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幕間 4




 ツクモとのデートを終えてオーマが家に帰ると、そこでは予想外の客が待っていた。


「ルシール?」

「あ、オーマお帰り」


 居間で寛いでいたルシールは立ち上がり、オーマの方へ走り寄ってきた。


「どうしてお前がここに?」

「それなんだけどさ……――あたし、今日からここに住むね」


「…………………………あ?」




 普段から礼儀作法をよく守るオーマだが、この時ばかりは廊下にドタドタと足音を響かせた。


「サラリサ!」


 オーマが彼女の部屋のドアを開けると、当の本人はいつも通りの様子で応対した。


「これはオーマ様。お帰りなさいませ。デートはいかがでしたか?」

「それは、いい。それより……何だ、これは?」


 そう言って、オーマは彼にあとをついてきたルシールを指差す。


「ああ、ルシールさんは当面ウチでお預かりすることになりました」

「何でだ?」

「本人が私の下で花嫁修業をしたいと仰って、それを承諾しました」

「……花嫁?」

「ほ、ほら! あたしもお年頃だしさ! サラリサ様にその辺の極意とか習いたいと思って!」


 オーマが胡乱なめでルシールを見ると、彼女は慌てた様子で言い訳した。


 まあしかし、それを咎められる理由もなし……サラリサ本人が了承したのであれば、オーマからは何かを言える立場ではなかった。




 無論、サラリサの考えは言葉のままではない。


(オーマ様が愛妾を作るのは甲斐性の範疇。男を上げるために何人いても構いませんが、本妻はやはり身内であるのが望ましいのです)


 ツクモを虜にし、彼女を意のままに操るのは素晴らしい手だ。


 だがそれはあくまで彼女からオーマに貢がせる形が理想である。


 では本妻を身内の誰にするかがまた問題であるが、ルシールであればかなり条件を満たしている。


 そのため一度教育を施し本当に彼に相応しいか試すのもよい――と、サラリサは考えたのだ。


 ふたりのデートを尾行していたのを見るに、当人の気持ちは彼に向いているようであるし。


「そ、そういうわけだからオーマ……これからよろしくね?」

「ああ」


 ルシールのはにかむような挨拶に、オーマは小さく頷く。


「えへへ」


 相変わらずぶっきらぼうな対応であるが、ルシールは照れ臭そうにもう一度笑う。

 これから毎日一緒に暮らせることになり、彼女はすでに舞い上がっていた。


 一方、そんな若い彼女を見ながら、ルシールは心の中で呟く。


(まあ、教育してみてポンコツだったら家に追い返すだけですけれど)



 ――四天会で最も恐ろしいと云われる女傑の花嫁教育の日々が待っていることを、この時のルシールはまだ想像できていなかった。


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