11話出会い
「マジお母さん急すぎる。もう少し一緒にいて欲しかったな。でも、もうぐちぐち言っても仕方ないか」
私はそんなことを言いながら帰宅を急いだ。
喉乾いたし、行きで休憩したところでも寄ってくか。もうあの滝に着きそうだし、ん?なんかいる?
えーっと狼と耳の生えた子供…
耳生えた子供⁉︎
え、まさかの獣人?エルフの次は獣人‼︎もう、今日はなんていい日なんだろう母がいなくなったことを除いて。
でもなんで狼と耳生えてるとはいえ、人間が一緒にいるんだろ?襲われてるってことじゃなさそうだし、気になるし聞いてみるか。
そして川で水を飲んでいた狼の近くに降りた。その狼は、2mほどの大きさだった。
「く、ここまで連れてきてドラゴンとは」
「え、あ、喋れるの?」
「多少他よりも長く生きてるからな」
そんな理由で話せるものなの?
「それに、そんな身構えて警戒しないで。襲わない、襲わない」
うわー、歯めっちゃとんがってる。もう年取ってるのかな?毛に白髪っぽいのも混ざってる。だけど脇腹あたりにすごい怪我して血出ててるし、大丈夫なのかな。
「信じろというのか」
そりゃー、タダで信じられたら、信じられたで怖いか。治癒魔法と回復魔法の練習のいい機会だし、あの怪我治せば少しは信じてもらえるかな。
「じゃあその怪我治すよ」
「本当か?」
「多分血を止めることはできると思う、近づいていいかな?」
「本当に本当か?なら、近づいてもいい」
じゃあ早速、 ん?
私と狼の間に急に獣人の子が割り込んできた。
「ダメ、おじいちゃんダメ」
なにこの子、かわいすぎるんだけど。
「大丈夫だよ、おじいちゃんいじめないから。じゃあ始めますね」
ひとまず獣人の子へ抱きつきたい気持ちをぐっと心にしまって、魔力をさっきラファスに教えてもらった通りに流した。すると血が止まり、それどころかひどかった怪我も治った。
「嘘だろ⁈あのひどい怪我が治った」
「おー、成功してよかったー。で、襲わないこと信じてもらえたかな?」
「あぁ、信じよう。まずお主は何者だ?なぜ空から降りてきた?」
「私はフェルテ。なぜ降りてきたかというと、狼と獣人?、人?が一緒に水を飲んでたから気になったから」
「そういうことか。確かに奇妙かな、この子は狼族だと思われる獣人の子だ。狼族にしては獣の部分が多いがローウルフではないはず」
「鑑定あるから見てもいいかな?」
「いいか?」
「おじいちゃんがいいなら、いい」
「じゃあ頼む」
「じゃあ見るね。鑑定」
【狼族】
見た目は年長から低学年ぐらいかな。
「確かにこの子は、狼族だよ。でも何で一緒に?」
「1年前に森で拾った。おそらく、捨てられたのだろう」
そんな捨てるなんて…こんな可愛い子捨てるなんて何か理由があったのかな。考えても仕方ないか。
「もう一つ質問いい?」
「いいぞ」
「どうしてあんな怪我をしていたの?」
「さっきの怪我か?それはこの子を養ってるのがバレて、若い連中らが、人間を助けるなんてなに考えてるんだ、リーダー交代しろって言われて、戦いになったからだ。わしはこの子をかばいながら戦ったが、隙を突かれてあのザマだ。それで負けたと言ってここまで逃げてきたんだが、どうも傷が深すぎてこのまま死ぬ予定だったってところかな」
「狼の群れのリーダーだったの?」
「そうだったが、今は老いぼれ狼だがな。それに今助けられてしまったが先はもう長くないだろう」
「なんで⁈」
「もう歳なんだよ。寿命だ寿命」
「え?おじいちゃん死んじゃうの?」
あー、獣人の子の目が潤んできちゃってるじゃん。どうにかしてあげたいな。魔法だってあるんだし、寿命もどうにかならないかな。
「どうにかならないの?」
「ないわけではないが、希望は薄いな」
「どうすればいい?できるだけ協力するよ」
「お主ではおそらく死ぬぞ。まあ、一応言っとくか。それはわしが名前をつけてもらうことだ」
「なんだそれだけのこと?いいよ、どんなのがいいとかきぼうある?」
「馬鹿か?死ぬぞ」
「なんで?」
「名付けには体力を消耗するんことも知らずにつけようとしてたのか?」
「え、そうなの?」
「名付けには、名付けた相手の強さに応じて体力を失う。下手したら、体力を全て失って死ぬかもしれんのだよ」
「そんな下手したら死ぬこと、私今までやってきてたんだ」
「名付けたことあるのか?」
「あるよ、石ねずみとリトルドラゴンに名前をつけたよ」
「まだ弱い方のモンスターではないか。だが、わしは違う。群れのリーダーをしていたぐらい強いモンスターだ」
「一回鑑定してみていい?それからもう一回考えてみるわ」
「鑑定」
【シルバーウルフ】
前食べたことあるモンスターだったんだ。あれよりも大きいし違う種類かと思った。
もう天使さんに聞いた方が早いな。
ねえ天使さん、私がもしこのシルバーウルフに名付けた場合、私の死ぬ確率ってどのぐらい?
〈極めて低いと考えられます〉
それ本当?
〈本当です〉
家に帰れるほどの体力が残ってる?
〈少し休憩すれば光速回復によって回復します〉
じゃあ名付けちゃおう。
「多分、名付けでも死なないと思うから名付けちゃうね」
「本当か?死んでも知らんぞ」
「うん、わかってるよ。なんか名前にこうして欲しいとかある?」
「名付けてもらうんだ、特にない」
なににしようかなー。さっきのとんがった歯が印象的だったから、キバを名前ん中に入れたいな。鳥になんかいた気がする名前でもいいか。
「あなたの名前はキバシリ」
うっ、
一瞬立ちくらみがしたが、すぐに治ってしまった。
「あぁ、ちゃんと名前は受け取った。わしの名前はキバシリだ。よく死ななかったな」
「ちょっと立ちくらみがしたけど、もう全然大丈夫だよ。進化するには何かちゃんと食べなきゃね。なんか取ってくるね」
「よろしく頼む。できたらこの子にも食べられる木の実でも、取ってきてくれ」
「わかった」
そう言って私は森の上を飛び、見つけたビッグラビットと、鑑定したらクルミだったものを持って帰った。
この世界にもクルミはあるんだな。
「ただいま」
「ありがとう。ほれ、ちゃんとありがとう言わなきゃだめだろ?」
「ありがと…」
下から目線かわいー。決してロリコンではないけどね。
「日が暮れかけちゃった。もう帰るのは明日でいっか」
「お主さんは巣でもあるのか?」
「うん、みんなで暮らしてる」
「さっき言ってた奴らとか?」
「うん」
そういや、キバシリもうリーダーじゃなくなって逃げてきたって言ってたし、うちくるかな?キバシリくるならその子もくるだろうし、一石二鳥だな。
「ねえ、キバシリ」
「なんだ」
「うちの家くる?」
「いいのか?」
「多分大丈夫だと思うよ。ここから少し遠いけど」
「もうわしには帰る場所がない。よければ住まわせてくれないだろうか?」
「いいよー」
「ありがとう」
「明日の朝出発だから、もう寝るね。おやすみ」
「おやすみ」
それにしても、あまり喋らないが獣人の子かわいいな。寝るときもキバシリにべったりで近づくのが困難なんだけどね。どうやったらあの子と仲良くなれるか考えているうちに、寝てしまった。
その頃コルク君は…
「フェルテ帰ってくるの遅いなー。何かあったのかな。もう日が暮れちゃったし。襲われたりしてないといいな、だけどフェルテ強いしそれはないか」
心配しつつもフェルテは強いと思い、絶対に帰ってくることを確信していた。
この世になぜ獣人がいないんだろう。もふりたい。




