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33.俺に青春は訪れない。


「それじゃ、行ってきま~す」


集合時間を聞き漏らさずにしっかりと聞いていた俺は5分前行動を一応心掛けて早めに家を出ようとしたが、唯が俺の服の袖を引っ張るせいで中々外に出れない。


「やっぱり、私もついていきます。お…おにぃちゃんがなんか変な事をしないように監視しないといけないので!」


一昨日の料理を作るという約束はどうやら意味がなかったらしい。というか、俺の事そんなに信用してないのか?そういって身支度を済ませる唯。


「いや、一昨日料理作る事で解決しなかったか?」


忘れてないよな?と思い俺は問い詰めるような感じで唯に言うと唯は焦って頬を膨らませてそっぽを向く。


「そ…それは」


この反応から推測するに覚えているけどついてきたいという意味なのだろうか、そこまで信用されてないのかと俺は結構落ち込む。


「まぁ、頼むから大人しく諦めてくれ。」


個人的には唯を連れて行ってもいいとは思っているものの犬猿の仲である刹那がなんていうのかわからないので一緒に行くわけにはいかないのだ。


「むぅぅ!、仕方ないですね、でもその代わりにその待ち合わせ場所まで私も行きます!」


「待ち合わせ場所が遠いわけじゃないから別にいいけど唯が行く必要あるのか?」


唯はどうしてもついていきたいらしく待ち合わせ場所まで行かせて!とお願いされる。


「一言言ってやらないと気がすみません!休日によくも私のおにぃちゃんをデートにぃ!」


小声で呟いた唯の独り言は怨嗟のような感じだった。なんていったかはわからなかったが凄い感情がこもっていたので触れるのはやめておこう。


「本気で言ってるのか?」


「私がいつ嘘ついたの?」


どうやら、本気らしい。この話が解決せずに約束の時間になってしまいそうなので渋々了承する。


「分かってくれればいいんです!変な事はしませんから(笑)」


本当かよ、と心の中で反応しておく。話も折り合いがつきそろそろ家を出ないといけない時間になったかな?と思い時計を見ると既に時刻は10時5分を指していた。


「ってか、時間ヤバい」


俺は急いで財布をポケットに入れて家を出ようとする。それについていくように唯も家を出て鍵を閉めた。


「お~い!悠馬く~ん!遅いよぉ~」


5分遅刻で待ち合わせ場所に着いた俺は申し訳ない気持ちになり「ごめん」と言ったが刹那の目線は既に俺ではなく俺の隣にいる唯に向いていた。


「あれ?なんで唯ちゃんがいるの?」


刹那は伝えられていなかったため当然の反応ではあるが驚いていた。俺は事の経緯を1つずつ説明していこうとしたら唯が話始めていた。


「あの、私もついて行っていいですか。」


いつもの俺に頼むような口調ではなく肯定しか認めないぞという意味にも感じ取れるお願いだった。ていうか、唯それは約束反してないか?


「また今度じゃダメかな?今日は悠馬君と…ね…ふふ(笑)」


わざとデートという言葉を使わない刹那。まぁ、俺的にはデートだと思っていないので隠してもらう方が気が楽だが。刹那の含みのある言い方を察したのか唯は慌てて大声で俺に…


「ま…まさか、デートなんて言いませんよね?」


辺に修羅場みたいになってほしくないので俺は即座に否定しようとしたがその言葉を待っていたかのように刹那は反応する。


「ふふ(笑)、バレちゃった?」


刹那の言葉を聞いた瞬間なぜか俺の胸ぐらをつかんで揺さぶってきた。


「おにぃちゃんは、妹である私の存在がありながらなんで刹那さんとデートなんかしてるんですかぁ!」


刹那の発言を否定しようとした瞬間に揺さぶられたため否定することができず犬猿の仲であるはずの刹那の言葉を信じこんでいる唯は俺がボソボソ聞こえない程度の小声で独り言を呟く。


「は、という事は、おにぃちゃんは刹那さんと付き合って…はわぁぁ!」


微かに聞こえた独り言に俺は否定する。


「いや、付き合ってないしデートじゃないから。」


「おにぃちゃん、本当ですか?」


今にも泣きそうで涙目で上目遣いで聞いてくる唯についドキッとしてしまう。


「あぁ、本当だよ」


唯は俺の言葉を信じてくれたようで「はぁ、良かったぁ~!」という声と共に安堵のため息をつく。


「まぁ、それに………」


「俺に彼女はできないから、前にも言っただろ?俺に青春は訪れないって」


俺は恋愛を拒んでいる、過去の失恋から学んだ事は女子に対して恋慕の情を抱かないことだ。初恋の女の子と言い二度目の恋と言い俺は失敗してばかりだった。だから俺は決めたんだ。

【俺は誰も好きにならないって】


「お…おにぃちゃんの事が好きな人はいます!わ…わ…私…」


唯は頬を赤色に染めて何かを言っていた。しかし、俺には何も聞こえていなかった。


「悠馬くん!そんなこと言っちゃダメだよ、悠馬君の事が好きな人が聞いたら悲しくなるよ」


刹那は涙をこらえるように…何かを伝えるように。


「おにぃちゃん、帰ってきたらお説教です。あと、もう二度と私の目の前で【彼女はできない】って言わないでください、それに今後は人の気持ちをもっと考えてください。」


人の気持ちをもっと考えるようにと指摘されてその時俺はこの3人の中に流れている暗いムードに気付いた。俺は何て馬鹿な事を言ってるんだろう。


「ごめんな、それじゃあ行こうか」


この自分から作ってしまった暗い空気を何とかしようと思い俺は早く映画を見に行こうとする。


「あ、うん!」


そう言って俺と刹那は遅刻寸前のきつい状態で走り出した。走り出そうとしたとき唯が溜息をついたのが分かった。ごめんな唯、二度とあんなこと言わないから。と心の中で決意する。


「はぁ、おにぃちゃんのバカ」


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