39.私はおにぃちゃんの悪口なんて絶対に言わないから!
「おにぃちゃん!今日はどこに連れて行ってもらえるの?」
夏休みが始まって初日、唯は朝食を摂っている時に変な事を言ってきた。
「どこにも行かないけど?」
俺の発言に対して唯は「え?」と明らか不機嫌な態度をとってきた。
「予定空けてくれてるんでしょ?」
昨日の俺と唯との会話を思い出す。確かにそういったやり取りをしていたのは覚えていたけどそれって今日の事だったのか?
「まぁ、今日ならいけるけど」
駄々をこねられても面倒なので今日くらいなら付き合えることを伝えると唯は真顔で「何言ってるの?」
と言ってきた。
「今日も明日も明後日も夏休みが終わるまで私とおにぃちゃんのデーt…こほん、買い物で予定は埋まってるんだけど…」
どうやら根本的に俺は理解できていなかったらしい。唯曰く夏休みの予定は私で全て埋まっているらしい。
いや、どこの束縛妹だよと心の中で突っ込んでおく。
「因みに正気なの?もしかして熱とか?」
謎な事を言い始めた唯を心配して俺は自分のおでこを唯のおでこに当てて体温の確認をする。
「はひ?なななな、なにやってるんですか!おにぃちゃん!不意打ちはダメですよぉ!」
最近、恋人なんじゃないかと疑うくらい遊んだり頭を撫でたりしていたのでこれくらい大丈夫なのかと思ったからしたのだけど怒られてしまった。
「ごめん、でも熱はないようだな」
熱がない事が分かったので謝って距離をとる。すると、唯は頬を膨らませて少しだけ頬を赤くする。
「怒らないのでもう一回して下さい」
「え、なんで?」
この家には使える体温計はないから羞恥心を捨てて体温を測ったというのにもう一度やってくれと唯は言う。
「その…そうです!もしかしたら私が微熱でおにぃちゃんが気付かなかったのかもしれません!なので念には念をでもう一度お願いします!」
確かに先程より頬は紅くなっていたのでもう一度おでこを当てる。
「う~ん、何とも言えない気がする。でも、頬は熱いんだよなぁ」
いつも以上に唯の頬が赤く熱いので風邪と判断して唯には寝てもらうことにしよう。
「風邪かも知れないね、自室に戻れる?」
自覚症状がないのかそれとも、自分では熱いと思っていないのか風邪と聞いて驚く唯。
「え、風邪?」
「うん、可能性の話だけどね」
「それっておにぃちゃんは看病してくれるの?」
流石に風邪の疑いのある妹を放置はできないので仕方なく看病することにした。
「あぁもちろん、嫌だったらしないけど」
「え…本当に?看病してぇぇ~!!!」
「まずは歩けないからおんぶしてぇ!」
これ見よがしにワガママを言う唯に少しだけ本当に風邪ひいているのかと疑ってしまう。
いや、ここは兄として妹を信用しないとな!
「はぁ、早く乗ってくれ」
屈んでおんぶできる体勢をとる。唯は恥ずかしがって中々乗ってくれない。
「そうだぁ!お姫様抱っこして!」
「いや、それは流石に…」
風邪人への扱いとしてお姫様抱っこは果たして良いのだろうか。というかお姫様抱っこする必要があるのか?さすがにそれは恥ずかしすぎるので、出来ればやりたくなかった。
「だぁ~め!私をお姫様抱っこしないとずっとここにいるよ?」
どうやら、唯はお姫様抱っこをしないとずっとここに風邪菌(?)を排出する気らしい。
「はぁ」
ため息ついて覚悟を決める。幸いこの家には俺と唯しかいないので誰かに見られてシスコンと罵られることはない。
「わ、わぁ!!お、おにぃちゃん!」
やれと言われたのでやったのに本当にやるとは思っていなかったのだろう。「あわわわわ!!」と言って
まともに喋れていなかった。
「おい、ちょっとそれだけはやめてくれよ」
唯はバランスが不安定だったのか顔を隠すように俺に抱き着いてきた。その顔を覗き込むように見ると唯は顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
「もう少しこのままがいいのになぁ~」
小声で呟いた言葉は俺には聞こえていなかったので無視する。
「よし、ここだな」
看病とはいえ女子の(妹)部屋に入るのは気が引けるけど…どうしようもないので開ける決意をする。
「よいしょっと、唯は早く寝ろよ」
唯をベッドに運び終えて座る場所がないので俺は唯の椅子に座ろうとする。椅子を取り出そうとしたときに机の上に一冊のノートがあった。
「あ、ノートじゃん、え、㊙ノート?なにこれ」
「え、あぁぁぁぁ!!開けちゃだめぇ!」
そういえば俺はこれを見るのは二度目な気がする。一回目は中身が見れず記載されている内容が分からなかったが二回目なので流石に中身の内容が気になる。
「え、おにぃちゃんの…あ、ちょっと…」
一ページ目をめくって中身を見ようとしたときに唯が勢いよくページを閉じた。
「おにぃちゃん、中身見ちゃったよね?」
目に涙を溜めて聞く唯に『おにぃちゃん』の後になんて書いてあるのか聞くのはさすがに最低なのでやめておくことにする。
「いや、見てないけど」
「え?本当に?本当に本当に本当にぃ?」
「俺がここで嘘つくわけないだろ、まぁ、俺について少し書いてあるのは分かったけど…もしかして悪口とか書いてあるのか?」
見てないと聞いて安心する唯に俺はふと思ったことを聞く。
「そんなわけないもん!えぇと、そうそう私の人生設計のついでにおにぃちゃんの人生設計もしてたの!」
明らか嘘と分かる言い訳でこの状況を抜け出そうとする唯。でも、本当に悪口は書いていなさそうだったのでこれ以上咎めることはしないことにする。
「それはもういいから早く寝ろよ、唯」
「うん!分かってるけど…次見たら怒るからね?」
㊙ノートを机の中にしまって寝ようとする唯。怒られたくないし、早く寝てもらいたいのでもう金輪際見ない事を誓う。
「あぁ、すまなかった。」
「それと…」
何か伝えたいのか寝る向きを変えて俺のほうを見てくる。
「それと…?」
「私はおにぃちゃんの悪口なんて絶対に言わないから!」
その言葉を聞いて俺は幸せな気持ちになれた。
「あぁ、ありがとな、唯が妹でよかったよ」
唯が家族であるお陰で今の俺がいると言っても過言ではないので感謝を伝えると唯は俺の言葉がそこまで嬉しくないのか複雑な表情を浮かべた。
「あ、うん!私もだよ!おにぃちゃん」
最近、投稿していなかった理由を説明しますと僕の好きな実況者さんの生放送を見てました。
本当にすみません。ソロスク○○kill達成するまでやめられませんという配信を見てたら時間があっという間に流れていました。本当にこの度は半年ほど前から好きな実況者さんが配信しているからという理由で投稿していなくて誠に申し訳ございませんでした。代わりに今日また出しますのでよろしくお願いします、因みに唯視点です。




