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筋肉は魔法世界を制す  作者: 清正
筋肉の夜明け
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第四話 筋肉、アイスチャレンジ

 陸上、水中、空、話せる、話せない、群れ、一匹狼。

 この世界の魔物は様々な特徴を持つ。

  

 (中略)

 

 森のなかで魔物が集まっていた。

「ここを抜ければ学園の裏側に出る。奇襲攻撃で奴らを壊滅させる!いくぞお前ら!」

「「おぉーっ!!」」

 ウサギ軍団の士気は高いようだ。

 

「ちょうどいい。黒い鉄板で目隠しになる場所がある。ここいらで様子を見るか」

 木陰に腰を下ろしたリーダーを先頭に50匹ほどのウサギが座り込む。

 

「お前ら、俺が先頭を切るからな。でも戦闘はお前らだぞ。なんつってn……」

 彼の頭部が破壊されたのはその瞬間だった。

――集談出版「魔物の美学」第13章 より――

 昨夜、軽い火傷を負ってしまった右手を氷で冷やしながらマハトは席に座る。

「マハト君、昨日すごかったね!」

「リアムをやっつけてくれてスッキリしたよ!」

「保健室連れてってくれてありがとう!」

 生徒たちがマハトの席を取り囲む。昨日の活躍でクラスメイトとの距離も縮まったようだ。

 

「はーい、HR始めるわよー」

 担任のジェリ先生だ。

 生徒たちは自分の席へ戻っていく。

 

「今日は氷魔法の授業ね。みんな頑張るのよ!」


「それと、そろそろヴァイス君が帰ってくるからみんな仲良くね。HR終わり!」

 教室がざわつく。青ざめている生徒もいる。無表情なのはマハトだけであった。

 


 氷魔法の授業は学園の裏手にある屋外の演習場で行われる。

 演習場に着くと巨大な黒くて分厚い壁のようなものが立っていた。鉄板のような材質だろうか。なかなか硬そうに見える。そうしていると金髪の女性がやってきた。

「ごきげんよう。今日は待ちに待った氷魔法の授業ね。氷魔法といえば我が学園の理事長、サラ・リベルが得意とする魔法でもあり、その威力といえば強大で……」

 

「あの人はリコリス先生。氷魔法の先生だよ。理事長に酔心してるんだって」

 ひそひそ声でテオが教えてくれた。


「それじゃあ授業始めるわよ」

 演説が終わり、授業が始まった。壁に向かって氷柱を撃ち込むようだ。


「まず先生がお手本を見せるわね。……理事長のように、"コルド"!」

 分厚い壁に氷柱が突き刺さり、その周りが白く変色している。下級魔法とは思えない威力だ。

「とりあえず突き刺さればOKよ。ちなみに理事長は詠唱無しで無数の氷柱を突き刺すことができ……」


「テオ、頼みがある。」

 長い演説の間、マハトはテオに頼みごとをしていた。

 

「じゃあ一人ずつ撃ってみなさい。理事長のように」

 突き刺さった氷が溶けるほどの長い演説が終わり、実践練習が始まった。

 

「"コルド"!」

キンッ!

 甲高い金属音は氷が弾かれた証拠だ。先生は呆れる。 

「まったくあんたたち、理事長の何を見てきたのよ」

 とはいってもF組の生徒が突き刺さるほどの威力の魔法を撃てるわけがない。

 全員が分厚い板に弾き返されたところでマハトの出番がやってきた。

「あら、あなたが転校生ね。魔法が得意そうには見えないけど大丈夫かしら」

 マハトはおもむろに火傷用の袋から氷を取り出し、一つ口へと運び、大きく息を吸い込んだ。刹那。


ボンッ

 

 何かが爆発したような音がした。板を見てみると直径30センチ程の大きな穴が空いている。直後、同じような音がしたかと思うと、マハトと壁の延長線上にある木が血しぶきを上げて倒れた。

 

「なっ……」

 かろうじて目で追うことができたリコリス先生だけが目を丸くして絶句していた。生徒たちは皆状況が飲み込めないようだった。

 

 そう、マハトは息を吹く力で氷を飛ばしたのであった。

 その恵まれた体格からわかるように、マハトの肺活量は常人の比ではない。一般的な成人男性の平均が3000~4000mlと言われているが、彼の場合は2万mlを軽く超えてくる。

 特筆すべきはFEV1(1秒量)で、大量に吸い込んだ空気の99.9%を瞬時に吐き出すことができる。

 その異常な肺の瞬発力を使って吐き出された氷は溶ける暇も与えられず標的を貫通したのだ。

 

「こ……こんなもの、魔法とは認めないわ!」

 リコリス先生が声を荒げる。

「ふふっ、確かに魔法ではないわね」

「サ、サラ理事長……!」

 後ろからコツコツと靴を鳴らしながら理事長が現れた。

「魔法ではないけれど、誰よりも結果を残してるわ。リコ、あなた頭が硬いのよ」

「うっ……そうですけど……。な、なぜこんなところに?もしかして私に会いに?」

「遠くに魔物が見えたから退治しようと思って。もう消えたみたいね」

 理事長がマハトを見る。

「その調子で頑張りなさい」

 そう言うと一瞬でどこかへ去ってしまった。

「詠唱無しで移動魔法を使うなんて、やっぱりすごいわぁ……」

 リコリス先生はいつもの調子に戻っている。

 


「吹き出した氷であの貫通するなんてやっぱりすごいよマハト君!」

「テオのおかげだ。氷を追加してくれて助かった」

 寮に戻った二人が話している。

「僕、攻撃魔法は苦手だからあのくらいの氷しか出せなくて……でも役に立ててよかったよ!」

 テオは嬉しそうにそう言った。

 

 

「へぇ、やるじゃないか。」

「会長、そろそろ行きますか」

 3話連続で同じようなことを言った男についに動きがあった。

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