Echo
美空カノンちゃんの話が続きます。
結構活躍してくれると思います。
よろしくお願いします。
「美空さんがAsp?」
美空はニコニコと自慢げに笑っている。
「嘘、じゃあねえよな」
「そんな嘘つきません!」
美空はプンプンと怒り、豪へ両手を上げて抗議する。
「……なんのAspなの?」
黙が問いかけると、美空は喉をえへん、と鳴らしてまた胸を叩いた。
「百聞は一見に如かず!見せます!」
ハキハキと応じる美空に半ば振り回されつつ、豪たちは美空から距離を置く。
美空は豪から要らない瓶を貰うと、机の上に置いた。
「あ、こほん、あーあー」
「何が始まるんです?」
豪は眉をひそめて一歩下がった。
「行きます!」
美空が右手を開いて、瓶へと伸ばす。
「―-ッ!!!!」
美空が発した声は高くキンと響く音であった。
正面に居た優太は金切声に近い音を聞いて耳をふさぐ。
瞬間、瓶がパァンと激しい破裂音を立ててはじけ飛んだ。
「なんだ今の……」
「すごい……」
「……音のAsp」
黙が呟くと、美空は「そうなんです!良く分かりましたね!」とはしゃいで飛び跳ねた。
「低音から高音まで、好きなキーを出せます」
「オペラ歌手みてえだなぁ」
豪はホウ、と感心して美空の喉を見る。
美空は凝視されて恥ずかしいのか、両手を握り身体を左右に揺らした。
「いくつかの音を合わせて、ガラスを割ったり、頭痛を起こしたりします。」
「さっきのは凄い高い声を出したの?」
「えっ、聞こえたの?!超音波に近いのに!」
美空は優太の方を振り向いて、耳をジイっと見る。
今度は優太が照れて耳を真っ赤にした。
「……多分子供だから、聞き取れる、と思う……」
黙がそういうと、ヘエッと楽しそうに美空は黙の手を握った。
黙は前髪で隠れている目周りまで恐らく真っ赤にしているのだろう、
白い肌を全身赤く染めて顔をそむけた。
「というわけで、部活に入ってもいいですか?」
美空は浮いた声で豪にグンと近づく。
豪は頭を掻いて、ううん、と悩んだが。
「ホケツくんのパートナーになるならいいんじゃねえか?」
と提案すると、黙も唸りながらゆっくり頷いた。
「ええ!僕とですか!」
「よろしくね、優太くん!」
美空はニッコリとほほ笑み、優太の肩に寄り沿う。
近い距離に優太は心臓を跳ねさせながら、ウンと頷くしかなかった。
「そうだー」
美空は優太の腕を掴む。
優太は驚いてたじろぐと、美空は楽しそうに言葉を続けた。
「私のことは、カノンって呼んでよ」
「カッ……!」
下の名前で呼ぶことが恥ずかしくて、戸惑う。
美空はニコニコと機嫌を良くして、更に優太へ身体を寄せた。
「はい、カ・ノ・ン」
「か……か、カノン……ちゃん……」
「まー、合格かな」
パートナーなんだから仲良くしようね、と美空は腕を胸に寄せてギュウと抱き締めた。
「よろしくね、ゆーた!」
美空の小悪魔っぷりに、豪と黙も微苦笑するしかなかった。
イカを捌いたのですが、それから小虫が湧いてしまって困っています。
恐らく私の一生は虫に振り回されていくのだと思います。
かなしい。
次回投稿予定日:7/18 朝7時