表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Echo  作者: 茉莉花じゃすみん
12/68

安らぎの地

正直小説を書くのは上手くないのですが、

皆様の脳内補完能力の高さで、このEchoは成り立っています。

ありがとうございます。

「こっちこっち」

「待ってよコウ!」

優太がやっと追いつくと、そこは下水道の中でも開けたスペースがあった。

優太くらいかそれ以下に幼い子供たちが数名、床に座り込んでいる。

「ここは……」

「コウ達の秘密基地!」

コウは弾けんばかりの笑顔でそう答えると、優太の手を引っ張る。

優太はコウに導かれるまま歩みを進めていく。


下水道を進んでいくと、大穴までたどり着く。

何メートルも下へと下水が滝の様に流れ込む様を見下ろして寒気がする。

「コウ、ここ危ないよ」

「落ちなきゃ大丈夫!」

「怖い事言わないでよ」

キャッキャと笑うコウを見て、優太は心が安らぐのを感じた。


「あ、お兄ちゃんだ!」

先程子供たちがいた方が騒がしくなったのを聞いて、コウも釣られて戻っていく。

優太も後をついていくと、そこには二十を超えているだろう、

ガタイの良い男が、子供たちに抱きつかれていた。

「お兄ちゃん!」

「おう!コウもいたか!」

『お兄ちゃん』と呼ばれた男は、筋骨隆々の腕でコウを抱きかかえると、

肩の上に乗せてクルクルと回り出した。

「……んで、君は誰だい?」

男に問いかけられた優太は、正直に自分のことについて話すことにした。


「ほう、コウが言ってた命の恩人か」

「そんな、僕は別に何も……」

男はニコニコと笑って優太の頭を撫でる。

「コウは名付けてもらって感謝してたぞ」

「そうだったんですか!」

「毎日自分で名前を呼んで、大喜びさ」

男は子供たちに腕を引っ張られているのを優しく咎める。

本当にみんなのお兄ちゃんみたいな存在なんだろう。

「あの、貴方のお名前は?」

「俺か、俺はゲン」

ゲンさん、と優太が繰り返すと「お兄ちゃんでもいいぜ」と朗らかに笑う。

白いTシャツとジーンズはパツパツで、所々穴が開いている。

コウと同じでスラム出身なのかもしれないな、と優太は思った。


「俺はココで子供たちを匿ってるんだ」

「皆、コウと同じ様な境遇の子なんですか?」

「まあ、そんなもんだな」

ゲンは膝の上に順々に乗ってくる子供たちの頭を激しく撫でている。

スラムでコウが生活できているのも、確実にゲンのおかげなのだろう。

「あの、ありがとうございます」

「ん、なんで優太君が感謝してるんだい」

「いや、僕にはコウを守ることが出来ないので……」

「んなことはないだろうけどよ」

ゲンは困ったとばかりに頭を掻いたが「どういたしまして」と返し、

それから優太の頭を、子供たちと同じく激しく撫でた。


優太が恥ずかしがって『やめてください』と口に出そうとした刹那。

ガンッ!と近くで金属が弾ける音がする。

慌てて見遣ると、入ってきた金網が外れていて、先ほどより光が入ってきている。

「なんだ!」

「よっ、と」

マンホールの穴から飛び降りて、静かに着地した緑髪の男は、優太に目を向けニヤリと笑った。

それから「案内ごくろーさん、ユータくん」と口を歪ませながら発した。

著者の名前は高校の頃に、毎日ファミマでジャスミン茶を購入して

飲み続けていたことで友人から付けてもらったものです。

大学では本名だと間違えられて、クォーターだと思われてました。


次回投稿予定日:7/4 朝7時

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ