『Bond regenerantia』
ーー聞き慣れた声だった。
……ニイス…?
「あんちゃんっ!!」
目を開けて、一番先に視界に飛び込んできたのは赤茶けた髪、琥珀の瞳。
「少年、」オディム、と呼ぶ事を一瞬だけ忘れて、復讐者は彼をそう呼んだ。
「ああ良かった!首から上を吹き飛ばされて死んじゃったんだぜあんた!!」起き上がった復讐者に向かって其の少年は衝撃的な言葉を吐き出す。
「え」
オディムから衝撃的な言葉を聞かされるとは想定すらしていなかった。
「オディムの言ってること、うそじゃないよ」エムオルまでもがオディムの言葉の信憑性について弁護してしまった。
本当に、本当に復讐者は死んだ。一度だけ。
たった一つしか無い命を失った。其れも敵の攻撃を避け切れなかった怠慢で。
復讐者としては其れが一番衝撃的であり、今年度一番の悔しい出来事となってしまったのだが生憎打ちひしがれている暇は無い。
「でも無事で良かったです…」サフィーが慰める様に復讐者の手を握った。手袋越しに彼女の体温が鈍く伝わる。
「………。早く、レミエさん達を救出しなくては、ならん」
復讐者は戸惑いを残しながらも、自分達がすべき事を言語化し、目的の整合を図った。
一度であれ「死んだ」という事実が思考を混乱させている様だった。
ーー何者かの介入により死を漂っていた復讐者の魂は引き上げられ、そして恐るべき早さの活性を経て元の状態に戻った。
死の戸惑いは僅かに残るものの、「女神への復讐」と云う一つの理念が彼を再び舞台に立たせる。
…が、知る人に似ながら全く異質に思える誰かの声が、先征こうとする復讐者の心に仄暗い違和感を抱かせていた。




