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手記 1-2
前半略
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私はというと、それはもう大変な罪を犯したのです。とても人には言えないことを、あの子がずっと笑っていられるために──だから私は、ずっと見て見ぬ振りをしていたのです。
それは直視するには、余りにも酷な罪です。ああ、この日記に書けぬことが恨めしい。どうあっても自由にはなれない。私は私である限り、一生この罪に縛られたままなのです。
私は決断しなくてはならないのでしょう。打ち明けるのか、それともいっそ……
どちらにせよあの子を苦しめる選択です。其れも此れも私が隠してしまったから。今更どうと言う気は無いのです。その筈なのに、
───今夜限り、今夜限りはあの子が羨ましい。あの純真無垢な心持ちでいられたら、どんなに幸せでしょう。あの様に伸び伸びと、何時迄も自由に清らかでいられたら、どんなに楽なことでしょう。でも私は知ってしまった。そうならざるを得なかったのですから、仕様がないのです。
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1-3に続く




