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【第59話:捜索】

「ふ、二人組の男に襲われて、ミミル様とユイナ様の行方がわからないんです!」


 ミシェルのその言葉を聞いても、オレは暫く理解が出来なかった。

 だが、事の深刻さに理解が及ぶと、すぐにミシェルに言葉を返した。


「ど、どういうことだ? もう少し落ち着いて詳しく話してくれ。トリスにはこの後オレから連絡をとってやるから、オレにも協力させてくれないか」


 オレがそう言って協力を申し出ると、ミシェルはすんなりと受け入れてくれた

 あらかじめ、何かあった場合には仮面の冒険者を頼るようにと話してあったのが、役にたったようだ。


「あ、ありがとうございます! あの、ミミル様はトリス様の妹なのですが、今日、セルビス様と共に街の外へ、実地での魔法の練習に向かわれたのです。それで……」


 途中、二、三オレの質問を挟みながら状況を聞いたところ、土魔法の練習にはどうしても広い土地が必要だという事で、皆でセルビス様と共に街の外に魔法の練習をしに向かってしまったという話だった。

 手紙でもあらためて街の外に出ないようにと伝えたつもりだったのだが、どうやらセルビス様の家に着いてすぐ、手紙を受け取る前に街の外に向かってしまったようだった。


(くっ!? 予定を少し変更してでも直接オレが行くべきだった……)


 今更悔やんだ所でどうにもならないが、悔やまずにはいられなかった。


 そして、郊外でミミルやユイナが指導を受けながら土魔法の練習をしている時に、突然嵐のような風が巻き起こったかと思うと、二人の男が現れたそうだ。


「どうもユイナ様はその方たちをご存知のようだったのですが、私の知らない異国の言葉でなにやら言い合ったかと思うと、その二人の男たちが突然襲いかかってきたのです!」


(異国の言葉という事は、召喚者だ! 不味いぞ。急がなければ!)


 オレはあのサイゴウの姿を思い出し、焦る気持ちを何とかおさえて話の先を促した。


「それで、その様子を後ろで見守っていたセルビス様が、咄嗟に土魔法で二人を拘束してくださいまして、その隙に何とかお二人には逃げて頂いたのですが、屋敷にも宿にもおられなくて……」


 セルビス様は自ら囮を買って出て、二人の足止めをしてくれたそうだ。

 その時ミシェルは、ミミルの指示で足の悪いセルビス様サポートをする為に残ったらしく、そこから二人の行方がわかっていないという事だった。


 しかも不味い事に、その二人の男はセルビス様の拘束を抜け出すと、魔法戦でセルビス様と互角の戦いを繰り広げた上に、気付けば一人の男の姿がすぐに見えなくなったそうだ。


「でも、その事に気付いた時にはすでに遅くて、残っていたもう1人の男もすぐにセルビス様との戦闘を終わらせると、リリル様とユイナ様を追いかけて消えてしまったんです……」


 その後、ミシェルとセルビス様も慌てて街に戻ってきて2人を探しまわったそうだが、今も行方がわからないということだった。


「そうか……トリスにはオレの方から伝えておく。オレも探しに出よう」


 そう言って、ギルドを出ようとした時だった。


「なんやなんや~。水臭いやないか。困ってるんやったらうちも手伝うで!」


 メイシーが右握りこぶしを突き出し、親指を立てて話しかけてきた。


「メイシー……いや、しかし……」


「しかしも、ぴくしーもないわ! うちの探してた魔物を仮面のにいやんが見つけて倒してくれたやろ? なら、その分うちがその子らを探すの手伝っても問題ないやん?」


 巻き込むのは申し訳ないという気持ちもあったが、やはり今は二人の無事を確認するのが優先だと思い直し、メイシーのその申し出を素直に受ける事にした。


「すまない。では、協力して貰えるか?」


「勿論や! それで、その二人の行きそうなとことか、特徴とか教え……」


 メイシーがそう言って尋ねてきた時だった。


「おぅおぅ! 何そこ、二人だけで盛り上がってんだよ?」


 声を掛けてきたのは冒険者パーティー『赤い牙』のラックスだった。


「そうですよ。私たちも協力させてください!」


「さっきは暇だったから」


「私、少しですが探知の魔法も使えます!」


 そしてそのメンバーからも、自分たちも協力するとの声があがる。


「おぉ! なんや、自分らも良いとこあるやん♪」


 先にメイシーがこたえた事に苦笑いを浮かべつつ、今は一人でも多く協力して貰えるならありがたいと、オレからもあらためてお願いする。


「すまない。ラックス、ローラ、デンガル、シーラ。この礼は必ず……」


 一人ずつ目を見て礼を言うと、ラックスがバツが悪そうに、


「そ、そんな事より、どんな奴なんだ?」


 と尋ねてきたので、二人の特徴や、どこの宿に泊まっているのか、この街に来てから立ち寄った事のある場所などを話していく。


 そして、もちろん二人組の男に襲われた事なども話して、危険かもしれないという事も伝えたのだが、誰もそれで協力を渋るような者はいなかった。


 ただ、やはり戦いになるのは避けるべきなので、ギルドで待機していると言っていたミシェルに取次ぎ役になってもらい、皆には無茶は絶対にしないようにと釘をさしておく。


「ありがとう。しかし、何か情報を掴んだら直接向かわず、ミシェル(彼女)に伝えてくれ、話を聞く限り、襲って来た奴はかなりの手練れだ」


「そうですね。セルビス様と互角に戦うような人は、ちょっと私の手には余りまくりなので、そうさせて貰います」


 魔法使いのシーラだけでなく、他の『赤い牙』の皆もセルビスの事はよく知っているようで、納得してくれた。


「まぁうちは状況次第で介入するけどな。あっ、うちは良いよね?」


「ん~メイシーにも無理はして欲しくないんだが……そうそう後れを取らないとは思うが、くれぐれも油断はしないでくれよ」


 さすがにメイシーのあの腕ならそうそう遅れをとる事はないと思うのだが、相手が相手だけに、油断をしないようにと念を押しておいた。


「それじゃぁ、すまないがよろしく頼む」


「皆さま! よろしくお願いします!」


 各自向かう場所も決め、最後にオレとミシェルが皆に頭をさげると、皆は「任せておけ」と言って、それぞれギルドを出ていった。


 そして、オレもミシェルに言葉をかけてから、手がかりを求めて街の外、襲われた現場に向かうためにギルドを出たのだが、


『と、トリスくん! 聞こえる!?』


 突然、どこからともなく、ユイナの声が聞こえて来たのだった。


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