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Dea occisio ーFlamma florumー  作者: つつみ
Ara Rinnirea Kin(癒都白塔)
80/125

『Aiaci Remie』

ーーリプレサリア内。

「おそいねー?」エムオル、アムルアが遠くを覗く。

二者と同じく復讐者の帰りを待ちながらも、一向に確認出来ない其の姿に、漠然とした不安を抱きながら待機するエインが口元を手で覆いながら考察する。




(決まれば行動の早い()()が遅い…向こうで何かに巻き込まれたのか……)

彼の視線も地の果てへ向けられていた。

オディムやサフィー、レミエも待機している。

















………だが、此の場に居てただ一人ーーレミエだけが煮え切らない想いを抱えて苦しんでいた。

(復讐者さんの帰りが遅いのも気になります………でも…)

彼女の憂い。勿論、ユイルの事である。

復讐者以外の一行が帰還を果たした後、塔の攻略の報は機関内に拡散されていた。

そして帰還して一行と最初に顔を合わせたのはアムルアと、ユイルだった。

「おめで、とー」

「攻略おめでとうございます!!」

歓喜の雰囲気の中、二人の迎えの言葉が祝福の様に降り注ぐ。…然し、其れでもレミエは相変わらずユイルと目を合わせるのも避けて、ありがとうございます。の一言を小さく添えた後、自室へ足早に戻ってしまった。




「レ、レミエ…さん」

レミエは痛い位感じていた。

自分の背姿を戸惑いながら寂しそうに見送るユイルの視線を。


ーーそして両者は気付いていない。一体の小さなツブ族が二人の間に漂う溝を気掛かりそうに見ていた事を。


































「はぁ……………………」レミエは何度目か程の溜息を深く吐いた。

(私は…………何して……………………)

憂鬱は日に日に膨らんでゆく。誰も、誰も彼女の憂いを止められない。

理由は分かっていて、気付いていて、なのに漠然と不安を抱えて、レミエ自身も戸惑って苦しくなる。

我が勝手、と承知ではあった。

だけど其れでも"レミエ"としての記憶が戻るにつれユイルとの間にどうしようも無い、どうにもならない「何か」の差が生まれてしまった。


更に復讐者同様、彼女自身も()()()()を何度も見詰めていた。事ある毎にと言える程では流石に無いものの、()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。

見知らぬ自分の存在を認識する度に彼女は戸惑い、自分の中の「神様」、そして"レミエ"が揺らいでゆく。









ーー曰く、小さな虚。

叫びは木霊し、虚しさだけが残る穴。

答えの返らぬ無間の闇。


誰かの助けを望まず、得られる筈も無い儘に、彼女は独りで螺旋に巻かれる。



聖女は緩やかに堕ちようとしていたーー

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