『Flores in populo』
人に有る花。
深い窓の内側から外の風を受けるの。
気品ある身分の御方。
白い寝台に横たわって花の落ちる時を見るの。
白百合を愛するお嬢さん。
貴女は禁断の匣を開けてしまったのね。
憐れな貴女。荒れ果てた彼方。
星は貴女の為に歌うわ。
甘ぁいお菓子を食べましょう。燐光の中で待ちましょう。
燃え上がる紅蓮の炎が淀んだ全てを燃やし尽くしてあげるから。
人に有る花の方。
美しくも気位の高いお嬢さん。
白百合の旗は貴女の運命の旗。
火柱の様に燃える心を持つ異人の少女と一緒に空の上に智恵の星を輝かせましょう。
甘いお菓子は素敵な聖夜を、七月の荒れた城に燐は光る。
新しい女神を迎え入れて
今度こそ理想の世界にしましょ。
智恵の星を神の永遠の伴侶とするべく
古い法則を殺しましょう。
仲良く 仲良く 微笑むの。
神の妻になった麗しの乙女を祝福しながら。
無垢な少女達の様に残酷は繰り返され、子供の玩具の様に世界は蹂躙され、
人は砂粒に吹き飛ばされ、熱を受けて溶けてゆく。
白百合は枯れ果ててしまった筈なのに、未だに燃え上がる生の執念。
2月の終わりが近付いては巡りゆく時の色褪せ。
触れてはならぬ禁忌へ手を伸ばし、他者を嘲笑った四人は存在しない。
だが、だが、一人が死に損なった。
哀れな彼女は再来を願って、愚かな彼女は行為に耽る。




