表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんな主人公は嫌だ!  作者: 佐原金矢
2/5

主人公の力

「やった!! ようやく、長年夢見た主人公になれた! 一時はやれやれ系に身を委ねそうになったけど、俺は自分を信じてよかった!」

 しかし、あることに気がついた。

「俺、何したらいいの?」

 女の子は立ち上がって、俺に言った。

「なにいってるんですかー。春馬さんには、やれやれ系主人公を倒す主人公を、やってもらいまーす」

「え? 俺そんなことするの? なんか、悪役がしそうなことだな」

「いやいや、春馬さん、あなたはすごく重要なことをするんですよー? さっき言ったばかりじゃないですかー。党で主人公を決めて、他の党の主人公を倒すって」

「そんなこと言ったってお前……」

「もー、さっきからお前ってやめて下さいよー。私の名前はモモですよー」

 モモってそのまんまだな。

「ん、じゃあ、モモ、そんなこと言ったって俺はもっとこう、悪い敵を倒す見たいなことがしたいんだ」

「じゃあぴったりですよー、やれやれ系は、極悪非道の悪者ですよ。まぁ、一回やってみて下さいよー。みんなもやってますよ」

 なんか悪いキャッチセールスみたいな誘い方みたいだな。

「でも、やれやれ系を倒すって、結局どうすんだ?」

「それはですねー やれやれ系主人公の王を直接倒しに行きまーす!」

「そんな単純なもんなのか?」

「そんな単純なものですー!」

 えっへん! と言わんばかりに元気よく話すモモ

「はぁ、なんか俺の考えてた主人公と少し違う気がするよ」

 そんな、俺の視界に時計が入った………

「あっぁぁぁーー!!」

「ふぇ!? どうしたんですか急に大声出してー」

「どうしたもこうしたも、遅刻だー!!」

 俺は、モモのことそっちのけで、全力で着替えを済まし、学校の用意をして階段を降りようとしたが、ある問題に気がついた。

「モモのこと、お父さんとお母さんになんて説明したらいいんだ?」

 お父さんには、モモとの関係をしつこく聞かれそうだ。 お母さんなんかは、いつしたの? 何時? 何分? 何秒? とまで聞きそうだ。 

 それだけは、絶対に嫌だ。

「私なら、大丈夫ですよ!―」

「ん? どうしてなんだ?」

「私は、一般人からは見えないんですよ、だから例え春馬さんの、お父さんやお母さんでも私を見ることはできませんよー」

 その話が本当なら大丈夫そうだな。

「よし、じゃあ学校行くか!」」

「はーい!!」

「……まさか、お前も来るのか?」

「もちろんですよー。 私は春馬さんの、そのー、あのーですね…… っもう!! 私から言わせないで下さいよー!!」

 照れくさそうにしながら頬を赤らめるモモ。

 まったく意味が分からないけど、本人が言いたくなさそうだから、これ以上は聞かないでおこう、また言いがかりをつけられても嫌だしな。

「それじゃあ、学校に行くぞ」

「おーー!!」


 


「春馬、私とお父さん、今日の10時30分16秒の飛行機に乗って海外に行くから、椿と二人暮らししてね」



「え? お母さんなに言ってるの?  今日から兄貴と二人暮らしなんて……」

「急にお父さんの仕事関係で行くことになっちゃってね」

 なんだって? あの仕事姿を見たことが無いがお父さんが海外だと? ふざけるなよ。

「あ、あと春馬ずっと椿のこと兄貴って呼んでるけど、椿……女だからね」

「えぇぇーーええーーっぇぇええーー!!」

 嘘だろ!? 兄貴が女? え? 兄貴は兄貴じゃなくて姉貴で姉貴になるのが兄貴で……

「じゃあ言ってくるからね。 適当にまた帰ってくるわ!」

「ちょっとま……」

 すごい速さで行ってしまった。


「ふっふっふー すごいですかー?」

 モモは、なにをにやにやしてるんだ? 


「まさか、お前の仕業か?」

「そうですよー!!、ま、正確に言えば春馬さんの仕業でもあるんですよー」

「俺の仕業でもある? どういう意味なんだ?」

 ずっとにやにやしているモモが説明を始める。

「それはですねー 春馬さんの主人公スキルが発動したんですよー」

 主人公スキル? ってかなんでお前は俺が知らないことがあると誇らしげなんだよ。

「で、主人公スキルってなんだ?」

「主人公スキルとはですねー ズバリ! 主人公にふさわしい状況を作る能力です!!」

…………? 話がまったく掴めない。

「つまりですねー 主人公だけに与えられる特別な能力なんでーす。 例えばですねー 角を曲がると女の子がーとか、こけたら女の子のパンツがーとか、好きな女の子が病気で死にそーとか、物語をおもしろくするためのイベントが勝手に起こる体質のことなんですよー」


 まじかー!! じゃあお父さんとお母さんが海外に出張するのも、兄貴……いや姉貴が女になったのもこの力の所為か、……まてよ? 

「まさか、遅刻したのもこの主人公スキルの所為なのか?」

「あったりーですー!!」

「お前の所為かよ!!」

 俺はモモの頭を軽く小突いた

「痛いですよー」

「知るか! 少しは反省をしろ」

 しかし、そろそろ本当に学校に行かないと新しいクラスになじめなくなっちまう。 まだクラス発表も見てないのに。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ