表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Echo  作者: 茉莉花じゃすみん
6/68

読んでいただいてありがとうございます、今回はやっとこさ部活動始まります。

可愛い少女が現れます。


ミントティーでも飲みながらどうぞ。

「光のAsp(アスプ)?」

(ゴウ)に問われた(モク)は、顔を縦に振る。

優太は、机から身を乗り出して、豪に問いかける。

「初めて会う能力なんですか?」

「ああ、初めて会うなぁ」

「……僕もビックリした」


黙が見たのはこうだった。

女の子が一人で日本スラム街に入っていくのをパトロール中に見つけたので、

「危ないよ」と手を掴んだところ、掌から(まばゆ)い光を発してきて目くらましされた、と。

「で、その後スラム街に消えていったのか」

ウン、と黙は頷いた。


「スラム街って危険なんですよね」

優太が恐る恐る聞くと、豪はウーンと唸る。

「まぁ人によるよ、俺みたいのもいるし」

「えっ、スラムに居るんですか!」

「昔のことなっ!」

何故か豪は自慢げに笑って見せる。

「……両親を失って住処を失った子供も多いよ」

「そうなんですか」

優太は初めて知った事実に驚いてばかりでいる。


「俺は助けられたクチだからさ、今はこうだけどよ」

「ずっと独りきりの子もいるんですね?」

豪は、一つ大きく頷いた。

「……多分、その子も孤独だと思う」

「助けられますか、ね?」

優太が不安そうな声を出すと、豪は優太の肩を叩く。

「そりゃ、話してみねえと分かんねえからな!」



「で、黙先輩は一人で大丈夫なんですか?」

「アイツもスラムには詳しいから大丈夫だ」

豪と優太は、学校から三十分ほどかけて着いた細い路地裏を歩いている。

換気扇や排気口が並ぶ空間に、たまに床に座り込む人や

ゴミ箱の様な大きなトタンの箱の上に酒瓶を並べている人。

優太が知らない世界の人が多くて、目が回ってしまいそうだ。

「気性荒いのもいるから、あんまり見ない方が良い」

豪は路地裏を真っ直ぐ見つめている。

もう少しで街の中心だ、という豪の言葉に優太はコクリと頷いた。


路地裏を抜けると、小さな広場に出る。

中央には干からびた噴水が静かに立っていて、辺りにはテントで出来た店が立ち並ぶ。

テントには小さく右下に『水先(ミズサキ)』と書いてある。

「水先って、」

「黙の父親が昔贈った品なんだよ」

黙の家族はスラムに手を掛けてたからなぁ、と豪は寂しそうな声でつぶやいた。


「黙さんとはどういう……」

「おい優太!アレ!」

豪が大声で遮ると突然走り出す。

優太は驚きつつも豪を追い掛けると、豪の先には自分と同じ位の歳をした少女が

豪から必死に逃げているのが見えた。

優太は豪の背中を追い掛けるが、少女は何度も路地裏を曲がっている様で、

次第にどの角を曲がったのか分からなくなり、一人になってしまった。

「豪先輩!」

優太は叫ぶが、路地裏の壁に反響した自分の声が返ってくるのみである。

「どうしよう……」

走りつかれて棒のようになった足を引き()りながら、それでも優太は歩を止めない。

路地裏は既に暗くなり始めており、自分がどこから来たかも分からなくなってしまった。


壁に手を付けながら歩き続けていると、

「はぁ、はぁ、」

と息を切らした少女が、ゴミ箱と換気扇の間にしゃがみ込んでいるのを見つけた。

「君は、」

「きゃぁ!」

少女は怯えた顔をして両手を優太へと向ける。

「落ち着いて」

優太は極めて優しい声を出すと、少女から一歩下がる。

「僕は、君の味方になりたいんだ」

「み、かた?」

うん、と優太は頷いて笑顔を見せる。

「疲れたから隣に座っていいかな?」

優太のその言葉に、少女は暫く悩んだが頷いた。

昔、ショッピングモールでトイレをしていたら、

女の子に扉をガチャガチャされたことがあって。

施錠が弱かったらしく、扉が全開に。

あの時見た女の子の怯えた顔を忘れません。なんでアンタが怯えとんねん。


次回投稿予定日:6/24 朝7時

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ