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【第53話:作戦会議】

*************************************

地文の書き方やトリスの言葉遣いを書籍版に合わす形に変更させて頂きます。

暫く少し違和感を感じるかもしれませんが、ご了承頂けますようお願いします。

*************************************

 翌早朝、オレはいつもの朝の鍛錬の時よりも早くに宿を出て、冒険者ギルドに向かっていた。

 今日は集合時間が早かったため、朝の鍛錬は出来ておらず、少し物足りない感じだ。


 ちなみに不本意だが、宿を出て暫くしてから、人通りのない路地で既に仮面を装着済みだ。


 そのため、冒険者ギルドに近づくにつれ、オレを見つけたこの街の冒険者と思われる者たちが、ひそひそとオレの事を話しているのを目にするようになる。

 ただ、あらゆる能力が向上しているオレには、そのひそひそと話す話の内容も丸聞こえなわけで……。


「おい……あれって噂の……」


「あぁ、間違いねぇだろ。あんなの(・・・・)付けてるのがそうそういてたまるか」


「『仮面の冒険者』の噂を知らなかったら、余計なちょっかいかけてたかも知れねぇ。あぶねぇあぶねぇ」


(オレ、もう帰っていいだろうか……)


 心の中で思わず愚痴をこぼすが、もちろん本当に帰るわけにもいかないので、気付かないふりをし、そのままギルドの戸をくぐったのだった。


 ~


 冒険者ギルドに入ると一瞬ざわめきが起こり、オレに気付いたローメナが、受付のカウンターから飛び出してきた。


「お、お待ちしておりました! 仮面の冒険者さま、こちらの部屋で作戦会議が行われる事になっておりますので、案内させて頂きます!」


 仮面に付与されている隠蔽の効果で、今のオレの特徴的なものは全て曖昧に認識されており、唯一、仮面だけが印象に残るように見えるらしい(・・・)


 このらしい(・・・)と言うのは、オレは体験した事がないのでわからないからだ。

 オレは魔剣を持っていると魔剣の呪いの効果が高くて他の呪いが無効化されるのだが、実は魔剣を持っていなくても呪いの影響をほとんど受けない事がわかったのだ。

 詳しい理由はまだわかっていないが、ユイナ曰く、ブーストした能力のお陰か、それとも長年高位の呪いを受けていたせいではないかという事だった。


「あぁ、頼む。一応、これがギルドカードだ」


 そう言ってローメナに渡したのは、もちろん『仮面の冒険者』としてのAランク1級冒険者としてのギルドカードだ。


「あ、すみません。確認させて頂きます!」


 本来ならローメナからギルドカードの提示を求めないといけないところなのだが、ちゃんと身分確認させておかないと偽物とか現れられても困る。

 それを周りにアピールする為にも、あえて皆が注目している中でギルドカードを提示しておいたのだが……。


「確認させて頂きました! 仮面の冒険者1号(・・)さま!」


「ばっ!?」


「ば?」


 内心で「1号言うな!!」と怒鳴りたい気持ちをグッと押さえ、何でもないと首を振る。

 どう考えても1号はユイナのはずなのだが、いや、それ以前にギルドカードに『1号』とか載せるなと訴えたいところだが、受け取った時に「お二人を区別する必要があったので……」と言われ、言い返せなかったのが失敗だった。

 どうせギルドカードは他人には見せないからと妥協していたのに、これでオレが1号だという噂が広がるかもしれない……。


 せめてもの救いは仮面の隠蔽効果のお陰で、ほとんどオレ自身の事は認識出来ていない事だろう。


「失礼します! 仮面の冒険者1号様(・・・)をお連れしました!」


「ぐふっ!?」


 不味い、思わず変な声が出てしまった……。

 オレが心理的ダメージを受けているのにも気づかず、ローメナは許可を受けて中に案内してくれた。


 部屋は一番広い会議室で、中には既に10人ほどの者たちが席についていた。


「ん? これは……凄いな……」


「ドナックさん? どうしたんですか?」


「あっ、いや、何でもない。仮面の冒険者様、どうぞこちらに」


 おそらくオレの正体を知っているドナックは、隠蔽の効果でうまく認識できない今の状態のオレを見て驚いたのだろう。


「失礼する。訳あって素性は明かせないので、ただ『仮面の冒険者』と呼んでもらえれば助かる。今回の討伐作戦では急遽参加する事になったから、指示に従うつもりだ。よろしく頼む」


 ユイナに言われて、仮面を付けている時は話し方を少しぶっきらぼうな感じにしてみている。

 その事に、まだ慣れないなと思いながらも挨拶を終えると、勧められた席につく。


「へぇ~魔道具か何かか? 上手く出来てるもんだな」


 オレが席につくと、黙ってオレの事を見守っていた男が声を掛けてきた。

 その男は見覚えがあった。


(たしか昨日の……)


「ラックス、失礼でしょ! すみません! 私たちは『赤い牙』という上級冒険者パーティーの者です。私はローラ、さっきの口の悪いのはラックス、こっちの無口なのがデンガルで、その隣の女の子がシーラです」


 オレはこの二人がとその偶然を驚きながらも、すぐに言葉を返す。


「気にしないで良い。こちらこそよろしく頼む」


 すると、今度は『赤い牙』の隣にいた衛兵の装備に身を包んだ男が話しかけてきた。


「自己紹介する流れかな? 自分はこの街の衛兵で小隊長をしているサッカイと言う。今回は噂の英雄様と一緒に戦えると聞いて光栄です」


 サッカイにも同じく挨拶を返すと、次はその隣の男が後に続く。


「すみません。本当なら私が最初に挨拶するべき立場だったのですが、遅くなってしまいました。私はこの討伐作戦を担当させて頂くギルド職員のワードです。今回の他の参加者の方々は準備を進めてもらっていますので、作戦会議はこのメンバーで行わさせて頂きます」


 その後、あたかも初めましてと言った感じでドナックの挨拶を受けて、話が始まった。


「それでは、今回の作戦ですが……」


 ~


 作戦事態はいたってオーソドックスなものだった。


 サポートについている冒険者パーティーが数の薄い所を調べ、報告を受けたオレたちがその場にいる魔物を殲滅。

 その後、すぐにその場を一旦離脱し、また数の少ない所を調べては殲滅を繰り返す。

 こうして減らせる所まで魔物の数を減らしてから、最後は総力戦を仕掛けるというものだった。


 その作戦自体は別に構わないのだが、オレは気になる事があった。


 昨日聞いた2級冒険者がいないことだ。


 しかし、オイスラーの街の冒険者が参加するという事を、仮面の冒険者として参加しているオレが知っているのも不自然なため、尋ねるに尋ねられないでいた。


 すると、別にオレの気持ちを汲み取ってくれたわけではないだろうが、『赤い牙』のラックスが尋ねてくれた。


「ところで、噂で聞いていたオイスラーの高ランク冒険者様ってぇのは、どうなったんだ?」


 すると、ワードさんが汗をハンカチで拭きながら、


「……実は、本来なら昨日この街に着くはずだったのですが、連絡が取れなくなっていまして……」


 そう話し始めた時だった。


 突然扉が勢いよく開かれたかと思うと、ローメナが飛び込んできた。


「た、大変です! 連絡が取れなくなっていたオイスラーの、ぼぼ、冒険者さんが! ぼ、冒険、者さんが……」


 何事があったのかわからないが、呼吸を乱して上手く話せないローメナに、ドナックが落ち着くようにと話しかける。


「どうしたんだ? ローメナ、慌てなくていい。深呼吸でもして、落ち着いて話せ」


 言われるがままに大きく深呼吸して呼吸を整えると、ようやくもう一度口を開く。


「そ、ソラル近くの街道脇で……その亡骸が発見されました!」


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