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Dea occisio ーFlamma florumー  作者: つつみ
HORTUS MUSICUS et deprimentes(過激と憂鬱)
114/125

『Amor non relicta』

ーー……………………………………………………………………………………


「ああ、シーフォーンさん………もう少し、もう少しの辛抱ですから………」



揺らめく赤い髪が、横たわる女体の秘密に掛かり隠し、そして其の髪の持ち主が女体の下腹部を愛おしそうに撫でる。

















「待っていて下さいね。愛おしい貴女が()()()()()()、…フォさん、しふぉさん……あなたのだぁいすきな、ジャンヌちゃんをいっぱい描いてあげますから…ね……」

其の薄っすらと伏せた瞳からじわりと涙が溢れていた。彼女は、新しい女神であった。存在する筈の無い五番目の女神として、覚醒してしまった者。

伏せられていた運命の女(ファム・ファタール)

ペールア・ラショー。嘗て炎の魔女と呼ばれた追従者だった。



「ああぁ…しふぉさん、しふぉさん、しふぉさん、しふぉさん………とても、きれいな身体………………大きくて、なだらかな二つの丘…細い指先…可憐なお御足………なんて素敵なのでしょう。寒いですよね。私の熱で温めて差し上げたい……」

ペールアは女体の顔の横ではぁ、と吐息を零す。少し乾いた指先が女体ーー"シーフォーンだったもの"の膨らむ胸を伝い、そして髪で隠された下腹部をより下の密やかな部分をつう、と滑らせた。


「ああっ…()()()()()でも、ここはとぉっても柔らかいんですね……♡」

くちゅ、くちゅり、と粘っこい水音が暫くの間響き続けた。

「んふふ。シーフォーンさんってば♡ーー…でもこのナカには、シーフォーンさんたり得るモノは、存在しない。完全では無い。ただの…亡骸……」

ペールアはシーフォーンの秘された部分からヌポッと指を引き抜き、己の指先を見詰める。仄かに白くとろりとした粘液が付着していたが、腐った肉の様な悪臭を放っていた。




(サクモさん…サクモさん……、ああ早くして、早くして欲しいです…)

ペールアはぐっと苦しそうな表情を浮かべた。指先の悪臭よりも、「早くシーフォーンを蘇らせたい」という逸る気持ちからか。

































「………だけど、私はまだ、やらねばならない事があるのです………」




ーーそう。彼女自身が想い描く遥かな理想の為に、此の世から消し去らねばならない()()が居る。


「これから行かなければなりません……ああ、シーフォーンさん…寂しそうな顔を浮かべないで……。ーーだったら貴女が寂しくない様に、私と抱き合いましょう。沢山注いであげますからね…寂しくも、寒くもない様に…………」


熱を分け与えましょう。




一糸纏わぬ儘横たわるシーフォーンの亡骸へ向けて、ペールアは其の身を纏うもの全てを脱ぎ去り、彼女自身も一糸纏わぬ姿となったーー

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