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Dea occisio ーFlamma florumー  作者: つつみ
Marme Miwa Ogula(烈都白塔)
65/125

『Red flamma de insania』

或る一室に、一行がまた揃っていた。理由は唯一つだけ、白塔攻略の為だった。

サクモから得られた情報と、新たに編成された偵察と先遣を兼ねたツブ族の部隊が持ち寄った情報。其の二つを照らし合わせて、燃え上がる騎兵の出処が烈都フィリゼンに建つ白塔からであると特定出来た為だ。






烈都フィリゼン。

ーー復讐者にとって、己の女神殺しに()()()()()()()が生まれた場所。

女神殺しの目的其のものはあくまでも復讐であったが、彼が願いを背負った切っ掛けでもある。

女神アンクォアの廷。

其処に建ち上がった、女神ペールアの白塔。

































そして次の攻略先。



「…と云う事で、次の目標が定まったので皆を呼んだ。次は烈都白塔。場所はフィリゼン跡地」

ペールアの奔流で四つの都は殆ど崩壊してしまっている。

まるで墓標の様に、或いは女神達へ対する彼女なりの償いの様に、白塔が聳えている。

中心の第五塔を除けば其々四つの塔が女神の廷の跡地に建っているのだ。

















復讐者が(おもむろ)に一枚の大きな図式を記した紙を広げた。

「其れは?」開かれた内容に興味を持つエインに対し、

「此れは焔の花の欠片を分析した聖都の科学者と癒都の医者達が解析した結果と彼等の考察を一纏めにしたものだ」

物質の特異性等についてを、医学や生物学的な観点から焔の花について調べてもらっていた。


「焔の花は()()()()()で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()らしい。だが同時に()()()()()()()()()()()()、特に()()()()みたいなものでもあるそうだ」

そして復讐者は、話す。









「塔を全て破壊しない限りは被害は抑えられん。其れに攻略が早ければ其の分ペールアによる花の再生成も阻止出来る、筈」

復讐者が(テーブル)の上に開き置いた一つの図を指差しながら説明する。

「焔の花は云わばペールアの力の結晶みたいなものらしい。だから一つ生成するだけでも相当な力を消費する」

更に彼は続けて話す。

「あくまでも予測に過ぎない、がーー中心の焔の花は破壊ご厳しいとしても、四つの塔にある焔の花を破壊し塔ごと消滅させればペールアの力は大幅に削られ、弱体化する可能性がある」



「今回は騎兵を置き、また偵察部隊の話に依れば教団の人間も此れ迄より多く配置しているらしい。もしかしたら別に残されている塔も同じだろう。其れだけ女神は焦っているという事なんだ」

「やっぱり、焔の花が2つも破壊されたからでしょうか?」

レミエが問う。

「そうだと思う。一気に2つ分の力が削られたんだ、女神とて元は人間。本能的な焦り位残ってはいるだろう」




また、生物的側面も存在している為、破壊すれば創造主であるペールア自身にも相当な苦痛が及ぶ筈。

…厳密にそうなのかは分かってはいないが、彼なりの推測で導き出した可能性だ。


































「…そういう事なのでな、次の目的地は烈都だろう?世界は相変わらず暑いが、特にフィリゼンは暑いと報告があった。ーー急遽、全員分の礼装を用意する事にした。…此処に用意している。着てくれ」

吊り布(カーテン)で仕切られた場所を彼が引くと、其処には此の場に居る者全員分の新たな礼装が掛けられていた。









































「…っよし!!」

「これ…で、良いのかな……」

オディムとサフィーが早くに着替えを済ませ、其の次にエインとエムオルが出て来る。

「あっ、ああ、遅くなってすみません…!!!」そして最後にレミエが慌てて飛び出してくると、五人は新たな装いに変わっていた。






オディムとサフィーは其の身の熟しの良さを基準として、そして彼等が未成年である為に体力面等の要素から防御力よりも軽快さを優先した礼装となっていた。

勿論肝心の防御力も他と比べるとやや心許無い所は有れど武装者の二倍程ならば確かな防御力が備わっている。

「ユイルさんと話し合って科学者達との共同開発を行ったんだ。軽いが一応教団の武装者となら対等に渡り合える筈だ」

エムオルは対してマシュマロの様な、ちょっと柔らかな餅の様な不思議な素材で出来た服を着込んでいる。

曰く、元々素早いエムオルは二人とは逆に防御力を優先した方が良いと考えての事であった。




「本当に此れで宜しいので?寧ろ前より暑くなりそうな気しかしないのですが」

少し気掛かりそうに訊ねるエインに対しては防御力を最優先した、軍装めいた意匠になっている。

「にーちゃんかっけえええ!!!」

…オディムが目を輝かせている。


「あのぅ、ちょっと………これ、は………露出が」

恥ずかしそうに振る舞うレミエの礼装は、確かに修道女の其れなのだが…以前の礼装よりも露出が増えてしまっていた。

「済まない、済まない、已むを得ない事情があってな………」

防御力と快適さをほぼ同等に優先したものだったが、特殊生地の生成が間に合わずノースリーブで、更に下の方はスリットの入った修道服になっていた。

「大変申し訳無い……………………」

情けない復讐者の声が、詰め寄られる度にどんどん小さくなってゆくのであった。


































一行が新たな装いになったのを確認して、復讐者は新たに用意された薄手の黒い長外套(ロングトレンチ)を着込んだ。

身に着けている幾つかの武器を隠す様に。

「あっれー?おにーさん、あんまり変わってない」エムオルの言葉もそう深くは気にせず、

「似たようなもので無くては落ち着かんくてな」

とだけ言って彼は次の指標を告げる。



「次の目標は烈都白塔攻略、踏破。目的地は烈をフィリゼン跡地!叛逆部隊の本格的な始動、運用と展開の前に部隊員であるオディムとサフィー両名を同伴させる事にする。二人には状況に対する判断力をもっと培わせておきたい」

そして彼は其の場に居る者全員に命じた。

「条件は攻略者全員の帰還!!死ぬな!!!熱炎を止める迄は!!!!!」

















ーー彼の蒼い瞳が決意に輝いた。

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