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こんな主人公は嫌だ!  作者: 佐原金矢
4/5

さあ戦いだ!

「こうやって俺は武田、宮下、上田、佐藤を失った、だから誓ったんだ俺は二度とやれやれ系にならない、いっつも元気な熱血のまま行くって!」

 モモは一言も話さない、悲しすぎるエピソードについていけてないんだな。

「モモ……」

「しょーもなさすぎですー!! なんですか? 悲しすぎないエピソード、長いだけでしたよ!! もう飽き飽きしてましたよー! 武田で飽きてましたよー!」

 早いな。

「まあ落ち着けって、俺が悪かった」

 いらいらしてるモモのことを懸命になだめた。

「で、上田さんはどうなったんですか?」

「ああ、上田は死んだよ」

「えっっーーーぇぇーー!!」

「ど、どうしんだ?」

「どうしたもこうしたも一番衝撃でかいですよー!! 死んだって、上田さんが死んだこと私が聞かないと流すつもりだったんですかー!?」

「いや、どうでもいいかなって」

「どういう神経してんですかー!? 友達の死よりどうでもいいやれやれ系のことって、逆に春馬さん死ね、死んでからもっかい死ね」

「お前キャラ変わってない!? いったん落ち着けって」

「私はいつも落ち着いてますよー!! 春馬さんがおかしなことを言うからですー!」

「す、すまん悪かった。」

 俺は必死にモモにあやまった。


「まあ、それだけ春馬さんにとって、やれやれ系は敵に値するということですね」

「そうなんだよ、みんなの為にも俺がやれやれの主人公を倒さなきゃ!」

 そうだ、必ずあいつらを取り戻してやるぜ!! 燃えるぜ!!

「おー!!春馬さんが、燃えてる!」

 よし、まずはなにを………

「ところで春馬さん、学校は?」


……………………


「災難だった……」

 学校が終わってその帰り道のことだ。

「そうですねー 学校の前であんな思い出話を長々と語ってしまった所為で学校が終わってしまってたんですからー」

 

 あの後、急いで教室に向かうと、もう帰りのホームルームが始まっていた。

「先生にめちゃくちゃ怒られたぜ、いままで遅刻も欠席もしたことなかったのにな」

「そりゃー当然ですよー 新学年の当日に遅刻なんてー 馬鹿ですねー」

「誰の所為だと思ってるんだ!! 主人公スキルなんて嫌なことばっかりだー!!」

 こんなスキルなんていらない……

「何言ってるんですかー! 主人公スキルは主人公しか使えない特別なスキルなんですよー それを嫌なことばっかりだなんて、考えられません!」

「でも今のところ不幸なことしか起きてないぜ、女の子とばったりとか無いのかよ?」

「それが……」

 急にばつの悪そうな顔をしたモモ

「今の春馬さんにはできないんですよー」

「できない?」

 それはなぜだ? と俺は聞いた。

「春馬さんの主人公力が低すぎて……」

「主人公力って何!?」

「そんなことも知らないんですかー?」

 また、にやにやと笑うモモ。

「主人公力っていうのは高ければ高いほどいいんですよー。女の子とばったり会うとかは、もうちょっと主人公力をあげないとだめですよー 53万くらいまで」

「そんなに上げなきゃいけないのか!? ってか聞いたことある数値だな」

「まあ、53万もあれば主人公のトップランクですねー」

 主人公ってのも難しいんだな。

「ところで、俺はどれくらいあるんだ?」

「えーっと春馬さんはですねー……」

 懐から何かのディスプレイを取り出し、いじってるモモ。

「わかりました! 春馬さんは……5です」

 


 まじかー!! 低すぎる!! 俺はフリーザになれないのか?

「じゃあ、どうやったら上がるんだ?」

「それはですねー 正しいことをしましょー」

「正しいことー? 毎日やってるよ!!」

「どんなことですかー?」

「朝は花に水をやる、昼にも歯を磨く、夜は21時に寝る」

「それだけですかー!?」

「そんなに褒めるなよ~」

 てへへっ! 俺ってすごい

「ほめてないですよー!!」

「ええーーーっぇええーーーーーっーーえーーえー!!」

「なんでそんなにびっくりするんですかー?」

「まさか、褒めてないとは……」

 俺はすごいと思ってたのに……

「褒めるわけないですよー!! まず、ぜんっぜんいいことしてないじゃないですかー」

 いいこと?

「人の為になることをしないとー」

「人の為になることってどんなことをすればいいんだ?」

「困ってる人を助けるんですよー」

「困ってる人を助けるかー、でも困ってる人なんてどこにも……」

 すると目の前に、大きな荷物を抱えているおばあさんが……

「いたーーー!!」

「な、なんですかー?」

 俺の声が大きすぎて耳を押さえながら話すモモ。

「いたぞ! 困ってる人!! さっそく助けに行ってくる!!」

「ま。待って下さーい!!」

 荷物を抱えたおばあさんは辛そうにしている。

「おばあさん! 大丈夫ですか?」

「あーー?」

「おばあさん!! 大丈夫ですか?」

「あーー?」

「おーばーあーさん!! だーいーじょーぶですかーー!!」

「うるさいわ!! そんなに大きい声出さんでも聞こえとる!!」

 このおばあさん、めんどくさいな。でも、俺は負けない!!

「おばあさん、大丈夫ですか?」

「誰がおばあさんじゃ!! わしはまだ98じゃぞ!!」

「充分おばあさんだよ!!」

 くそ!! このばばあ!! 殺してしまおうか?

「春馬さん、落ち着いて下さーい!」

「ふぅ、済まないとり乱しちまったぜ。 じゃあお姉さん、困ってることありませんか?」

「困ってること? あるわけないじゃろ!! 若造が! わしをなめるな!」

 このばばあ!! 絶対殺す!! 老害が!

「春馬さん!? 目が血走ってますよ!? 落ち着いて下さーい!」

「もう我慢ならねえ!! このばあさんは助けられねえ!!」

「春馬さん!? どこいくんですかー!?」

今日はもう帰る! やってられっかよ!!


「ったくばあさん、その荷物重そうだな、持ってやるよ」

 俺が帰ろうとしたその時だった。

 後ろからおばあさんに声をかけてる男がいた。

「あーー?」

 あのおばあさんやっぱり聞こえてないみたいだな。

「ちょっと、おばあさんにはもうちょっと大きい声で喋らないと聞こえ……」


「貸してみろ、家まで運ぶよ」

 そう言った彼はおばあさんの返事も聞かずに荷物を勝手に奪ってしまった。

「勝手なことしたらおばあさん怒るんじゃ……」

「あ、ありがとう、青年 」

 あ、あのおばあさんがお礼……だと?

「べ、別にお礼なんか言ってないんじゃからね!!」

「えーーーー!!」

 あのばばあ!! 何だ!? あの態度。お前のツンデレなんか見たくねーよ!!

「別に、礼なんていらん、ばあさんの家はどこだ? 案内しろ」

「ああ、それはじゃな……」


 …………


「行ってしまった。ってかあの男、俺に気づいてなかったんじゃ」

 しかし、あの男の態度は気に食わん。キザな感じがむかつくぜ。

「なあモモ、あの男うざかったな」

「…………」

 モモは何かのディスプレイをずっと見ていた。

「どうしたんだモモ?」

「こ、これは、すごいことが分かりましたー!」

「お前の出産の時期か!?」

「そんなわけないですよーー! もうー! まず、誰の子供ですかー!」

「俺の?」

「……!! もうやめてください!!」

「痛い!! やめろ!!」

 ものすごく顔を赤らめて俺を何かのディスプレイで殴るモモ。

「悪かったモモ! だからやめろ!」

「春馬さんと私の子供なんて……!! まだなにもしてませんよー!!」

 何かのディスプレイで殴るのをやめないモモ。

 このままだと死ぬかも。

「っモモ! ディスプレイ壊れちまうぞ!!」

「あっっ!!」

 やっと殴るのをやめたモモ。

 俺よりディスプレイの方が大事って……なんか悲しい気持ちになるな。

「それよりモモ、すごいことって何が分かったんだ?」

「そうでしたー!! すごいことがわかったんですー!」

 持っていたディスプレイを俺に向けて話を続けた。

「さっきの男の人なんですがー」

「ああ、おばあさんを助けて、俺に気づかなかった奴だろ?」

「はいー! その男の人の主人公力を、たまたまこのディスプレイが拾ったんですがー すごい数値が観測できたんですー!」

「すごい数値?」

「そうです!! その数値はなんと!」

 モモがじっくり間をためてこう言った。


「53万です」


「53万だって!? それってさっき……」

 そこまで言ってモモは察したのか俺の言葉を続ける。

「そうです……さっき言った通り53万もあるってことはー、フリーザですー」

「違うよ!! しかも一言も言ってないよ!!」

「冗談ですよー!」

 心ではフリーザと言ったが…… まさか! こいつ心の声を!

「よめませんよー」

 よ、読みやがった!!

「もう、冗談はいいから話を戻しますよー」

 お前が言いだしたんだろってツッコミを我慢してモモの話を聞く

「さっきの続きですけどー 53万もあるってことはー 主人公の可能性ありですねー」

 やっぱりか、と俺が言う前にモモが話を続ける。

「しかも、やれやれ党が選んだ、やれやれ系最強主人公の可能性があるんですー」

「ってことは、俺の敵ってわけか」

「そうなりますねー」

 あいつが、俺の仲間たちを変えたのか……

「許せねえ!! あの野郎!!」

「おー!! なんでか知りませんがー春馬さんがやる気ですー!!」

「モモ!! あいつを追うぜ!!」

「はい!! 行きましょう!!」

 必ず、あの野郎を見つけて倒して、武田、宮下、上田、佐藤を助けてやるぜ!!

「ところで春馬さん」

「ん?」

「どこに行ったんですかね?」



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