孤独と友達
私は将来孤独死する気がする。
生まれてからずっと一人で今も一人だ。
両親はいる。
でも心はずっと一人だった。
どれだけ優しくされても、褒められても、笑ってもいつも一人だった。
孤独と友達みたいな感じだったと思う。
学校でも友達なんて作らなかった。
小説を読んでいた。
現代文学が好きだった。
夕霧夏奈斗の小説をよく読んだ。
この人の小説はどことなく一人を連想させた。
世界が破滅したり、誰かが死んだり。
この人も一人なんだろうなって思った。
周りにどれだけ褒められても心は満たされないんだなって思った。
でもそれを思わせないように必死に取り繕って笑ってるんだろうなって思った。
「一人は寂しいなあ」
ふとそんなことを漏らす。
そんな馬鹿な。私は孤独と友達じゃないか。
言葉と思考は全く逆だった。
そんなこと普通はないだろうけど。
「辛いよ」
そんなことはない。
「友達が欲しいよ」
私は一人を好む。
「誰かと話したいよ」
一生黙って暮らしたい。
「孤独死したくないなあ…」
そう言う私の声は震えていた。
一人の部屋。
誰も来ないこの部屋で、私は泣いていた。
「宮子ーおやす…どうしたのあんた。何泣いてるの?」
「お母さ……わたし…孤独死…するかなあ」
「何馬鹿なこと言ってんの?アホでしょ。人はみんな死ぬんだからそんなこと考えたってキリないでしょ?さっさと寝な」
そう言って出ていく母。
ああ、何もわかっていない。
私はてぬぐいを二段ベッドの柵にかける。
ギリギリ足がつかない程度に。つま先がちょっとだけでもいいから浮くように。
椅子に乗らないとその輪っかに届かなくて、椅子を使った。
椅子を蹴っ飛ばす。
苦しい。
でもこれ以上生きている方がもっと苦しい。
苦しい。
ドスンと衝撃があった。
「死にたくない…死にたくないっ……」
無意識にもらした言葉は私の本音なのか、生命の危機に陥ると誰でもそう言うようにできてるのか。
分からなかった。
しばらくして、思考を取り戻すと、ああ、また死ねなかったと思う。
こんなことを何度繰り返せば済むのだろう。
仕事さえまともにできなくて、学校でも浮いていて、こんな私を必要としてくれる人なんてどこにも居なかった。