第3札 戦闘開始!!
今話は挿絵が有ります。 苦手な方は画面右上「表示調整」を。
宙宇基陣は神威邸に一晩泊まり、次の日。
カードゲームの為専用とでもいうかの様な部屋へと通された。
「覚悟は良いかw?」
神威覇征抖は面白そうに訊くが。
「ああ!」
陣は目の下に隈が有る。 其れでも腹は満たしたという所か。
神威と陣の二人が向かい合う様に席に着くと。
其れぞれの脇に控えた黒服の男達は山札をシャッフルする。
黒服の男達は副審という所か。
其して主審であろう位置には老執事が立つ。
神威と陣は其れぞれの山札から手札を九枚引き!
「「九枚引き抜く!! 其して召喚!!」」
手札から裏返しのカードを横向きに出す! のだが!
陣が更に手を横にずらすと場に出したカードは二枚有る!
「……良いんだよな?」
陣は挑む様に睨むが!
「ああw! 構わないともw?」
神威は余裕を以て応える!
其して改めて二人は裏返しのカードを開示する!
陣の召喚モンスターは!
「鉄拳爬虫人類キーパ! 並びに遠尾爬虫人類ティラン!!」
鉄拳爬虫人類キーパ 属性:土4 技:正拳逆突き
命中 火4≧水3 威力 土5/風3
遠尾爬虫人類ティラン 属性:火4 技:テイルウィップ
命中 風3≧水4 威力 火5/土3
神威は尚余裕そうに嗤う!
「ほうw! ならばオレはコイツだw!」
神威の召喚モンスターは!
「……何だよ其れは……?!」
呆然とする陣に! 神威は傲然と応える!!
「全知全能の神ゼノンw!」
全知全能の神ゼノン 属性:水7 技:アブソリュートスマッシュ
命中 火6≧風6 威力 水6/土6
陣は。 頭を抱えながら確認し始める。
「其れ……! ウェイトは7、なのか?」
「其うだw!」
此のゲームは
召喚モンスターを使役する、という設定なので
強いカード程重い、という事だ。
なので「ウェイト」は「レベル」と見ても良い。
陣が7、と見た記号は。
一見六芒星の様だが。
縦表示なら下向き三角の部分が
下底が小さい台形に成っている。
六芒星とは三角形を二つ。
逆向きに重ねた図形。
台形とは二辺が平行な四角形で。
平行な二辺を上底、下底と言う。
「何でウェイト7で技名が有るんだよ?」
「さあなw?」
基本カードは全て
技としても召喚モンスターとしても使える、
という事に成っているが。
ルール上どちらかにしか使えない筈、のカードも有る。
召喚モンスターは其れぞれ能力値が有り
能力値を超えるウェイトの技は使えないのだが。
能力値に7が有るカード等
少なくとも陣に与えられたカードには無かった。
処か。
「全知全能の神」とやらのカードすら
能力値は全属性6、であった。
しかし神威は真面には答えない。
「……レアカードとかで何とかする、
……って所か?」
「良いぞw! 其の調子だw!」
神威は何処迄も
陣を試している様だ。
「マイナス1、なんてカードでもなければ
ウェイト7のカードを技としては使えないよな?」
「さぁあなぁあw?」
レアカードとは確認出来ないもの、ではあろうが
やはり神威ははっきり答えない。
「でなければ何れ
能力値に7が有るカードでも出すのか?」
「どうかなw?」
やはり神威はニヤニヤするだけだ。
「全知全能の神」が能力値6なのに
能力値7のカードなんて出せるのかというのが問題だろうが。
結局は陣が気にする事でもない。
「……続けるか」
「良いともw?」
神威は何処迄も偉そうに応じる。
実際、
陣が親失格な者の手を離れられるかは
神威に懸かっているのだが。
「「戦術カードセット!!」」
二人は次に召喚モンスターカードの下に
横表示のカードを裏向きにセットする。
相手に出すカードを知られては
進行に差し支えるので
先ずは裏返しで場に出すのが基本だ。
場に出すカードが揃ってから
改めて表返す。
戦術カードは技でも召喚獣でもないので
横表示な上更に逆向きにして
召喚モンスターの下に置く。
キーパの戦術カード
最速のファルコ 属性:風2 技:急降下突き
命中 風6>水1 威力 土1/火1
ティランの戦術カード
悪魔魚ピラニーア 属性:水2 技:暴食の牙
命中 火3≧風1 威力 水4/土1
ゼノンの戦術カード
ファイアドラゴン 属性:火5 技:ドラゴンブレス
命中 火6>水4 威力 風3/土5
「……随分強気なカードを出すな?」
陣は又もや額を押さえて呻く。
「ふっw! 落ち着くが良いw!
分かるだろうw?」
神威は面白がっているが。
「本気で勝負はしていない。
確率的にだが6~7ターンは攻撃しない。
……って所か?」
陣が其う言うと。
神威は面白がりながらもクワっと目を見開く!
「ほおぉおうw!
どうして中々w!!
楽しめそうじゃあないかw!!」
さらりと言った陣の言葉への神威の反応!
何が其んなに琴線に触れたかというと。
陣は神威の構築した山札を推測して
腹積もりも見抜いたのだ!
神威も其れを察したという事!
更に陣はさり気なく言ったが
「確率」は立派に数学の一分野と成っている!
陣が推測した材料は!
ルールと神威の召喚モンスターの数、
其して戦術カードだ!
「では行くぞw!」
神威の目がギラリと光り!
「「第一ターン! ドロウ!!」」
と、二人は行動カードを其れぞれ手札から引く!
此のゲームは。
一度出したら変更不可な召喚モンスターを出し。
次に
モンスター使役の方針を決める戦術カードを出し。
其して実際の行動を表す
行動カードを縦表示で出す!
と、三枚のカードでモンスターの動きを表すのだ!
神威が行動カードを表返すと!
アースドラゴン 属性:土5 技:ドラゴンクロウ
命中 水4≧風3 威力 土6/火5
「行動無しだw!」
行動カードは
戦術カードとのウェイトの合計値が
モンスターカードの能力値以下ならば使えるのだが。
今回は火5と土5で合計10なので行動無しと成る!
「火のドラゴンの次は土のドラゴンかよ!
デカいカードばっかり出すな!」
陣は呆れてしまうが。
「ファンタジーと言えばドラゴンだろうw?
寧ろコレが無ければ嘘というものだw!」
神威は勝負よりも面白がる方を優先する様だ。
因みに「四元素」だが。
「土」をsoilなんて訳している創作物が時々有るが
正しくはEarthである!
其して「風」はAirである!
「火」と「水」は普通にFireとWaterだが!
「でw? キサマの行動はどうなのだw?」
神威は陣を促す。
「……ああ。
俺はっ!」
陣が行動カードを表返す!
キーパの行動カード
猛禽の王者イーグル 属性:風3 技:荒鷲の爪
命中 風5>水2 威力 土3/火2
ティランの行動カード
悪魔魚ピラニーア 属性:水2 技:暴食の牙
命中 火3≧風1 威力 水4/土1
「キーパは行動無し!
ティランは攻撃!! 「暴食の牙」!!」
判定は!
ティランの能力値! 戦術カード! 行動カード!
更に相手の行動カード!!
全てを合計し!!
命中 火16≧風8 威力 水16/土11
「命中」は!
式の左辺が右辺以上ならば
攻撃成功!!
「威力」は!
分子を分母で割ると!
1.45…と成り!!
「ターン内の瞬間ダメージは計算通り!
1を超えれば以降、
カード一枚に付きダメージが1残留します!」
主審たる老執事が告げると!
「ターンエンドだ!」
陣は宣言する!
拠って!
「ゼノンに水属性のダメージが1、残る訳だな?」
「其うだw!」
余裕なのか、
神威は表情を崩さない。
「要領は掴んだ!」
陣が言うと。
「結構w! では続けようw!」
神威は応える!
其して二人は行動カードに使ったカードを捨て札にして。
ダメージを与えたカードは行動カードの更に下に置く。
山札から手札に
減ったカードを補充すると。
「「第二ターン! ドロウ!!」」
共に宣言する!