
「ふんっw!
創作物なぞ所詮ニセモノよなw!」
「なーぁ……?」
何やらしみじみと話してしまったが。
「「第六ターンドロウ!」」
勝負は六ターン目に入った。
カードは先ず裏で出して
行動カードが出揃ってから表返すのだが。
神威は。
行動カードを横表示で場に出す。
詰まり。
戦術カードの変更であった。
其して。
神威は表返す前に語り出す。
「今迄キサマを見ていてだなw!
充分資格有り、と判断してやるぞw?」
何の資格か。
カードゲームの大会に出る資格である。
陣は。
大会で優勝しなければいけないのであった。
クズな親の手から逃れる為に!!
其れは神威の手に懸かっている訳だが。
「……其れはどうも」
陣は厳しい表情だ。
「くっw!
良いぞw!
普通は甘い言葉を囁かれれば
靡いてしまうものなのだがなw!」
「唯他人を信じられないだけだ」
「くっw! 卑下する事はないw!
世の中勘違いしている輩が多いがなw!
「信じる」と「鵜呑み」は違うのだw!
オレとて引っ掛ける積もりじゃあ言葉は吐かんが。
今のでキサマの株が上がった、と言っておいてやるw!」
「つくづく神威って偉そうだよな?」
「ふんっw! 処世術だ!
言うだろうw? 「力こそ正義」だとなw!
真理だぞw?」
「ああ。
神威を見ていると分かる様だよ」
陣は神威に賛同しつつ。
表情は険しい。
神威は構わずニヤニヤと続ける。
「さてw!
キサマはオレが6~7ターン攻撃しない、と予想したなw?」
「予想と言うか、
軽く思い浮かべただけだ。
計算とすら言えない程度に、な」
「ふっw!
此のゲームは行動の順番も厳密に決まる。
此のターン……」
陣の顔に険しさが増す。
「最後に行動すれば……
丁度予想の真ん中だと思わないかw?」
陣は。
モンスター二体共通常行動にしていた。
其処で。
神威がカードを開示する。
ゼノンの変更戦術カード
‐ 属性:水1 技:無我の境地
命中 風0≧土0 威力 火0/水6
「ゼノンはウオーターショットで攻撃だw!
重いから最後に成るだろうがなw!」
とうとう
ゼノンの攻撃が始まる。
だとしても
陣は行動を開始しなければ成らない。