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でけぇ柱
結局出発した。理由もなく。理由もなく出発するのみんな同じだ。
街は広がり、俺を飲み込む。足がついているのかいないのかわからないが、前に進める。しばらく歩いてからここはどこかと考える。前方に道路がくねくねと曲がりながら延びている。端には街灯が立ち、闇を照らしている。見上げれば空に巨大な柱が横たわっている。どこから吊るされているか、ここからでは見えない。空も暗い。
「行き先は?」と誰かに尋ねられた。
「あの柱です。」
「あの柱ぁ? それならこの道の突き当たりに梯子があるから、そこから行けるよ。」
「ありがとうございます。」
そう言って、道を進み始める。足音と呼吸の音以外には何も聴こえない。歩いても歩いても、景色は変わらない。突き当たりとやらは全く見えない。延々と続く道。ウシロを振り替える勇気も無く、ただ、前に進み。