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Dea occisio ーFlamma florumー  作者: つつみ
Marme Miwa Ogula(烈都白塔)
69/125

『Tuus Pulle Lucet』

一行は手当り次第道を塞ぐ壁を破壊しながら道を切り開いて進んでゆく。

…然し障害となる壁を破壊しながら進む必要がある為、最上部を目指す一行にとっては疲弊や消耗を招いていた。

「我々の疲弊を計らっているのかもしれませんね」

エインの言葉の通りだ。所有している物資にも限りがある。レミエに至っては魔力とは異なり彼女だけが持つ聖法の力や精神力を消費する必要がある為、迂闊に力の行使をし続ける事は出来ない。

復讐者自身も報復ーーいや、新たな力である調停の力を易々とは使えない。

























其の矢先、妙に分厚い壁を破壊した向こう側の広間に、数十人の教団者達が待ち構えていた。

「げぇっ!!俺達の行く先々で何人も相手したのに!!!」

オディムが此処で口を開く。

少年少女には塔は高く、また実戦も込みで攻略に同行している以上、疲弊は大人よりも多い筈なのだ、健脚で見た目に反して活力(スタミナ)に恵まれているエムオルとは違って、二人は列記とした人間でしか無い。









数十人の教団の人間。しかも相手は皆大人。

オディムとサフィーの二人は足手纏いになりかねない。二人を下げて一行が彼等を蹴散らしに行く。



「ヒャハッ!!」

「ギっヒヒヒヒィ」

一行の姿を見るや一斉に襲い掛かって来た彼等は、レミエの力によって悉く打ちのめされてゆく。

エインの機銃が彼等を撃ち抜き、エムオルの一撃が沈めてゆく。

高く飛び上がる彼等が繰り出す兜割りを次から次へと避け、横から入った剣の払いをも避ける。

「死ねェェェーーーーーーーーーっ!!!!!」

「ふんっ!!」

飛び込んできた狂信者を復讐者は足で蹴り払う。


「あぐゥッ」

「お前達に勝ち目は無い。去るが、或いは死ね」

復讐者が狂信者の頭に銃口を向けた時、









































「うぉぉおァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

狂信者の一人がけたたましい叫び声を上げた。

「!?何だ?」

復讐者が振り返った瞬間、彼の目に飛び込んできたもの。

















ーー其れは、狂信者の男が一行の目の前で自害する光景だった。




「…いや………自害では無い!!」

復讐者は叫び、見る。自らの心臓を短剣で突き刺した狂信者の男が、全身から炎を噴き出して変貌してゆくのを。

「アっぁゴォあァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

男の叫び声が獣の咆哮の様に変わり果てた頃、其の姿は燃え上がる騎兵の姿へと完全に変わっている。









膨大な焼熱すら堪え抜いて、自害と二度と戻れぬ恐怖すら逸脱して、完全な別物へと変貌したのだ。

男は確かに、人間である事を捨ててしまった。


嘗て持っていたものもある筈だった全ても、躊躇い無く女神の為に捨てて…









































「!!!!」男の変貌に続き残りの狂信者達も同じ姿へと変貌していった。





「ーーァ5me35;W■■■おn2d8経"!?:iGauぺep燃r7SAげら;,"'.5e/Aっ■胃@6uIsJGGちょ■ノロo25Z4kc1;y6殺p@1e6■ガァァ……………!!!!!!!!!!!!!」





人とも獣とも呼べぬ声は、最早化物でしか無い。




咆哮は彼等の鬨の声か。敗北の概念を忘れた愚者の唸りは多重に重ねられてゆく。









































「ーー私が…!!」全ての狂信者が騎兵へと変貌した時、レミエが咄嗟に身を翻して高く舞う。


「舞え氷水華!!全ての(わざわい)の炎を絶やせ!!!!」

ーー氷水華雨(ひょうすいかう)。花の雨の如く氷の華を降らせるレミエの新たな力。炎の下で生きる事を余儀無くされたが為に、彼女が見出した対抗力。









透き通る刃の雨と化した其れが、騎兵と化した狂信者達に降り注ぐ。

「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!!!!!!」まともに喰らった騎兵達が全身を細切れにされ、炎を絶たれると同時に煤を残して消えてゆく。

一つ一つは小さくとも刃の様に鋭い氷の華が無数に降り注ぎ、対象を無惨に切断してゆく。

更に小さく薄い為、対象の体内に入り込んで内側からズタズタに切り刻んでしまうのだ。まともに喰らえば只では済まないのも当然だろう。

























































レミエの力は強大だった。

寧ろ覚醒した彼女の力は日増しに強くなり、更に適応能力まで身に着けていたらしい。

「凄い…!!」

「レミエねーちゃん一人で良くね?………むごっ」

「オディム!!そういう事は言っちゃ駄目ですっ!!!」

オディムの言葉にサフィーは両手で彼の口を塞いで突っ込みを返した。



「まあまあ、そう思われても当然ですよ。流石にやり過ぎてしまったかもしれません」

レミエが元の姿に戻って二人に手を振り、苦笑した。

確かに辺りを見回すと壁や床、大窓は見事に斬られている。幸い彼女の攻撃で床や壁が倒壊する事は無い様だが。









「片付いたな」

床に突き刺さった己の武器を引き抜いて、辺りを見回してから復讐者は次の道筋を探す。

「ん、彼方(あちら)にある様だ」

上階に続いてると思わしき階段を見つけ出した彼は、闇雲に力や体力を酷使しない様に誓い合いながら、仲間達と共に螺旋状の階段を上がっていった。

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