クラスのみんな
「で、学校に着いたけど、俺のクラスは……2‐3組か、あいつ等は……全員2‐1組か」
武田、宮下、上田、佐藤、この4人の名前を見ると思い出す。あの時の悪夢を……
「誰なんですかー? あいつ等って?」
でも待てよ、もしかしたらこの熱血主人公の力があれば、あいつ等はもとに戻るんじゃ……
「おい、モモ」
「何ですかー?」
「あいつ等の話、聞かせてやるよ」
…………
あれは1年の時の冬休みの1週間前の、いや、2週間前? 冬休みのあとか?
「もう! どっちでもいいですよー」
「まあ待て、 今、思い出した」
冬休みの1週間前のことだ、俺は朝学校に行くときは、同じクラスの武田、宮下、上田、佐藤の5人で学校に行っていた、男仲良く5人で登校ってわけだ、いつものようにバカやったりしてたよ……
俺たちのクラス1‐4には花形って男がいた、特に特徴もない平凡な男だった、 そんなあいつが突然、クールぶって遅刻してきやがった、おまけに口癖は「やれやれ……」。
「それって……」
「そうさ、やれやれ系だったんだよ!」
花形は変わった、周りを囲うのはいつも女子、あいつは確実に主人公になっていた。
でも、俺たちは変わらない、そう5人で誓った次の日のことだった…………
「おはよう、武田!」
「……」
「おい、武田どうしたんだよ」
「やれやれだぜ、朝から騒がしい奴だ、もうちょっと静かにできないのか」
「武田? お前、まさかっ……」
「武田っちーー!」
「なんだよ愛歌、朝から騒がしいぞ」
「ごめんだよー 武田っち、それより早く学校行こうよ!!」
「分かったよ、って引っ張るなー!!」
愛歌と呼ばれる女に連れて行かれた武田
「まさか武田、お前もやれやれ系に……?」
学校に着いてすぐに俺は、宮下、上田、佐藤を呼び出した。
「武田がおかしい」
「ああ、俺も思ってたんだよーぜ!」
「佐藤、お前の語尾いつもながら気持ち悪いんじゃよ」
「上田には言われたくないんだよーぜ!」
「なんじゃと~?」
「お前ら!! 今、話はそれどころじゃないだろ。宮下はどう思う?」
「……」
「おい! 宮下?」
「わぁっ!! わ、悪いぼーっとしてた」
「それよりお前はどう思うんだよ?」
「ん……あぁ、俺も許せねぇな……」
次の日、宮下は変わってしまっていた。
「宮下までも、か。佐藤も学校に来ないしどうなっちまってるんだ?」
「おい寿!! 佐藤が転校したんじゃって!」
慌てて教室に入ってきた上田が俺におはようも言わずに伝えてきた。
「嘘だろ? なんで?」
ここ数日で変わってしまった友達を前に驚きを隠せない。
「もしかしたら、佐藤は逃げたのかも知れんの」
「あいつが逃げるなんて……」
俺たちはまだ知らなかった、本当の佐藤を……
また次の日、学校で朝のホームルームのときだった。
「えー、今日からクラスに新しい、まあ新しくないが転入生が入ってきた。転入生、挨拶頼む」
「桜井聡史です。よろしく」
俺は自分の目を疑った、いや俺だけじゃないみんなもだ、だってそこにいるのは、
佐藤だった。
「おい、佐藤何だよ! お前もなのか?」
「おいおい、転校初日から絡まられるとはついてないぜ」
「その喋り方…… 前の喋り方はどうしたんだよ」
「何の話だ? 全く朝から疲れるぜ、俺は朝は嫌いなんだ」
「嘘をつくのはやめるんじゃよ! 佐藤は毎朝30キロも走ってたじゃろ!」
「そんな走ってない! 28キロだ!」
「あんまり変わらんじゃろ!」
「ふぅ……もういい、これ以上俺に喋らないでくれ」
…………