~目指せ!!国外脱出、珍道中~
説明文みたいな拙い文章ですが、読んで頂ければ、幸いです!
状況のわかってない幼い二人に、どう説明したら良いか。無事に城から脱出したが、帰れる保証もなく、ここは、別世界。秩序も法律も事情もまるで違う。幼い二人を安全に移動させるには、まずは、足がいる。体力など、消耗が早い二人を連れて、この国を出るには、同じく、国を出る事情を持つ人間に合わせて、連れてって貰おう。城下町には、いくつかの店と露店がある。情報収集が先だ。
「いいか。理世。響。俺たちは、どうやら、別世界に来たみたいだ。で、この国の王は、信用出来ない。巻き込まれないために、逃げる。」
「別世界?ってなーに?ここ、どこなの?」
「僕たち、帰れないの?」
やはり、わかってない。無理もない。とりあえず、貰った金で、泊まるとこを探す。部屋には、ベッドが一つ。簡素な部屋だが、腰を据える。
「さっき、王様がいただろ?そいつの話では、ここは、ヒュードラって国らしい。どうも魔族…んー?わかりやすく言うと、絵本にある魔王がこの国を狙ってるらしいんだ。で、勇者様たちに倒して欲しいと、俺らがいた世界の人間を呼び出した。俺らは、完全、巻き込まれただけ。事故。だけど、あの王様たちは嘘をついてる。」
「嘘?」
「そう。魔王がこの国を狙って、国は、対抗してるみたいだけど、見たか?王様と王妃様。きらびやか、眩しいほどのキラキラだったろう?困ってんなら、まず、そんな格好しない。大方、ちょっかい出して、手に負えないんだろ。帰り方もあるか、どうか、わからない。でも、俺には、お前たちがいる!!いいな!これから、三人で、この世界で生き抜くんだ!!」
「んー?うん!!」
「わかった。」
理世は、わかってるのか 、わかってないのか、わからないが、響は、力強く、頷く。
「まずは、腹ごしらえだな。」
買ってきた出来合いの惣菜を並べる。サンドイッチだ。だが、ちょっとパンはボソボソしてるが、中身の具はまあまあ。
飲み物は、この宿の水を貰った。味的には、変わらないので、良かった。
ベッドに三人で、ぎゅうぎゅうになりながら、寝る。スプリングが固いため、理世は、気になったようだが、疲れていたせいか、直ぐに寝た。
朝から、活動をする。情報収集によれば、国境付近に、あちこち行くためのバスのようなものがあるらしい。とりあえず、この国から出れれば、問題ない。気づいたが、服装が目立つ。自分は、学生服で、誤魔化し出来ると思ったが、理世の服装はワンピースで、刺繍が施されている。辺りを見渡すと、一般人の服装に刺繍がない。しかも草臥れてる。同じく、薄い長袖とズボンを履いてる響なら大丈夫かと思いきや、色合いが違う。くすんだ色がポピュラーらしい服装では、彼の着てるのは、ちょっと良いとこに見える。
手早く、露店で子供服と自分用の服を買って、奥で、着替えさせて貰った。服は買い取りして貰え、旅費の足しになる。
乗り合いには、かなりの人数が、乗車しており、行き先は、近場の隣国の国境付近。カルバン。
行商に行くらしい商人や冒険者らしき団体、家族で乗ってる人も見受けれた。長旅の為、少しでも足を休めたい。
ヒソヒソ話をしてるのが、耳に入った。
「この国はもうダメだ。魔族に喧嘩を売った。戦争になる前に逃げよう。」
「それ本当だったの?なら、国境封鎖になる前に出て良かった。」
国境封鎖になる前に、出てきて良かった。内心、焦る。こっちは、幼児二人、抱えてるんだ。カルバンに着いたら、直ぐにまた、情報収集をして、安全を図ろう。
良く、彼方で見た海外の乗り合いバスのような感覚で、不思議な感覚。
家庭事情により、中々、旅行に行けなかった分、よく、テレビでは、芸能人やリポーターが、海外の旅番組を観ていた。発展途上国によく見る乗り合いバスのような乗り物に、密かに、気分高揚。
「響。しりとりしよ!」
「いいよ。」
呑気にしりとりを始める彼らに、こんな時なのに笑ってしまう。
途中で、休憩を挟んで、いよいよ、隣国との国境付近。乗り物からぞろぞろと、降りていく。
「お尻、いたい!」
「ずっと座ってたもんね。こんなに遠いとは思わなかった。」
「二人ともこっち。」
ちょっと離れたところで二人に言い聞かす。
「いいか。ここは、隣国との国境付近カルバンって言うらしい。宿を見つけて、そこで休むけど、明日は、同じく、情報収集をする。ヒュードラ国を無事に出ても、安全でいられる場所まで、繰り返すから。俺から離れるな。出来るか?」
「うん!」
「わかってる。」
よしと二人と手を繋ぐ。列に並び、町に入る許可を待つ。人の良い商人から聞いた話では、ギルトカードを持たない人たちは、町の通行料を払わねば、ならないらしい。見る限り、子供三人なので、銀貨二枚。地味に痛い出費だが、仕方あるまい。町に入ったら、金策を練らねば。
鎧姿の兵士に、ギルトカードを保持してない旨を伝え、通行料を払う。
「にいにい!わんわん!犬がいるよ!」
「え?犬?」
理世に言われて、前を見ると、息を呑んだ。漫画等で見る所謂、獣人。だが、どうも変だ。重たい荷物を担ぐその姿は、ガリガリで、首輪をしている。鉛色のその首輪を見てるだけで、なぜか、不愉快に駆られる。獣人だけではない。人もいて、虚ろな目で、せっせと、仕事をこなしてる。その人にも同じように鉛色の首輪が嵌められていて、見ていて、これは、奴隷だとわかる。
そうか。この世界、奴隷制度があるのだ。恐らくは、治安も良くないだろう。誘拐する人攫いもあると見て、間違いない。
「理世、響。おいで。」
二人を抱えて、直ぐに、宿を探す。
ここも離れた方がいい。
金策をまずは練らねばと思い、考えたのは、何かを売る。しかし、困ったことに、ないのだ。ならば、どうしたら。
オタク友達のキタモトが言うのを、思い出せ。
こうなったら、どうしたら良いのか。
確か、冒険者になり、魔物や薬草等の採取で金を稼ぐ方法。
もしくは、開発したものを商人のように、売買して、稼ぐか。
どちらにせよ、ギルトに行くべきだ。問題は幼児連れ、留守番させとくには、不安。
特に妹。興味津々に今も窓から外を眺めてる。
「あれなんだろう!」
「どれ?何て、書いてあるんだろうね。」
二人はまだ文字すら読めてない。当たり前だ。幼児で、遊ぶことが仕事。この世界の文字を変換して読めるのは、自分。不幸中の幸い。
「二人とも、こっちに。これからの予定。まずは、俺は、冒険者になる。そのために、冒険者ギルトに向かう。手続きはどれぐらいで、出来るのかは、わからないけど。その間、おとなしくしてろ。特に理世。」
「なんで、理世だけ?」
「理世ちゃんといいこにしてるよ。ね。」
見合う二人に、離れるなとこれまた言い聞かす。
後者を狙いたいが、その前に確実になれるのは、冒険者だ。命も脅かすかも知れないが、気をつけて、やるしかない。二人の交通料は、仕方ない。その分まできちんと、稼がないと。
その為に、冒険者ギルトへ行こう。