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Dea occisio ーFlamma florumー  作者: つつみ
Coronam sanguinis(血の冠)
32/125

『Delebit oblivio ex Amrua』

 

ーーアムルアは何かを忘れている。

家族の事でも、居場所の事でも無く。

たった一つ、自分自身の持っていた"()()"の事であった。アムルアは、自分自身の大切なものを忘れている。

何だったっけ。

何だったっのかーー








































































リプレサリアが出来てから、殆どを其処で過ごす事の多かったアムルアは、エムオルや復讐者達の帰りをのんびりと待っていた。

…いや、出来るならば彼等に付いて行きたいのだが、如何せんツブ族の中でかなり幼い部類なので危険に身を投じてはならない、と偉いツブ族…族長からそう言われているのである。

だからアムルアは帰りを待ちながらリプレサリアの彼方此方で日々、時間の流れを大きな瞳で見詰めていた。



僅かに残る瓦礫の煉瓦、蔓の伸びた壁。

人々の行き来う喧騒、商人の活気の良い声。

窓の斜陽。西日の明るさ。

青色の空から緋色に染まる其の時の流れまで。


帰ってくるまで、帰ってくるまで。

たったの数日。でも長く感じた。




彼等の帰りを待つ数日の間に何時の間にかお気に入りの場所が出来ていた。

危なっかしい、廃墟の一番上の場所。

リプレサリアより少しばかり離れた場所の此処は、小さなアムルアにとって秘密基地の様に素敵な場所だった。










































ーーそうして二週間近くが経つ頃、遠くの方で鳥が鳴いた。

帰りを告げる様に聞こえて、無意識の内に遠くを見遣る。

…アムルアの瞳に獣に乗った影が映った。

「あ、ふくしゅうしゃさん、たちだ!!」

ぴょ、と飛び降りたアムルアは一目散に駆け出して行く。


復讐者達の帰りを誰よりも一番に歓迎する為に。









































































…アムルアは何かを忘れている。種族の事、世界の事、何方でも無く。

忘れてしまった、大切なものをアムルアは思い出していない。

何故忘れたのか?

何故覚えていないのかーー

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