『Neque verum perspiciatis』
ーー駆け上がった長い階段の終わりが見えた。
そして彼等は外に出る。
…一行が塔の頂上に登り詰めた、其の離れた場所に彼女は立っていた。
まるで今にも飛び降りてしまいそうな程に、危うい。
其の足取りは不安定で身体は何故かやや揺らめいている。
まるで炎の様に。
汝は星、燃え盛り流れる星とは異なっている。
だがーー
「復讐者っ!!!!!!!!」別の方向から、聞き慣れた少女の声が聞こえた。ーー何と、サフィーだった。
謹慎を下して軟禁した筈の、少女其の人。
「追い付いた!!今度こそ貴方を……………ッ!?」強い眼差しで復讐者を睨み付けズンズンと歩み寄ってきたがーー其の視界に思わぬ筈の者を捉えて、少女は狼狽える。
ーーカシャン!!と硝子の短剣を落として、そして少女は口元を両の手で覆う。
「ソ………星の乙女様…!!!!!」
あ、あ…と小声、嗚咽と涙を浮かべて、少女は愛おしむべき者の姿を瞳の奥にに焼き付ける。
「…………………………?」乙女の虚ろな瞳は少女を僅かに捉え、思案したが彼女の意図など気にもせず。
「サフィーっ!!?何故貴女が……」
「煩いっ!!私は其処の男を殺す為に追ってきたのよ!!!」サフィーはエインの言葉を強く遮り、半ば叫びの様に話した。
「ッ……………」
エインもレミエも、少女のあまりの意思の強さと行動力に掛ける言葉を失くす。
「……………………。」一方で、少女の目的である復讐者はただ一瞥の後、星の乙女に武器を向け直した。
「ーーっ貴様っ星の乙女様に対してっ……………!!!!!」
少女は其の場で復讐者に向かって噛み付いた態度で怒りを顕わにする。
ーーカッ、となって、少女は落とした硝子の短剣を拾い上げて復讐者達に向けながら素早く星の乙女の元へ走り向かう。
………そして乙女の隣に立った少女は、より強く握り締めた短剣を復讐者唯一人にのみに向けて、少女らしい独り善がりの先走った感情を切っ先に乗せて、叫ぶ。
「…星の乙女様!!私も加勢します、共に戦いましょう!!!」
少女の強い決意が声音から感じられる其の言葉が、復讐者達への敵意となって注がれた。
ーー彼の表情は、ぴくりとも動かない。




