【番外編】(after.17)男は一緒のお風呂にも憧れがある。
~初見の方への人物紹介~
■セリ:主人公。移動舞踊集団ナナクサと呼ばれるキャラバンの生き残り。行き倒れたところをボルターに拾われ、現在に至る。暗殺者として仕込まれた過去があることは秘密にしている。
■ボルター:エヌセッズというギルドのエロマスター。バツイチ。2児の父。現在独身。一応ギリギリ20代。
■レキサ・ロフェ:ボルターの息子と娘
■ナック:喰らうもの(ファージ)と呼ばれる森の番人。通常形態は白いふわふわの生き物。
「ボルター! ボルター!! 大変なの! ちょっと来て!!」
入浴中のセリから呼ばれ、ボルターは「おいおい…」とつぶやきながら、口元はゆるみまくりで浴室の前まで来た。
「なんだよセリ。一緒に入りたいならそんな回りくどいことしねえで『一緒に洗いっこしたいの♡』って甘え声で言えよ。素直じゃねえなあ」
浴室の中からセリがボルターに向かって怒鳴る。
「なに訳わかんないこと言ってんの!? ナックが大変なの! もしかして爆発しちゃうのかな!? お願い! ちょっと見て!」
扉が細く開き、セリがそっと手だけを浴室から延ばしボルターに渡したのは変わり果てたナックの姿だった。
「…っ!? ナック!? どうした! 何があった!」
セリは落ち込んだ声で扉の向こうから説明する。
「ナック、また最近元気なくてぺちゃんこに潰れてたでしょ?
私、知らないうちにまたひどいことしちゃったんじゃないかって心配になって、ナックと親睦を深めようと思って一緒にお風呂誘ったの!
それでナックの体をゴシゴシ洗ってたら、急にナックが固くなってきて、なんかムクムク大きくなってきて、ビクビクってなって……それで私怖くなって、またこの前みたいに爆発したらどうしようって……ボルター、どうしよう…っ?」
「お前バカ! 言うなーーーー!!!
ナックさんは初心で純粋で不器用な雄なんだぞ!!!
それを……お前…っ。コシコシしたら固くなるのなんて当たり前だろーが!!
それをいちいち本人に聞こえるように事細かく俺に説明するなんてどんだけレベルの高え言葉責めだよ!! 俺にしてくれよ!!! そういうプレイは!!」
「え? 私、もしかしてナックにひどいことしたの?」
「無自覚か!? タチ悪いな! どんだけ悪女レベルが高いんだよお前は!!
いいか? お前がナックにしたのはつまりこういうことだ! 口を挟まず黙って聞いてろ!
『なんだよセリ、お前のココ、固くなってるぞ?』
ボルターが指を滑らせると、セリは身をよじって反応する。
『あ、だめ…っ、そこ、そんなに擦んないでぇ…っ』
『なんだよ、逃げんなよ。ちゃんとキレイに洗ってやるから、……奥までな?』
『あ、やだ。待って…、あっ、だめぇっ』
口ではそういうが、セリは抵抗することなく、ボルターのされるがままだ。
『すっげ…キュンキュンしてるぜ、セリ』
ボルターの指が……、
ん? あ、やべ!! ちょっと待てナック!!
悪かった! 俺が悪かった! ちょっと待て! ここはマズイ! 耐えろ!!」
慌てるボルターの声に、扉を挟んでセリが非難する。
「何してんのボルター!! ナック爆発しちゃうの!? バッカじゃないの!! ワケわかんない朗読とかしてる場合じゃないでしょーがー!!」
セリの非難にボルターも言い返す。
「ワケわかんない訳ねえだろ! お前、子供のつくりかた知ってるってこないだ言ってただろーが!!
お前もお前でもっと色々想像して濡れろよ!! 感じろよ!!」
「は!? 濡れるってなに!? お風呂中なんだから普通に濡れてるでしょうが!!! 意味分かんない!
もういい! ボルターに任せても無駄だからナック返して!!」
セリがまた扉から手だけを伸ばし、ナックをつかんだ。
しかしボルターがその手をつかむ。
「馬っ鹿! お前!! 濡れてねえならナックのサイズなんて無理に決まってんだろーが!! 裂けちまうぞ!! 悪いこと言わねえから俺にしとけ! な!」
「もうホンっっト話通じない!! ナック返してってば!!」
セリがボルターの手を振りほどこうと力を込める。
「あ! 馬鹿!! そんなとこつかむな!!
今下手に刺激すると爆発どころか吹き出るぞ!!」
ボルターの制止に、一瞬だけセリが怯む。
「なに!? 吹き出るってなに!?」
しかし、一歩遅かった。
ナックは激しく痙攣すると、――ついにその時を迎えてしまった。
「う、うわーーーーー!!!」
「きゃあーーーーー!!!」
「セリ姉? お父さん? どうしたの?」
「おとーしゃーん、しぇりのおふろのぞいちゃダメだよー」
子供たちが二人の悲鳴を聞いて子供部屋から出てくる音が聞こえる。
「やめろーーー!! お前たちは来るなーー!!
こっから先はR指定だーー!!!」
ちなみにナックがマジ爆発したのは本編の第12話のときです。