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Dea occisio ーFlamma florumー  作者: つつみ
Marme Miwa Ogula(烈都白塔)
74/125

『Moles calor Collapsed ーⅡー』

「GAAAAAAAAAAAAAAAAAーーーッ!!!!!!!!!!」

復讐者が調停の力を引き出す為の時間稼ぎと暴走する贋者のアンクォアの弱体を図ってエイン達が動く。

「破ぁっ!!」

レミエが放った花弁状の水球がアンクォアの身体の炎を弱まらせる。

「オディム!心臓の核を狙いなさい!!」

オディムが頷いたのを確認して、エインは心臓部を狙って狙撃した。数発は弾かれ、数発は焼け溶けて消える。

オディムが投げた爆炎瓶が炸裂し、アンクォアの視界を奪う。空かさず放たれたレミエの水球がアンクォアを溺れさせる。




ーー然し、アンクォアは溺れながらも剣を我武者羅に振るのを止めず、周りを飛ぶ虫達を払う様に大剣を振り回す。

「ア゛ア゛ア゛ーーーーーーーーーッ!!!!!」

最早アンクォアを止められる者はーーとうとう復讐者だけとなっていた。


































「剣と、息を合わせられた……………………調停よ!!!!」

復讐者は剣を高く掲げる。

空の光を一身に受け止め、剣は蒼く輝き放つ。

「全ての異端を断て!!!!!!!!」

断罪を!!

断罪を!!!!

ーーアンクォアの暗い瞳に、終わりの光が一瞬だけ映る。


降り注ぐ光が剣の蒼を深くした。

























































ーーそして焔の花ごと、アンクォアを真っ二つに断ち切った。

「ア…………………ア、ア……アァ…ア゛・ア゛・ア゛…………………………」

真っ二つになったアンクォアの断面から、臓腑がずるりと落ち、ぼとぼとと地を汚す。

同じく、焔の花もぐじゅぐじゅとした()()()()()()()をびしゃりと其の場に飛散させ、枯れ果てて軈て完全に朽ちていった。

「う……贋者でも、人間と同じ作りだったんですね………………」

焔の花も同様に、人間の身体の様に作られている様だった。

































ーー……贋者のアンクォアを討伐した後、瓦礫から何者かの影が飛び出してきた。

一件を終えて安堵してから間も無かった為に、咄嗟の行動に移すのが遅かった。

…が、彼等は改めて行動に移せなくて良かったと理解する。

















ーー一行の前に現れた影の正体が、烈都に入って間も無い頃に助けてくれた()()、身体の溶けている騎兵だったからだ。

「あなたは…」エインが言葉を吐くよりも早く、()()()()()()言葉が紡がれた。






『……え…へへ、みん…な、ありがと。アンクォア…倒して、くれ、て』

何故か少しばかり機械音声の様な声だったが、復讐者とレミエにとって聞き慣れた人物の声が確かに聞こえた。

「…!!其の…声って……」

『レミ、エ……ひさし、ぶり、だね』

騎兵から聞こえる()()の声はあくまでも明るく。

















「其の声……少女(■■■■)なのか?」

『復讐者…さん、ひさし、ぶり。お疲れ、様。あたしの事…覚え、て、くれ…て、嬉しいな』


■■■■ーー

復讐者に、女神殺しの理由に、願いを託して消滅した少女。

烈都の女神アンクォアに仕えていた追従者だった「()()」。

アンクォアに溺愛されながらも、女神の行いに疑いを持って、世界の正しい姿を望んで、消えた。

















「な…何故……君は此処に……………………」

『あ、のね……少し、長くなるけど…いい、かな』


…………そして少女■■■■は、自身がこうなった経緯を話していった。









































『ーーあたし、は……皆を、アンクォアから庇って、そして消えた。…………アンクォアも、ディーシャーも、居なくなって、あたし…は、あたし、の本当の姿だけが、取り残された。』


『外…の、詳しい事はあたしはわから、ない…け、ど……、皆が、女神を、殺していってる…って、何と無く、わかっ…てたよ。復讐者さん達が、シーフォーンを倒した後……かな?世界が、とても熱くなった、でしょ?』


『…………その後、赤い髪、の、……ペールア、だっけ。追従、者だった人。…彼女が、あたしを拾い上げて、そして、あたしを、蘇らせた…の』



『いや、再創造…って、言うんだっけ?そっちの方が、合ってる…かな。あたしはペールアに再創造、されて、そしてまたあたしは形を持った』

声だけの筈なのに、少女から深い悲しみが伝わった。

『あたしは絶、望、したの。皆に願いを託して、死んだ、あたしが………ペールアに利用されて、しまうんだって、気付いたから………。だから、あたし、は、自害した。近くにあった、短剣で、あたしは、あたしの、喉を、切り裂いた』


『それが、あたしの、二度目の、死。………そして、ペールア、は…生きている、人間や、信者の人たちを、恐ろしい…姿に、変えていっ…た、んだ』









少女から聞かされた事実に、一行は驚愕する。

「生きている…人間を?」

『そ…う。ペールアは、生きている、普通の人たちを、無理…矢、理……切ったり、くっつけたり、した……………………。無理矢理の人、も多かったけど、ペールアを取り巻いてる、信者の人も……自ら志願してく、る人、が何人も…いた』

少女の声は嘆息した。変わらず、深い悲しみが篭もる。

『あた…し、は……本物の人間じゃないから…元の姿に戻っても、沢山の悲鳴を聞いた。…声が静かになったと思ったら、あたしの身体(スマホ)が持ち上げられて、ペールアに…また、再創造された』




『ペールア…は、一度あたしを再創造した…時、あたしが自害した、から、今度は…あたしから、思考や意識を奪った。混濁した、意識の……中で、あたしの姿は、ペールアによって、こんな…姿…に………なっ、ちゃった』

少女は、己の身体が溶けている理由を話した。

『あたし…の、身体が、溶けてるのは…ね、…思い出したの。安らかに死ねなかった…事、…ペールアに、利用され続けちゃうのかな、って、そう、本能で、思ったから……あたしは、与えられてしまった、この…力を、自分自身を消し去ろうと、使った』

其の事を伝えると当時に、少女だった騎兵の身体がどろりと形を無くしてゆく。


『あ…はは………、あたし…もう、限界…みたい。さい…ごに、復讐者さん達とお喋りできて……良かった、な』

僅かに温もりを宿した彼女の声が、嬉しそうに伝わり、そして身体は完全に消滅した。

()()が立っていた所には、溶けた金属、跡形も残らなかった、少女の本体。









「……………………。」

回復も蘇生も、絶対間に合わない。…何より少女自身が望まないだろう。

最期に、復讐者達と再会出来た少女は、本当に幸せだったのだろうか。

最早答えなんか得られる筈は無い。ーー三度目の死を迎えた少女は、本当の安らぎを得られたのだから。




ある者は黙祷し、ある者は少女の為に祈りを捧げると、やっと目を覚ました二人に気が付いて、塔が崩壊する前に足早く其の場を後にした。

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