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パワースポットだってさ。

またまた昼食をいつもの三人組で食べて、すこしだべってたよ。


「美術部の三年は一学期で引退でしょ。と言う事はもうすぐ新部長が決まるの?」と私。


「二年の誰かでしょうね。」とえっちゃん。


「祥子ちゃんは美術部に入らないの?」と霧子ちゃん。


「えー、この前の一件見てたのにそんな事言う?」


「もし美術部に入らないんだったら、うちでバイトしない?」


「仏具屋さんで何をしろと。」


「仏画描かない?凄い評判になるよ。」と霧子ちゃん。


「日本画なんか描けるわけ無いじゃん。」と私。


「そうそう。日本画は難しい。やっぱり美術部に来なさい。」とえっちゃん。


「いやです。」


そんな事言ってると、(みぎわ) エリサさん登場。

裏ではクラスの女王さまともエリサさまとも呼ばれてるお人だよ。


「クラスの女子みんなで、ここに行って見ようかと話してたんですが、あなた方もどう?」


 なんかKウォーカーの記事見せながら、おっしゃられる。

私ら三人は、クラスの女子には入らないらしいよ。

って、ここ、この前のインド料理屋じゃん。

何々、神秘の美人画、インドの美と幸運の女神のパワースポットだって?

なんてこと。


 エリサさまに背を向けて三人でひそひそ密談。


「どうなってるの、あれ。」と私。


「多分あの絵が光るのが話題になってる。」とえっちゃん。


「よかったね。Kウォーカーに記事載ったら連日満員だよ。」と霧子ちゃん。


「行けるわけないよね。」とえっちゃん。


「当たり前でしょ。少なくとも私は無理。」と私。


「行ったら歓迎してくれるよ。」と霧子ちゃん。


「無理だって。どうしよう。」と私。


「どうしようも、こうしようも、断るしかないでしょ。」とえっちゃん。


「祥子ちゃんは神様なんだから、もっとどっしり構えてて良いの。」と霧子ちゃん。


「霧子ちゃん。こんなとき何言ってるの。私は神様なんかじゃないです。」と私。


「でも、祥子ちゃんがあの絵を描いて、それが話題になってるのは事実だから。」と霧子ちゃん。


「えー、霧子ちゃんそんな事言うの?」と私。


「霧子ちゃん、今は黙って。」とえっちゃん。


 えっちゃんは、エリサさんに向かって、

「残念ですが、私たちは行きません。」

と言った。


「あ、そう。」と言うとエリサさん去っていった。


放課後になって、美術部の部室に置きっぱなしになってた色鉛筆セットを取りに行ったよ。

そしたら部長まで、Kウォーカー見てた。

そんな雑誌より真面目に部活してください、部長。

引退目前でしょ。

私は美術部員じゃないけど。


「あ、祥子ちゃん。これこの前の絵でしょ。」


そうだった。部長は知ってるんだ。


「何の事でしょう。」と言って顔をそむけた。


「どういう事か教えてほしいんだけど。」


「知りません。」


「えっちゃん何か知ってる?」


「インド料理屋のおじさんが絵を5万円で買いたいと言うのに、祥子ちゃん只であげちゃったんですよ。」


えっちゃん、それ言うの?


「えっ、5万円を只にしたの?祥子ちゃん太っ腹。」


「太く無いですよ。」


「でも、あれ2号だよね。と言うことは号2万5千円か。むむ。」


「素人のおじさんのつけた値段ですから。」


「えっちゃん。私も素人だよ。」


「号2万5千円だったら、立派なプロでしょ。」


「美術年鑑に載ってる値段じゃないし。」


「この絵オークションに掛けたら5万円どころじゃないと思うよ。」と部長。


「秘仏とかと同じ位価値ありますしね。」とえっちゃん。


「やめてよ。部長、とにかく私が描いたって事は、ここだけの秘密でお願いします。」


「何々、どうしたの?」


二年生まで集まり始めたじゃん。もう逃げるしかない。


「私帰ります。」


と言って色鉛筆セット持って美術部室から逃げ出して、一直線で家に帰ったよ。


家に帰ってテレビのローカル情報番組見てた。


「それでは次のコーナーは最近話題の『神秘の美人画』についてです。」とキャスター。


なんですって。


見たことのある通りが映る。

この前のインド料理屋の前は長い行列が出来てる。


 リポーターが話し始めた。


「ここが市内で今一番の注目スポット、『神秘の美人画』のあるインド料理屋さんです。

『神秘の美人画』はラクシュミーと言うインドの女神様の絵で、色鉛筆で描かれてるのに、暗がりで神秘的な光を放つと評判になってます。」


「店長さんに聞いてみます。」


 この前のおじさんが出てきてリポーターがインタビューが始まる。


「スコシマエマデオキャクガヘッテコマッテタンデス。」


「ソシタラらくしゅみーサマがユメニデテキテ、

『私の使いから私の絵を受け取って店に飾りなさい。』

トイワレマシタ。」


「アルヒセイフクキタオンナノコガヤッテキテ、アノエヲモッテキマシタ。

エヲイタダイテ、ミセニカザルコトニシタノデス。」


「ソウ、アノオンナノコタチトオナジセイフクデシタ。」


 カメラが方向を変えると、クラスの女子のみんなが行列を見てる様子が映った。

みんなこんな時に来なくても。


 リポーターが今度はクラスのみんなにマイクを向けた。止めてよ。

エリサさんが出て対応したよ。さすが女王様。


「皆さんは高校生ですか?」


「T高校の一年生です。」


「皆さんでこのお店に来られたのですか?」


「そうです。『神秘の美人画』の話を読んでみんなで来たのですが、平日からこんな行列になってるとは。」


「こちらはこのお店の店長さんです。

店長さんがおっしゃられるのには『神秘の美人画』は皆さんと同じ制服を着た女の子から渡されたと言う事です。

知ってましたか?」


 クラスのみんなが口々に何か言ってるのが映ってる。


「初めて聞きました。誰も何も知らないと思います。」とエリサさん。


「オレイニミナサンニハユウセンシテハイッテモライマス。」と店長。


 なんで、私の描いた絵のお礼をクラスのみんなが貰ってるわけ?

でも、もし私が行ったら大変な事になると思う。


 その日はその後納得行かない気分で過ごしたよ。

そしたら久しぶりに夢に出てきた。


「ラクシュミー」


「祥子、やっと分かりましたか。」


「うん。あなたがインドの女神様でラクシュミーと言うのは分かった。」


「それで聞きたいことがあるの。」


「何ですか?」


「幸運を配るってあの絵みたいなので良いわけ?」


「最初の一歩としては良いですよ。でも相手にあった方法でやる必要があります。」


「それで、幸福を配ったから私の力も大きくなったわけ?」


「ほんの少しだけね。私の化身であるあなたの力はあんなものではありません。

ですが、本格的に力を強化するには、もっともっと多くの人に幸運を配る必要があります。」


「私が持ってるラクシュミーの力って何?」


「色々ありますよ。力が強くなれば自然に分かってきます。」


「宝くじ1等当たるとか。」


「他人に当たるはずの一等を奪っては駄目ですよ。

そんな事をしなくても大丈夫です。

とにかく一歩一歩進んで行きましょう。」


「もう一つ質問があるの。」


「何ですか?」


「ラクシュミーの事調べてみたら、ヴィシュヌのお嫁さんって書いてあったよ。」


「その通りですよ。」


「じゃあ私は?」


「それはもう少ししてからですね。」


ラクシュミーがそう言うと目が覚めたよ。


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